美しきアルハンブラ宮殿!スペインの古都グラナダでイスラム王国の栄華と絶景を楽しむ

美しきアルハンブラ宮殿!スペインの古都グラナダでイスラム王国の栄華と絶景を楽しむ

更新日:2018/07/27 12:40

スペインの古都グラナダ。この街の緑豊かな小高い丘の上に建つアルハンブラ宮殿は、この地を支配していたイスラム教徒の栄華の象徴であり、キリスト教徒との戦いに敗れ、追放される悲劇の舞台でもありました。その外観は威風堂々としながら、内部は繊細かつ幻想的。さあ、ギターの名曲『アルハンブラの思い出』の旋律のように、優美で、哀愁に満ちた千夜一夜の世界を、アルハンブラ宮殿で堪能してみましょう!

サン・ニコラス展望台から眺める壮大なアルハンブラ宮殿!

サン・ニコラス展望台から眺める壮大なアルハンブラ宮殿!
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高く荒涼としたシエラ・ネバダ山脈の麓、古都グラナダの丘の上に静かに佇む壮麗なアルハンブラ宮殿。この宮殿が建設されたのは、この地にイスラム教徒によるグラナダ王国が建国された13世紀以降のことです。

イスラム教徒の本拠地だったコルドバ、セビーリャがキリスト教徒によるレコンキスタ(国土回復運動)によって陥落した後、アラブ系ナスル族出身のムハンマド1世がナスル朝を開国し、1238年にグラナダに都を置いたことに始まります。

アルハンブラ宮殿の意味は「赤い城」。初代王から建設が始まり、歴代の王により受け継がれました。宮殿と呼ばれていますが、内部は王の宮殿をはじめ、貴族の館やモスク、市場、軍事要塞などが整備された城塞都市を形成し、城内には貴族を中心に2000人以上が暮らしていたと言われています。

重厚な砦に囲まれた宮殿は、街中の至る所から見ることができます。しかし、サン・ニコラス展望台から眺める壮大なアルハンブラ宮殿は、世界一美しく、まさに絶景。その憂愁に満ちた建物の全景は、かつて難攻不落を誇った時代の名残りを感じさせます。

緑豊かなアルハンブラ宮殿の敷地内は、イスラム王国の楽園!

緑豊かなアルハンブラ宮殿の敷地内は、イスラム王国の楽園!
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アルハンブラ宮殿の敷地内は、まさに「楽園」。広大で美しいエキゾティックな庭園と、いくつもの壮麗な建物が点在しています。

高度なアラブ建築の技術が集約されたこの宮殿は、グラナダが陥落した後も、ほとんど破壊されませんでした。それどころか、後のキリスト教徒の王たちによって改築や増築が続けられたため、アラブ様式だけでなく、中世イタリアのルネッサンス様式など、芸術性ある建物が調和よく混在しています。

市街からアルハンブラ宮殿までの行き方は、アルハンブラバスと呼ばれる小型バスやタクシーの利用が便利ですが、体力に自信のある方は、昔ユダヤ人居住区だったレアレホ地区から歩くのもお勧めです。チケット売り場は坂道の上にありますが、ザクロの門から続く城壁に沿った小道は静かな林に覆われ、のんびり歩けます。

敷地内は緑豊かで、至る所からグラナダ市街が見渡せます。ホテルやカフェもあるので、散歩気分でくつろぎながらの観光を楽しめます。15世紀に建てられたフランシスコ会の修道院は、現在『パラドール・デ・グラナダ』という高級ホテルなので、アルハンブラ宮殿観光に集中したい方は、敷地内に滞在もできます。

幻想的なアラブ様式の広がるナスル朝宮殿は、見逃せないアルハンブラ宮殿の中心!

