写真:乾口 達司
地図を見る海の博物館は1971年に開館し、1992年現在の地に移転しました。2012年現在、海にちなんだ6万点近い実物資料が所蔵されており、国指定の重要有形民俗文化財だけでも6879点にのぼります。こういった豊富な資料にもとづき、海の民の暮らしが、身近な例によって、紹介されています。
たとえば、写真は、結納の際に並べられる結納飾りの一例です。中央には、「御目出度い」という言葉と掛け合わせたタイのつがいが飾られています。ほかにも、新郎の運気の向上を「勝男」という言葉と引っ掛けた鰹節や、元気な子どもが生まれるようにと願った「子生婦」=昆布など、縁起を担いだ海の幸がたくさん見られます。海の民にふさわしい結納飾りですね。
写真:乾口 達司
地図を見る四季折々の祭礼も、海と深い関わりを持っています。写真は、地元・鳥羽市の菅島に見られる「ジンカンブネ」と答志島の「デッコロボ」。いずれも精霊船と称される作り物の小船で、お盆の行事の際、海に流されます。それぞれの船に乗せられた小さな人形は彼らのご先祖さまを表しており、精霊船を海に流す際、現世の災厄を一緒に持って行ってくれるとされています。
写真:乾口 達司
地図を見る志摩半島にはたくさんの海女さんたちが暮らしていることもあり、館内には海女さんの習俗に関するものも展示されています。星型は「セーマン」、格子型は「ドーマン」と呼ばれており、陰陽道に由来する魔除けの印といわれています。トモカズキと呼ばれる海の魔物から身を守るため、潜水中に身につける手拭や襦袢などにほどこされます。
写真:乾口 達司
地図を見る船の棟と呼ばれる収蔵庫には、全国から集められた80隻近い木造船が、ところ狭しと並べられています。小型船舶の多くがガラス繊維強化プラスチックで造られるようになって以降、木造船を見かける機会はほとんどありません。それだけに、収蔵庫に保存されている木造船の数々は、きわめて貴重な歴史遺産です。
写真:乾口 達司
地図を見る海の博物館を訪れたら、展示品を収蔵する建物自体にも、目を向けて下さい。いずれも内藤廣の設計によるもので、日本建築学会賞をはじめ、数々の賞を受賞しています。写真は2棟から成る展示棟のうちの1棟。外枠は鉄筋コンクリートで作られているものの、内部は構造用集成材を使ったトラス構造となっており、木の存在感が際立っています。特に、見上げるほど高い天井と、そこにわたされた梁の並びは圧巻の一言。建築マニア、必見です。
海に生きる民の暮らしを知ることが出来る貴重な博物館であることが、おわかりになったのではないでしょうか。海の博物館では、ほかにも、海洋汚染に対する警告や自然保護運動も積極的に展開されており、私たちにとって、海がかけがえのない自然環境であることを認識させられます。海の民の暮らしを知ることはもちろん、私たちの暮らしが海と深い関わりを持っていることを知るためにも、志摩半島を旅した折には、ぜひ足を運んでいただきたく思います。
入場料 大人800円 高・中・小学生400円
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(2024/4/19更新)
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