写真:麦吉 ぼに
地図を見る昭和20年8月6日原爆投下の日、広島の市電123両のうち108両が被災しました。広島電鉄は被災を免れた車両を使い、投下のわずか3日後に運行を再開。市電は、ガレキとなった街の復興を支える足になりました。広電653号は、市内江波付近で被爆し大破した車両。なんとか修理し、4カ月後から運転を再開しました。
被災をくぐり抜けた車両は「被爆電車」と呼ばれ、広島市民にとっては特別な存在です。
2006年に引退したこの車両を、被爆当時の塗装でもう一度走らせたのが、「被爆電車特別運行プロジェクト」。戦後70年を記念して2015年6月13日〜8月30日の土・日・祝日に運行して、大きな話題になりました。
写真:麦吉 ぼに
地図を見る653号は、原爆投下の3年前(昭和17年)に製造された車両。当時としては最新の大型車両だったそうです。運転席は、当時のままのレトロな姿。マスターコントローラーと呼ばれる運転台もエアブレーキも、当時のままのものが使われています。
提供元:RCC×広島電鉄被爆電車特別運行プロジェクト
http://www.rcc.jp/70/tram.htm飴色に古びた木製ドア、おじいちゃんの家の窓についていたような金具、653号の中へ入ると70年前にタイムスリップするようです。車内には大型モニターが複数置かれ、被爆当時の街の様子や復興してゆく広島の歩みをまとめたドキュメンタリーが上映されます。
当時の悲惨な状況に言葉を失くしながら車窓外へ眼を移すと、広島の今が明るく穏やかで、まぶしい位に平和です。被爆電車は街の人々に大人気、電停に停まるとホームにいる人が嬉しそうにスマホのカメラを向けて来ます。そののどかな日常が、70年前を語る車中から見る、とても愛しいものに思えます。
被爆電車の乗車は予約制。HPから申し込みをします。申し込みが多い場合は、抽選での乗車になります。1回の乗車定員は最大25名。
料金はおとな(高校生をのぞく18歳以上)500円、こども(小学生〜高校生)200円。企画の主旨を分かって欲しいので、未就学児は乗車できません。8月の運行予定は、6月にHP上で発表されます。
運行は広島駅から西広島駅まで市内を横断して折返し、原爆ドーム前降車になります。70年前の姿で走る653号の車窓から、時を止めて立つ負の世界遺産・原爆ドームを見ると、この先の平和を願わずにはいられません。
写真:麦吉 ぼに
地図を見る「被爆電車運行プロジェクト」の乗客には、乗車記念のシールやクリアファイルなどのお土産セットが配られます。写真は昨年の運行記念品ですが、今年はさらに増えて、4月運行のお土産にはレジャーシートもありました。グッズも嬉しいのですが、「リーフレット」や「被爆建物マップ」は、知っておきたいこと、人に伝えたいことが詰まった、広島の貴重な資料になっています。
被爆後70年を過ぎて、広島では被爆を知る人がどんどん少なくなっています。被爆電車653号は、未来が核兵器のない、戦争のない、平和な世界になる事を願って、「あの日」を未来へ語り継ぐ使命を持って、広島の街を走ります。
この夏、この秋、広島へ。653号に乗りに来てください!
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(2024/4/19更新)
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