幻想的なアラブ様式の広がるナスル朝宮殿は、見逃せないアルハンブラ宮殿の中心!
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アルハンブラ宮殿の心臓部と言われるナスル朝宮殿。王の居住空間でもあり、政治を司っていたこの建物は、典型的なアラブ様式の建物で、アルカサバと呼ばれる軍事要塞の隣に位置しています。

宮殿内部は、どの部屋の壁や天井にもアラベスクと呼ばれる幾何学模様の装飾が施され、技巧の精密さに圧倒されます。その豪華さからイスラム芸術の結晶、あるいは最高峰と言われ、建設当時は「王は魔法を使って宮殿を完成させた!」と人々を感嘆させました。

ライオンの中庭周辺には124本もの大理石の柱が立ち並び、梁から天井にかけては細かい彫刻が施されています。とても優美な空間で、芸術や建築様式に興味のある方には、見逃せない場所の一つでしょう。

ところで、宮殿はその華麗な佇まいとは裏腹に、血に塗られた歴史や物語も言い伝えられています。宮殿を造ったイスラムの王スルタンたちが権力争いや恨みから惨殺されたり、ライオン宮では、政敵の策略によって王の妃との密会を疑われたアベンセラヘス家の男性36人が斬首刑にされ、夜中にそのうめき声が聞こえるなど、背筋がぞっと凍る逸話もあります。そうした中世の悲劇もまた、アルハンブラ宮殿の謎めいた魅力の一つかもしれません。

二姉妹の間の天井の鍾乳石飾り、その神秘的な美しさは圧巻!

二姉妹の間の天井の鍾乳石飾り、その神秘的な美しさは圧巻!
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ナスル朝宮殿の中で、特に美しいのが二姉妹の間です。この部屋は、イスラム教の預言者ムハンマドが弾圧から逃れて籠った洞窟を表して造られています。

八角形の天井は、預言者を追手から守った巨大な蜘蛛の巣を表し、5416個もの鍾乳石飾りが緻密な計算によって施されています。これは「ムカルナス」と呼ばれるイスラム建築特有のデザインで、息を呑むほど神秘的な美しさです。繊細かつ精密な技巧は宮殿随一を誇っています。

イベリア半島におけるイスラム教徒の栄枯盛衰の象徴とも言うべきアルハンブラ宮殿ですが、19世紀にアメリカの作家ワシントン・アービングがナスル宮の一室で執筆していた当時は、勝手に貧しい人々が居つく廃墟同然でした。

しかし、彼が1832年に旅行記『アルハンブラ物語』を発表すると、瞬く間に世界中にその名が広がり、多くの観光客が訪れるようになりました。二姉妹の間を出て回廊を渡ると、アービングの質素な部屋が残され、今もその記憶を残すプレートが掛けられています。

アルハンブラ宮殿から望む絶景、白亜のアルバイシン地区。

アルハンブラ宮殿から望む絶景、白亜のアルバイシン地区。
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15世紀後半、レコンキスタによりカスティーリャ女王イサベル1世がイスラム教徒からグラナダを奪還すると、アルハンブラ宮殿はイスラム王朝の終焉を迎える悲しみの場となりました。

グラナダ最古の街並みが今も残るアルバイシン地区では、最期の抵抗を試みるアラブ人たちの凄惨な流血で、美しい白壁と石畳が赤く染まったと言われています。

アルハンブラ宮殿の敷地の北西のエリアからは、その白壁で統一されたアルバイシン地区が一望出来ます。迷路のような細い路地に、アラブ商店街やパティオのある高級住宅が整然と入り組むように建てられているのが分かり、その眺めはスペイン・アンダルシア地方独特の素晴らしさです。

また、アルカサバにあるベラの塔からは、アルバイシン地区だけでなく、遠くの景色まで360度の大パノラマで見渡せます。それは素晴らしい絶景ですが、その展望からアルハンブラ宮殿がイスラム王朝繁栄の象徴というだけでなく、軍事要塞として重要な拠点だったことが分かるでしょう。

アルハンブラ宮殿の見学はチケットが必要。予約は電話やインターネットでもOK!

アルハンブラ宮殿の入場には、基本的にチケットの購入が必要です。特に、ナスル朝宮殿は入場が制限されており、チケットを購入した際に指定された時間内に入らないと無効になるので注意が必要です。

但し、ナスル朝宮殿、アルカサバ、ヘネラリフェ、パルタル庭園以外はチケットがなくても入場できます。その場合は、チケット売り場のある場所からではなく、裁きの門(Puerta de la Justicia)から入ります。

夜はナスル朝宮殿のみ見学可能。日本から電話やインターネットでも予約できます。夏季の混雑する時期や時間のない方には便利です。

掲載内容は執筆時点のものです。 2012/08/17−2015/06/25 訪問

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