奈良公園?ちょっと待った!知られざる歴史を秘めた近鉄奈良駅周辺の古社寺探訪

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奈良公園?ちょっと待った!知られざる歴史を秘めた近鉄奈良駅周辺の古社寺探訪

奈良公園?ちょっと待った!知られざる歴史を秘めた近鉄奈良駅周辺の古社寺探訪

更新日:2013/09/06 12:58

乾口 達司のプロフィール写真 乾口 達司 著述業/日本近代文学会・昭和文学会・日本文学協会会員

近鉄奈良駅で電車を降りた観光客のほとんどは、そのまま駅の東側に広がる奈良公園へ足を向けるのではないでしょうか。しかし、ちょっと待ってください! みなさんの降り立った近鉄奈良駅の周辺にも、古代から近代にかけて奈良の歴史を彩った魅力的な古社寺が点在しているのです。今回は近鉄奈良駅周辺に点在する古社寺を通して、一般にはあまり知られていない、奈良の隠れた歴史をご紹介しましょう。

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子守明神の名を持つ率川神社と優美な三枝祭

子守明神の名を持つ率川神社と優美な三枝祭

写真:乾口 達司

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近鉄奈良駅の西側を南北に走る「やすらぎの道」に沿うように、いくつかの古社寺が点在しています。桜井市・大神神社の摂社となっている率川神社(いさがわじんじゃ)も、そのうちの一つ。三棟からなる社殿の中央には、神武天皇の皇后にあたる媛蹈韛五十鈴姫命(ひめたたらいすずひめのみこと)がまつられています。その両脇には、父神の狭井大神と母神の玉櫛姫命が鎮座しており、親と子が寄り添うように鎮座していることから、古来、子守明神とも称されてきました。率川神社周辺の住所が本子守町となっているのも、子守明神の名に由来します。

毎年6月17日にとりおこなわれる三枝祭(さいくさのまつり)は、別名、ゆりまつりとも呼ばれています。笹百合によって美しく飾られた神垂ェ奉納された後、笹百合を手にした巫女たちによって、優美な神楽が舞われます。作家の三島由紀夫も『奔馬』のなかで「これほど美しい神事は見たことがなかった」と賞賛しています。

拝観料 : 境内自由

アーネスト・フェノロサゆかりの浄教寺

アーネスト・フェノロサゆかりの浄教寺

写真:乾口 達司

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三条通に面する浄教寺は、1603年(慶長8)、徳川家康によって寺地を与えられ、大和郡山から現在の地に移転してきました。1888年(明治21)6月5日、東洋美術史家のアーネスト・F・フェノロサは、500名におよぶ聴衆の前で奈良における宗教、美術、文化の重要性とその保護を訴えます。その際、講演会場として使われたのが、浄教寺の本堂でした。本堂の手前に大きなソテツが植えられているのが、おわかりになるでしょうか。樹齢300年余り。奈良市の文化財に指定されています。

拝観料 : 境内自由

饅頭の起源をご存知ですか?林神社

饅頭の起源をご存知ですか?林神社

写真:乾口 達司

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漢國神社の境内の一角に、林神社(りんじんじゃ)と称される社殿が、鎮座しています。祭神は林浄因。神さまとはいっても、1349年(貞和5)、中国から渡って来た実在の中国人です。禅僧に従って日本に渡って来た林は、南北朝の戦乱を避けるため、漢國神社のあたりに居を構えます。そして、日本ではじめて饅頭を製造・販売しました。林の饅頭は、中国で普及していた肉入りの饅頭(まんとう)の代わりに小豆の餡を使っており、庶民の好評を博したとされます。林は、いわば、和菓子の祖先にあたる人物なのです。中世の奈良には、こんな国際色の豊かな人物も暮らしていたのです。

本殿の手前に、鏡餅のようなものが置かれていますね。これは饅頭を石でかたどったものなのです。毎年4月19日には、林の遺徳をしのんで、饅頭祭がとりおこなわれます。全国から菓子業者が集い、それぞれの業者が製造した菓子が神前に献納されます。

拝観料 : 境内自由

千体石仏と茶の湯ゆかりの称名寺

千体石仏と茶の湯ゆかりの称名寺

写真:乾口 達司

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林浄因と並び、日本の文化に大きな影響を与えた奈良ゆかりの人物に、わび茶の祖・村田珠光がいます。称名寺は奈良出身の珠光が青少年時代に仏道を学んだ寺で、境内には、珠光によって建てられたとされる獨盧庵(珠光庵)という茶室や井戸、手植えの竹など、珠光ゆかりの旧跡が残されています。獨盧庵や本堂の内部は、毎年5月15日にとりおこなわれる珠光忌にあわせて拝観することが出来ます。

境内の東側には、無数の石仏が並べられています。戦国の梟雄・松永久秀が、大和国統治の要として多聞城を築城した折、その城壁に無数の石仏が使われました。多聞城の廃城後、散乱していたそれらは称名寺の境内に合祀され、「千体石仏」と呼ばれるようになりました。その数の多さに、はじめて称名寺を訪れる人は驚くことでしょう。

拝観料 : 境内自由(堂内拝観は5月15日の珠光忌のときのみ/1000円)

旅の途中で厄除け祈願はいかが?慈眼寺

旅の途中で厄除け祈願はいかが?慈眼寺

写真:乾口 達司

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慈眼寺は、厄除け発祥の寺として知られています。普段は街中にひっそりたたずんでいますが、毎年初午・二の午の日には、厄除けの祈祷を受けるため、無数の善男善女が詰めかけます。この日ばかりは各地からほかのお寺のお坊さんたちも応援に駆けつけ、祈祷が間断なく続けられます。もちろん、祈祷は午の日以外も受け付けてもらえるため、ふらりと訪れた奈良の地で、厄除け祈祷を受けてみるのもよいでしょう。

拝観料 : 境内自由(厄除け祈祷の場合は祈祷料が必要)

おわりに

近鉄奈良駅の周辺にも由緒のある古社寺があることが、おわかりになったのではないでしょうか。ほかにも率川神社とゆかりの深い開化天皇陵や、衣服を身にまとった「はだか地蔵」で知られる伝香寺など、魅力にあふれたスポットはまだまだあります。そして、そこにはいずれも知られざる奈良の歴史や文化が息づいています。奈良公園や興福寺に出掛ける前に、今回、ご紹介した古社寺をめぐりながら、一般向けの観光スポットでは味わえない、もう一つの奈良を堪能してみてはいかがでしょうか?

掲載内容は執筆時点のものです。 2013/06/10 訪問

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