「自然首都・福島県只見」世界に誇るブナに囲まれたユネスコ エコパーク

「自然首都・福島県只見」世界に誇るブナに囲まれたユネスコ エコパーク

更新日:2016/05/13 17:53

只見町は福島県の西端、新潟県に接する豪雪地帯で、町の9割以上が山林です。その中心は、手つかずの原生状態を維持したブナなどの自然林です。町民はこの雪深く、厳しい山合いの町で、自然と関わり合いながら、何世代にわたり暮らしてきました。平成26年6月に、自然と人々の共存するモデル地域としてユネスコ エコパークに登録されました。日本の自然の中心地として「自然首都」を掲げる只見町でブナの森を歩いてみませんか?

「癒しの森」の手つかずのブナ林

「癒しの森」の手つかずのブナ林
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ユネスコエコパークは、ユネスコ(国連教育科学文化機関)が実施する「人間と生物圏計画」における事業の「生物圏保存地域」のことです。平成28年3月現在、世界の登録総数は、120カ国、669地域。日本では志賀高原、白山、大台ケ原・大峰山・大杉谷、屋久島・口永良部島、綾(宮崎県)、南アルプスと只見の7地域です。

平成17年7月、只見町に世界のブナ研究者が集まり、「世界ブナ・サミット」が開催されました。平成18年3月に「ブナと生きるまち 雪と暮らすまち 奥会津只見の挑戦 真の地域価値観の創造」を理念とする第6次只見町振興計画を策定。平成19年5月に、「只見町ブナセンター」を設置するとともに、7月に、「自然首都・只見」を宣言し、行政と住民の協働によるまちづくりを行ってきました。

ブナと雪に代表される特有の厳しい自然環境と資源、それらが生み出す伝統的な生活や文化が評価されて、ユネスコエコパークに登録されました。

ブナの森のトレッキングを楽しめるコースのひとつが「癒しの森」。只見町と金山町の町境の県道352号線沿い松坂峠頂上付近が入口です。緩やかな尾根沿いに広大なブナの森が広がり、往復約2時間のコースです。

ブナの息吹を感じ

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癒しの森のブナは、松坂峠の西側 面積約3平方キロメートル、標高600〜650メートルの尾根道斜面に自生しています。
松坂峠の癒しの森入口から、遊歩道に入り、しばらくはミズナラやカラマツの林を進みます。入口から500メートル位歩いた先に、樹齢200年〜300年のブナの巨木が現れ、見事なブナの森が広がります。

特に、雪解け後の春の時期は、みずみずしい新緑が色鮮やかで、ブナの森の自然の息吹を感じます。

倒木の樹齢400年「国界の大ブナ」

倒木の樹齢400年「国界の大ブナ」
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癒しの森の入口から、700メートル進むと、明るく開けた場所が広がります。交流広場と名付けられたその場所は、南会津郡と大沼郡の境にあたります。樹齢400年といわれる「国界の大ブナ」の巨木は、残念ながら2013年春に倒れてしまいました。
現在でも、根元の迫力や、幾重にも重なり合った枝ぶりがうかがえ、大変存在感があります。
倒木により、日陰だった場所に、陽が当たるようになり、周辺の環境が変化しました。

このあたりにも、樹齢200年を越え、巨木に成長するであろうブナがたくさん確認できます。

ブナ林トレッキングの起点、森林<もり>の分校ふざわ

ブナ林トレッキングの起点、森林<もり>の分校ふざわ
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布沢集落は、只見町の南東に位置する、布沢川が流れる森林の里です。廃校となった小学校の校舎を、宿泊できる山林くらし体験施設として利用しているのが「森林の分校ふざわ」です。只見町の郷土料理「お平(ひら)」も食べられます
お平は、お正月や冠婚葬祭に供される、川魚のハヤ(赤はら)で取ったダシでまいたけや油揚げなどの具を煮て、平椀に盛り付ける料理。

「癒しの森」と共に、森林の分校ふざわを起点として楽しめるのが、「恵みの森」です。
ブナの森を流れる布沢川支流の大滝沢を長靴で歩く沢歩きと森林浴のコースです。沢は巨大な一枚岩で歩きやすく、中ノ滝まで周遊すると約3時間です。

癒しの森、恵みの森は、できれば、ブナ林の見どころなどを説明していただけるガイドさんとの同行がお薦めです。
また、只見町ブナセンターのイベント 自然観察会や只見町観光まちづくり協会のブナ林トレッキングツアーに参加することも可能です。

森に囲まれた田子倉湖

森に囲まれた田子倉湖
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田子倉湖は、昭和36年に、尾瀬から流れる只見川を田子倉ダムで堰き止めてできたダム湖。国道252号線沿いの展望台からは、周囲を山林に囲まれた美しい景観が楽しめ、只見町の広大な自然を一目で実感できる場所です。湖上からレイクビューが楽しめる遊覧船も発着しています。

田子倉湖の北西に広がる浅草岳にも見事なブナが広がります。高倉宮以仁王の伝説があり、戊辰戦争で傷付いた河井継之助が戸板で運ばれた、かつての新潟と只見を結ぶ歴史街道「八十里越」の途中にある叶津登山口から歩いて向かうのが、「山神杉のブナの森」と「沼の平ブナの森」。特に沼の平は、6年ぶりに入山再開され、手つかずのブナの原生林と神秘的な沼を見ることができます。ただし、このコースは地元ガイドの同行がなければ入山できません。

おわりに

戊辰戦争時、慶応4年(1868年)「八十里越」を戸板で運ばれて只見町に入った河井継之助は、その後、傷が悪化し、12日後に塩沢集落で亡くなりました。その地に、河井継之助記念館とその近くの医王寺に墓があります。
司馬遼太郎が河井継之助を主人公とした「峠」の舞台でもあります。
歴史に興味がある方は、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか?

ユネスコエコパークに登録されました自然首都・只見で、世界に誇るブナ林の森歩きに出かけてみませんか?

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/10/12−2016/05/01 訪問

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