豪壮な建造物にも注目!海に生きる民の暮らしを紹介した志摩半島・海の博物館

豪壮な建造物にも注目!海に生きる民の暮らしを紹介した志摩半島・海の博物館

更新日:2013/08/30 15:50

乾口 達司のプロフィール写真 乾口 達司 著述業/日本近代文学会・昭和文学会・日本文学協会会員
海の博物館は、漁師や海女さんなど、海に生きる民の暮らしを紹介した博物館です。海の民の暮らしを紹介した博物館は全国的に珍しく、古来、海と深い関わりを持って来た志摩半島ならではといえるでしょう。意外と知られていない彼らの暮らしを学ぶのにも、格好のスポットです。海にちなんだ数々の展示品を目にしながら、私たちの暮らす日本が、豊かな海にかこまれた島国であることを実感しましょう。

海産物がいっぱい!海の民ならではの結納飾り

海産物がいっぱい!海の民ならではの結納飾り

写真:乾口 達司

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海の博物館は1971年に開館し、1992年現在の地に移転しました。2012年現在、海にちなんだ6万点近い実物資料が所蔵されており、国指定の重要有形民俗文化財だけでも6879点にのぼります。こういった豊富な資料にもとづき、海の民の暮らしが、身近な例によって、紹介されています。

たとえば、写真は、結納の際に並べられる結納飾りの一例です。中央には、「御目出度い」という言葉と掛け合わせたタイのつがいが飾られています。ほかにも、新郎の運気の向上を「勝男」という言葉と引っ掛けた鰹節や、元気な子どもが生まれるようにと願った「子生婦」=昆布など、縁起を担いだ海の幸がたくさん見られます。海の民にふさわしい結納飾りですね。

海と深い関わりを持つお盆の祭礼・精霊船

海と深い関わりを持つお盆の祭礼・精霊船

写真:乾口 達司

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四季折々の祭礼も、海と深い関わりを持っています。写真は、地元・鳥羽市の菅島に見られる「ジンカンブネ」と答志島の「デッコロボ」。いずれも精霊船と称される作り物の小船で、お盆の行事の際、海に流されます。それぞれの船に乗せられた小さな人形は彼らのご先祖さまを表しており、精霊船を海に流す際、現世の災厄を一緒に持って行ってくれるとされています。

海女さんゆかりの「セーマン」「ドーマン」

海女さんゆかりの「セーマン」「ドーマン」

写真:乾口 達司

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志摩半島にはたくさんの海女さんたちが暮らしていることもあり、館内には海女さんの習俗に関するものも展示されています。星型は「セーマン」、格子型は「ドーマン」と呼ばれており、陰陽道に由来する魔除けの印といわれています。トモカズキと呼ばれる海の魔物から身を守るため、潜水中に身につける手拭や襦袢などにほどこされます。

木造船が並べられた歴史遺産の宝庫・船の棟

木造船が並べられた歴史遺産の宝庫・船の棟

写真:乾口 達司

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船の棟と呼ばれる収蔵庫には、全国から集められた80隻近い木造船が、ところ狭しと並べられています。小型船舶の多くがガラス繊維強化プラスチックで造られるようになって以降、木造船を見かける機会はほとんどありません。それだけに、収蔵庫に保存されている木造船の数々は、きわめて貴重な歴史遺産です。

数々の建築賞を受賞した展示・収蔵庫

数々の建築賞を受賞した展示・収蔵庫

写真:乾口 達司

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海の博物館を訪れたら、展示品を収蔵する建物自体にも、目を向けて下さい。いずれも内藤廣の設計によるもので、日本建築学会賞をはじめ、数々の賞を受賞しています。写真は2棟から成る展示棟のうちの1棟。外枠は鉄筋コンクリートで作られているものの、内部は構造用集成材を使ったトラス構造となっており、木の存在感が際立っています。特に、見上げるほど高い天井と、そこにわたされた梁の並びは圧巻の一言。建築マニア、必見です。

海に生きる民の暮らしを知ることが出来る貴重な博物館であることが、おわかりになったのではないでしょうか。海の博物館では、ほかにも、海洋汚染に対する警告や自然保護運動も積極的に展開されており、私たちにとって、海がかけがえのない自然環境であることを認識させられます。海の民の暮らしを知ることはもちろん、私たちの暮らしが海と深い関わりを持っていることを知るためにも、志摩半島を旅した折には、ぜひ足を運んでいただきたく思います。

入場料 大人800円 高・中・小学生400円

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掲載内容は執筆時点のものです。 2013/07/16 訪問

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