日本の野生馬“御崎馬”と青い海に感動!宮崎県「都井岬」

日本の野生馬“御崎馬”と青い海に感動!宮崎県「都井岬」

更新日:2016/04/08 11:31

村井 マヤのプロフィール写真 村井 マヤ 中国・九州文化的街並探検家
宮崎県の日南海岸沿いには、素晴らしい絶景と美味しい海の幸も味わえる観光スポットが至る所に・・。今回は、そんな日南海岸の最南端の地串間市「都井岬」のご紹介!この都井岬には、江戸時代にその地を治めていた高鍋藩の藩営牧場がありました。今でも、「御崎馬」と呼ばれる当時の馬たちが野生のまま自由に暮らしています。雄大な都井岬の絶景と無心に草を食べ続ける馬の姿には、思わずほっこり、心癒される旅になるでしょう♪

野生馬が暮らす「都井岬」へ心癒される旅を

野生馬が暮らす「都井岬」へ心癒される旅を

写真:村井 マヤ

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宮崎市街地から、車で約2時間20分、美しいドライブコース「日南フェニックスロード」をひた走り、途中から都井岬へ向かう山道へ。しばらく走ると「駒止の門」に到着。ここで「御崎馬保護育成協力金」を支払います(*)。
自動車のまま、野生馬が生息する区域へ入ることができます。ただし、制限速度は30kmになっていますのでご注意を。野生馬が道路に出ていることもありますので、ゆっくり運転しましょう。

都井岬には、野生馬「御崎馬(みさきうま)」が100頭ほど生息しています。天然記念物に指定されている御崎馬が、のんびりと草を食む姿は癒されますよ。馬の姿だけではなく、岬からの眺めは息をのむほどの素晴らしさです。この岬には「都井岬灯台」や「御崎神社」「都井岬ビジターセンター(うまの館)」などもありますので、馬の生態やより深く御崎馬を知りたい方は、「都井岬ビジターセンター」を訪ねてみましょう。
ところどころに駐車場がありますので、車を停めて散策できる範囲で、美しい自然と野生馬に癒されましょう・・。

都井岬へは、串間市コミュニティバスでも行くことができます。JR日南線串間駅から約45分で「都井岬」下車です。

*御崎馬保護教育成協力金:車1台/400円、バイク1台/100円です。

野生馬ガイドは「都井岬ビジターセンター(うまの館)」で

野生馬ガイドは「都井岬ビジターセンター(うまの館)」で

写真:村井 マヤ

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「都井岬ビジターセンター(うまの館)」は、バス停「都井岬」から徒歩5分の場所にあります。小高い丘の上に建つモダンな建物です。ビジターセンターでは、都井岬のジオラマ、人と馬の歴史、御崎馬の生態や環境についても学べます。また、都井岬を約1時間かけて巡ることができる「野生馬ガイド」も行っていますので、時間に余裕がある方は事前予約をして、都井岬の散策及び御崎馬の生態、歴史、岬一体に生息する植物や動物についての解説もしてもらうとよろしいでしょう。

自然の中で生まれ、育ち、やがて死んでいく野生馬たち

自然の中で生まれ、育ち、やがて死んでいく野生馬たち

写真:村井 マヤ

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都井岬に生息している御崎馬たちの歴史についても、簡単にご説明します。
この都井岬に最初に牧場が作られたのは、江戸時代のこと。当時、現在の串間市を治めていたのは、高鍋藩秋月氏でした。高鍋藩より飫肥藩の方が近いのですが、秋月種実(1567-1614)の時代に筑前国から日向国串間3万石に移封され、のちに高鍋城(財部城)に居城を移し、高鍋藩が成立したので、もともと串間が最初の領土だったのですね。

江戸時代の元禄10(1637)年、今日の串間市を中心に7つの藩営牧場を作り、軍馬や農耕馬の生産に励みました。そのひとつが、「都井村御崎牧」でした。この牧場で生産される馬を「御崎馬」と呼び、現在に至っています。
この御崎馬は、牧場開設当時から、ほとんど放し飼い状態で、廃藩後に共同牧場になってからも変わらず、自然のままに放牧されていたようです。
御崎馬の風貌や体型、資質は野生状態をあらわしており、それゆえ「都井の野生馬」と呼ばれるようになりました。
昭和28年には、「自然における日本特有の動物群集」として国の天然記念物に指定されました。

