駅というのは、その日の旅の日の気分を左右する大切な場所。改札口を出て、その土地ゆかりの偉人の銅像や、土地の風物を模したモニュメントなどが出迎えてくれると、「ああ、旅に出たんだ!」という気持ちを盛り上げてくれます。
とすれば、高麗駅のそれはかなり印象的。この高麗駅であなたを出迎えてくれるのはチャンスン(将軍標)と呼ばれる不思議な木像。チャンスンとは韓国の民間信仰由来のもので、村の入口に建てられ、その恐ろしげな顔で疫病や悪霊を追い払うというもの。
「ここって日本だよね?」と思うくらい、高麗駅は強烈な印象であなたの旅を出迎えてくれます。
高麗駅から歩いて、10分ほどで到着するのが巾着田です。曼珠沙華の名所で良く知られている巾着田ですが、新緑の光景だって負けていません。何百年も変わらない田園風景に、今は遊歩道などが整備され、水車小屋やビオトープといった里山風景が広がるなど、ここに来れば、あっという間に都会から解放されるでしょう。
巾着田の名前の由来は、高麗川が弧を描いて、まるで巾着の様になっているから。地図で確認すると、まさに奇麗な巾着型。そしてここでの散策は、自然に丸ごと包まれるような気分です。
ただ、この巾着田、曼珠沙華のシーズンである秋には有料となるのでご注意を。
巾着田を高麗川に沿ってぐるりと一周した先にあるのが、高麗郷民俗資料館。
町の小さな民俗資料館ですが、この山間の地にあって、どのように人々がどのように生活してきたのかという事を、古い展示物とともに伝えてくれます。
展示内容は、この地に根付く養蚕、茶といった特産品に関わる道具から、林業や炭焼き道具まで、小さいながらも様々。都心の博物館にあれば見過ごしてしまうような展示でも、こうしてその土地の中にあることで、ぐっと実感が湧いてくることでしょう。
巾着田の閉じ口にあたる、高麗川に挟まれた道沿いには高麗家古民家があります。江戸末期から明治にかけて建てられて建造された古民家で、2014年に国の登録有形文化財に指定されました。土蔵が2棟に、桁行が23メートルもある母屋。奥の間には金箔屏風の部屋など、当時の名主としての豊かな暮らしが伺えます。
この高麗郡古民家、桃の節句にはひな人形、端午の節句にはこいのぼりといった風に、四季折々の節句人形が飾られています。こうした風景も、今では貴重な山里の風景かもしれません。
高麗駅から西方向へ、五分ほど足を運んだ場所には、旧石器時代の住居跡があります。駅から標識に従って歩いていくと次第に道が狭まり、畠の間を抜け、景色が急に広がった場所が、ここ高麗旧石器住居跡です。
周囲に比べて、すこし高台になった場所に位置し、高麗川や日和田山が間近に望めるこの地。縄文人と同じ気持ちになって眺めてみると、この地が山間ながらも大きな豊かさに支えられていたことが、十分に実感できるでしょう。
その後、この地には高句麗から訪れた渡来人が移り住み、高麗郡を建てました。2016年は、高麗郡建郡から1300年にあたっています。
全部回って約3時間ほどの散歩道。その全てが里山の自然に囲まれていて、ここは身近な隠れ里という風情。周囲にはカフェなどもあり、途中休憩にもとても便利。
他にも足に自信がある人は、ここから日和田山に登ってみるのもいかがでしょうか。標高305メートルは子供でも安心して登れる高さ。また30分ほど歩けば、聖天院、高麗神社といった、高麗郡の歴史を伝える寺社仏閣もあります。
自然と文化の宝庫は、こんな場所にもあります。ぜひ気軽に足を運んでみてください。
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(2024/4/25更新)
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