兵庫県・出石の観光名所としては出石城が有名ですが、出石城の近くにもう一つの城、「有子山城」があります。有子山(ありこやま)の山麓にある出石城に対し、有子山城はその同じ山の頂上に立っています。
有子山城は、中世に多く作られた「山城」のひとつです。山城とは、同じく兵庫県にある竹田城がよく知られていますが、山地を利用して天然のとりでとした城です。現在、有子山城の建物自体は残されていませんが、有子山の頂上に登ると、保存状態の良い石垣などの城跡を見ることが出来ます。
数ある見どころの中でも特に着目してほしいのは、曲輪(くるわ)と石垣です。曲輪とは、屋敷などを建てる区画で、また自然の地形を利用して敵を防ぐ役割も果たすものです。頂上から見ると、まるで棚田のように、いくつもの輪が段々となって並んでいるようすが分かります。有子山城は山頂の大きな曲輪だけでなく、山腹にも小さなものが沢山並んでいることが特徴です。
また、しっかりと組まれた石垣は山頂付近に幾つも見られます。特にシノギ積みとよばれる、角が直角ではなく鈍角になった積み方をしているものがありますので、ぜひ探してみてください。
有子山城ができたのは、天正2年(1574年)。築城したのは、室町時代に大きな勢力を持っていた山名氏です。
山名氏は、戦国時代に入り勢力を失い、秀吉の侵攻によりそれまで本拠地としていた此隅山城が落城したことを背景に、この有子山城を築城したといわれています。しかしその6年後、秀吉が再度侵攻し有子山城は落城し、秀長・前野氏・小出氏が入城します。そして、小出氏が出石城を築城したことで、有子山城は廃城となりました。
このように、有子山に位置する2つの城、出石城と有子山城は歴史的につながりを持っているため、歴史を知る上で、2つの城は是非あわせて訪れたいスポットです。
有子山城へは、出石城や稲荷神社を過ぎたところ、鳥居の並ぶ階段のつきあたりにある有子山の登山口から入ります。登山道は急な所が多いため、道中が心配な方は入り口に置いてある杖を持っていくことをおすすめします。
山頂までは約40分〜60分。前半は急な道が続きますが、20分程登ると緩やかで広く、歩きやすくなります。所要時間だけを見ると長く感じるかもしれませんが、まわりに目を向けながら登ると、楽しく登ることができますよ。
登山道は尾根に沿っているため、眺めが良いですし、城の周囲をかこう囲いや石垣、空堀など、歩きながら見られるスポットが多くあります。耳をすませば鹿の声が聞こえるほど、自然が豊かで、リフレッシュしたい時にはぴったりの場所です。
山頂に到達すると、目の前に飛び込んでくるのは見晴らしの良い、爽快な景色です。出石の城下町の街並みや、出石川、そして連なる山々。登山の疲れもきっと癒されることでしょう。山頂には休憩できる椅子や机がありますので、素晴らしい眺望を楽しみながら、ゆっくりと時を過ごすこともできます。
いかがだったでしょうか?
有子山城は、山城の魅力をじっくりと味わうことが出来る場所です。昔の人がどのように自然と接してきたのか、どのように城を作ってきたのか、是非実際に足を運んで、思いを馳せてみてください。
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(2024/4/20更新)
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