房総のむらへは、交通アクセスとしては車が便利。また安食駅からは、本数は少ないながらバスも出ている。でも、せっかく万葉の息吹を感じるのであれば、歩いてくるのもお勧め。時間にして30分ほどの散歩道だ。
地図を手に田舎道を辿ってきた人は、何気ない入口とは裏腹に、全長一キロに渡って突如現れる古墳群に面食らうだろう。円墳、方墳、帆立貝式古墳、前方後円墳も含めて、次々と現れる古墳は、大きさも形も大小様々。
学校で習う王墓だけが古墳ではない。ここは「古墳とは本当はこんなに多様だったんだ!」という事を実感出来る場所なのである。
古墳の道を抜けた先は、江戸時代の二軒の古民家が並ぶエリアだ。国指定の重要文化財「旧御子神家住宅」、そして県指定の重要文化財「旧平野家住宅」が、この地に移築されている。
この辺りから散策道の風景も少しずつ山里の雰囲気へと変わっていく。
古びた漆黒の柱から感じられるのは生活感。庭に開いた軒先や、今ではほとんど見られなくなった土間は、自然と一体となった当時の暮らしを彷彿させてくれる。
そして道の終わりに移築されているのは、同じく国指定の重要文化財「旧学習院初等科正堂」。今も新宿四谷にある、あの学習院初等科の旧正堂だ。
この近代洋風建築は、昭和の初めに千葉県印旛の高等小学校へと下賜され、重要文化財に指定されるのに伴い、房総のむらへと移築された。今は素晴らしく房総の風景に溶け込んでいて、建物の中へも自由に入ることができる。
明治時代になり、日本は大きく変わった。
そのハイカラな形や色使いは世の中が移り変わったことを、当時の人に十分実感させたことだろう。
風土記の丘を抜けた先、散歩道の最後に控えるのは日本最大級の方墳、岩屋古墳だ。この古墳が木立の向こうにその巨大な姿を見せた時は、ちょっとした感動さえ覚える。
小さな古墳ではその形状を判別するもの難しい中で、一辺が78メートル、高さは13メートル、3段築成の古墳は、一目見てそれが方墳とわかる。この付近にはもう一つ大規模古墳である浅間山古墳があり、また国指定史跡の龍角寺という関東最古の寺もあって、下総の古い歴史を伝えている。
今では想像もつかないほどの古代の賑わい。
ここ風土記の丘エリアは、その名に相応しい歴史の営みを私たちに見せてくれる、素晴らしい場所なのだ。
今回は見どころ満載の房総のむらを、大人向けに切り取って「風土記の丘エリア」の散策道として紹介。
もちろん「ふるさとの技体験エリア」の復元された街並みも素晴らしい。だけど何より本物だからこそ感じられる実感もある。散策道の途中には他にも風土記の丘資料館があり、埴輪を並べた復元古墳もありと、学習方面での施設も充実。
房総のむら「風土記の丘エリア」は本物を巡る散歩道。おすすめです。
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