世界遺産サフランボルでトルコの古民家の街並みと生活展示を楽しもう!

世界遺産サフランボルでトルコの古民家の街並みと生活展示を楽しもう!

更新日:2016/05/02 17:06

菊池 模糊のプロフィール写真 菊池 模糊 旅ライター、旅ブロガー、写真家
トルコ北部のサフランボルという田舎町には、古い木造の建物がたくさん残っています。世界遺産に指定されたことから、観光地としても脚光を浴びつつあります。
古民家の風景と生活展示があり、散策しながら庶民の歴史を実感できるサフランボル。時間がゆっくりと流れる、古き良きトルコを感じる場所としておすすめします。

サフランボルの歴史と現在

サフランボルの歴史と現在

写真:菊池 模糊

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サフランボルは、トルコの首都アンカラから北150kmの山間に広がる小さな町です。
黒海沿岸から近く、昔は香料サフランの集積地であったことから「サフランの町」という意味でサフランボルと名付けられました。

古くからシルクロードの中継点であり、オスマン帝国の時代は宿場町として栄えました。
しかし、鉄道の路線からはずれたことから、20世紀の近代化の波に取り残されたのです。
過疎化した寂れた田舎町となりましたが、最近は古い街並みが貴重な観光資源として再評価され、木造の伝統的古民家集落の町として注目されるようになりました。そして、1994年にはサフランボル旧市街全体がユネスコの世界遺産に登録されました。

現在のサフランボルでは、修復された2〜3階建ての木造家屋が連なり、独特の景観を形作っています。(写真参照)
大都市や遺跡の多いトルコの観光地としては、こうした古民家集落は珍しく、重要伝統的建造物群保存地区として保全されています。

サフランボルの名物土産物など

サフランボルの名物土産物など

写真:菊池 模糊

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サフランボルの古い街並みを散策するのは、とても楽しいものです。
石畳の道と上階が出窓状に突き出した木造家屋が、歴史を感じさせます。
古い家を利用したホテル、レストラン、カフェなども立ち並び、とても良い雰囲気です。

サフランボルの由来となったサフランに因む土産物もたくさん売られています。
サフランの香水や石鹸そしてサフランを含む各種の食べ物などです。
中でも、サフラン入りのロクムというお菓子は、サフランボルならではの名物ですので、ぜひ一度味わってみてください。

銅製器もサフランボルの特産品で、鍛冶屋さんが多く、職人が丹精込めてつくった食器などは、とても味わい深いものです。
また、手作り土産品も多く、写真にあります木製のおもちゃなどは、暖かみががあり懐かしさを感じるものです。どこか日本の木製品にも似ています。
現代的な都市や観光地ではあまり見られないこうした小さな玩具を、お土産として買って帰られてはどうでしょうか。

民家カイマカムラル・エヴィを見学

民家カイマカムラル・エヴィを見学

写真:菊池 模糊

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サフランボルには内部を公開している民家があり、イスラム圏では、こうした古い庶民生活の場を見られる場所は少ないので、貴重な経験となります。
おすすめはカイマカムラル・エヴィで、サフランボルでの必見の観光スポットと言えるでしょう。

かつてトルコの裕福な市民は、大家族で暮らし、大きな家を建てて一族がまとまって生活していました。築200年の古民家住宅であるカイマカムラル・エヴィでは、こうした家庭内の様子を、人形などを使って分かりやすく展示しており、非常に興味深いものです。

1階は土間のようになっており、馬が繋げる空間と玄関があります。
2階〜3階は生活の場で、中央広間を囲んで多くの部屋があります。
セラムルクと呼ばれる男性専用のサロンと、ハラムルクと呼ばれる女性専用のサロンがあり、完全に分離されています。
写真は男性専用サロンでくつろぐ人々の様子です。人形を使うことにより、目の前に昔の古民家の生活の雰囲気を感じることができます。銅製の食器なども歴史を感じさせるものです。

カイマカムラル・エヴィの室内の工夫

カイマカムラル・エヴィの室内の工夫

写真:菊池 模糊

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かつてイスラム教の教えに基づく厳格な生活を送っていたサフランボルの人々は、家屋の構造にも気を配っていました。
カイマカムラル・エヴィの室内には、このための工夫がいろいろあります。

女性の部屋は男性が入りにくくなっており、家の外からも中が見えないように窓が目隠しされています。
女性だけのサロンのみならず、鮮やかな衣服が飾られた衣装部屋や育児部屋もあり、女性を中心とする、それなりに豊かな家族生活が垣間見られます。

さらに、女性が調理する台所も、独特の構造になっています。たとえば、ドアを開けて直接食事を運ぶのではなく、男性客がいる中央広間へは回転式の配膳棚があり、まったく顔を合わせないで給仕する仕組みに工夫されています。(写真参照)

また、2階ベランダは細かい格子に囲まれており、住人の女性が顔を見られることなく外を覗くことが出来るようになっています。
風呂は隠し戸棚方式になっており、これも興味深いつくりです。

サフランボルのアラスタバザール

サフランボルのアラスタバザール

写真:菊池 模糊

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サフランボル旧市街の真ん中にかわいいバザールがあります。
17世紀から続いている伝統のある商店街で、アラスタバザールと呼ばれています。

写真はアラスタバザールの門から、バザール内部を撮影したもので、中央に人が集まっているのは簡易チャイハネです。炭火で湯を沸かしてチャイを露天販売しており、お馴染みさんが集まり談笑しているようです。
古い葡萄棚が上部にあり、冬は太陽が降り注ぎ、夏には葉が茂って日よけアーケードとなり、素敵な雰囲気を醸し出しています。

アラスタバザールでは、食品・衣類・玩具・理髪店・土産物店などが立ち並び、小さいながらも市民の生活を支えていることが分かります。
中でも靴屋さんはハンドメイドの店として長い歴史があり有名ですので、ぜひ覗いてみましょう。

サフランボルには、民家を改築したホテルがあり、木造の宿屋といった感じの部屋で宿泊することもできます。
また、サフランボル歴史博物館では、オスマン帝国時代の家財道具などが展示されており、伝統工芸の作業風景展示も見学できます。
さらに、旧市街周辺には、刑務所跡地や、ブドゥルルックの丘というビュースポットもありますので、時間があれば行ってみてください。

最後に

サフランボルの旧市街では、近代的な建築は禁止されており、伝統的な古民家住宅を修復し保全につとめています。
日本でも参考になる、歴史を大切にする町づくりのモデルとも言えるでしょう。

サフランボル旧市街は、徒歩で十分に観光できます。
古い民家に囲まれた石畳の道を行きつ戻りつしながら、今なお中世的な雰囲気を残すサフランボルの町を、ゆっくりと味わってください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/03/15 訪問

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