野生馬は、1頭の雄馬を中心とする「ハーレム」を形成して生活をします。1頭の雄馬に数頭の雌馬で構成され、そこで生まれた子馬たちも3歳くらいになると、雌は別のハーレムの一員になるか若い種雄馬と新しいハーレムを形成します。雄子馬の場合、ハーレムを持てない馬は、同じくハーレムを持てない雄馬だけのグループに入り、ハーレムを作るチャンスを待つそうです。

繁殖時期は、だいたい春から初夏にかけてですので、4月から5月におでかけになったら、可愛い子馬をご覧になれるかもしれませんね。
都井岬に行かれたら分かりますが、馬たちがいる丘や草原は平たくはありません、草原を走っているイメージでしょうが、そんな優雅な環境ではなく、山あり谷あり林だってあります。そんな所を馬たちは季節に応じて移動し、秋から冬には、山を下り海岸近くの南側の雑草地や林地で過ごすのです。
そんな風に生き、死ぬ時もそっといなくなり、死体を見つけるのも困難だと言われています。亡骸は、白骨化した状態などで発見されることも多いようです。

野生馬「御前馬」の特徴とは?

野生馬「御前馬」の特徴とは?

写真:村井 マヤ

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自然の中を力強く生きている御崎馬たちを見ていると勇気づけられるとともに、愛おしくなりますよ。
のんびりと生きているようですが、野生の動物ですので獰猛な部分もあります。ついつい近くまで寄って写真など撮りたくなるものですが、近づきすぎは禁物です。また、触れたり、周りを囲んだりしないように!かまれたり、蹴られたりする場合もありますので、くれぐれもご注意を。

さて、「御崎馬」の特徴を簡単にご説明します。まずはその体格ですが、大きさは、体高が130cmほど、体重も300kg前後で、その特徴から蒙古馬がルーツであることが分かります。また、未改良馬の特徴である背中の鰻線や河原毛も蒙古馬との共通点です。蒙古馬をルーツとしている日本在来馬の特徴をことごとく御崎馬は備えています。
粗大で楔形の頭部、水平な頸、短いが丈夫な四肢などがそれです。乗馬クラブなどにいるサラブレッドに比べると小さめ。

また、過去300年以上も厳しい自然の中で生き抜いてきた「御崎馬」たち。その野生馬独特の生態も特徴です。前述した「ハーレム」を形成する点など非常に興味深いですよね。また、ハーレムという群れ社会を形成していると起こりうる縄張り争いも当然あります。
「御崎馬」たちの季節ごとに餌を得られる最適な場所へと移動する習性も、野生ならでは。

都井岬の大自然に抱かれ、のびのびと生きてきた野生馬たち。「御崎馬」と呼ばれる愛らしく力強い馬たちとの出会いは、一生忘れられない宝物となるでしょう・・。

「都井岬灯台」からの素晴らしい絶景も必見!

「都井岬灯台」からの素晴らしい絶景も必見!

写真:村井 マヤ

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都井岬の海抜250mの断崖の上に建つ真っ白な灯台が、「都井岬灯台」です。この灯台は、中に入ることができますので(有料)、ぜひ登って、灯台からの絶景を堪能しましょう。高い所が苦手な方には、ちょっと怖いかも知れませんが、美しさに圧倒されます。

灯台に初めて灯がともったのは、昭和4(1929)年12月22日のこと。日向灘の雄大な青の世界は、豊かな自然とその美しさで満たされています。天気が良い日には、鹿児島県内之浦のロケット基地や種子島も遠望できますよ。

*都井岬灯台参観寄付金:中学生以上200円、時間:9:00-16:30です。

「観光トビウオすくい」やトビウオ料理も堪能しよう

御崎馬のおおらかな姿と都井岬の美しい景色、1時間も散策すれば心は十分満たされることでしょう・・。岬の澄み切った空気のおかげで、普段運動不足の方でも思わずはりきって歩いてしまうかも。

御崎馬と都井岬の自然を堪能したら、お腹も空いてくるのでは?都井岬の食事処は少ないですが、「民宿海洋荘」では宿の提供だけではなく、トビウオ料理やその他海の幸、伊勢海老料理も頂けます。おしゃれなレストランはありませんが、リーズナブルで新鮮な料理が味わえますよ。
また、「黄金荘」でもお食事ができます(要予約)。
宿泊施設としては、国民宿舎もございます。じっくり馬の観察がされたい方は宿泊がオススメです。

また、串間といえば「トビウオ」!「観光トビウオすくい」を毎年6月から10月まで行っていますので、ぜひ体験してみて下さいね。

都井岬の宿泊・食事処、「観光トビウオすくい」についての詳細は下記MEMOをご覧ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/03/28 訪問

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