那珂川畔の一軒宿とパワースポットも!湯治の里・栃木「板室温泉」

那珂川畔の一軒宿とパワースポットも!湯治の里・栃木「板室温泉」

更新日:2016/03/29 16:08

板室温泉は茨城県に注ぐ那珂川上流の渓谷にある温泉街。平安時代に発見されたと伝えられている温泉は、優れた効用から「下野の薬湯」と呼ばれ、栃木県では日光湯元に次いで「国民保養温泉地」に指定されています。

温泉の守護神が奉られている板室温泉神社や、神が宿った岩のくぼみを信仰する篭岩神社などの板室温泉パワースポットと、自然の中にたたずむオススメの一軒宿といった板室温泉の魅力や見どころを紹介します。

肌触りが柔らかい単純泉!アルカリ性の温泉は美肌の湯!

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板室温泉の泉質は無色透明のアルカリ性単純泉で、成分が薄いため刺激が少なく、肌触りが柔らかい温泉です。成分が薄いため即効性はありませんが、その分刺激が少ないので、脳卒中や神経痛のリハビリに利用されます。また、アルカリ性単純泉は肌の角質を取る美肌効果があり、「美肌の湯」と言われ、単純泉は子供も高齢者も安心して入浴できるため「家族の湯」とも言われています。

単純泉は、鎮静効果があり、病後回復や疲労回復、ストレス解消、健康増進に効能があります。効能は、神経痛、筋肉痛、五十肩、冷え性、疲労回復、病後回復。那須岳山麓を源とし、茨城県大洗町に注ぐ、那珂川上流の渓谷に沿って並ぶ温泉は自然豊かで、森林浴効果も期待できます。

時代とともに好まれる温泉も変わっているようで、現在では刺激があり即効性がある温泉が好まれる傾向にあります。板室温泉は時代の流れに抗うことなく、歴史を刻み続けている素朴な温泉郷。貴方も950余年の歴史がある温泉と、神は山や木、岩などに宿ると考えた古代人の信仰に触れ合ってみませんか。

板室温泉神社の祭神は国造りの神様か、神が宿った板室の温泉か?

板室温泉神社の祭神は国造りの神様か、神が宿った板室の温泉か?
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古代の人は、木や山、岩などに神様が宿ると考えていました。木に宿る神は神木、山の場合は、神体山、岩の場合は、磐座などと呼ばれます。板室温泉神社の祭神は、日本の国造りの神「大己貴神(おおなむちのみこと)」と「少彦名命(すくなひこなみのみこと)」、創建は寛文2年(1662年)との記録も。板室温泉の開湯の歴史からすると、それ以前から温泉を守護神とした神社があったと考えられています。

板室温泉神社へは、板室温泉街を奥に入り、加登屋本館の脇にある小さな橋が参道の入り口です。豊かな湧水で清めた後、登りの参道を上ると本殿に至ります。本殿は、文政10年(1827年)に再建とされ、全面の柱には、松竹梅に孔雀、梁には竜の彫刻があります。

境内には、杖が必要無くなった参拝者が奉納した杖があります。板室温泉の別名は「杖要らずの湯」と言われているので、これを象徴する神社です。山の中腹にある神社は、森林に囲まれ時が止まっていると感じます。

乳がんが治癒に由来する篭岩神社!子宝祈願は木の俣地蔵へ!

乳がんが治癒に由来する篭岩神社!子宝祈願は木の俣地蔵へ!
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篭岩神社は、岩のくぼみが篭の目に見えたことから名付けられました。岩のくぼみに神が宿ると信じた古代人が、湯治により病気が全快したお礼に地蔵様を奉納したのが始まりと言われています。板室街道沿いにある鳥居をくぐると、左胸をあらわに出した地蔵様が祠に安置されています。

この地蔵様は、乳がんの治癒したお礼に奉納されたと伝えられ、無病息災、家内安全の地蔵様として親しまれています。このため、板室温泉には、乳がんに対する理解と支援を活動理念とする「ピンクリボン運動」に多くの宿が賛同し、入浴着を着て温泉に入ることが出来ます。2016年3月現在、東日本大震災の影響で閉鎖され、この先の岩場に行くことはできません。安全に整備され先人の信仰に早く触れ合いたいものです。

板室街道から深山ダムに向かう途中に、木の俣地蔵の案内板があります。雑木林の林道を進むと、「とちぎ銘木百選」に選ばれた樹齢500年といわれる桂の木があり、その根元に地蔵様が安置されています。平安時代の武将が守り本尊の地蔵様を桂の根元に置いて戦に出たため敗れたと伝説が残り、かつては子育て地蔵として親しまれていたようです。

桂の木の根元に安置されている地蔵様は、風雨にさらされ緑の苔に覆われていますが、子宝祈願の地蔵尊として参拝されています。雑木林にある桂の木は根元が枯れて空洞化していますが、その中に安置されている地蔵様の顔はどこか穏やかです。

敷地内から自噴する源泉かけ流しが自慢!一軒宿「ほたるのゆ」

敷地内から自噴する源泉かけ流しが自慢!一軒宿「ほたるのゆ」
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数ある宿の中でもおすすめなのが「ほたるのゆ」です。「ほたるの湯」は温泉街より約3キロメートル離れた一軒宿。部屋から聞こえるのは那珂川の流れと森を吹ける風の音、夜になると空に満天の星が広がる隠れ宿です。清流と森林に抱かれた宿は和室5部屋、和洋室5部屋の全10室。全ての部屋は那珂川に向かい、室内にはロフトが付いています。

温泉は敷地内から自噴する「板室温泉 ほたるの湯」。お風呂の設備は男女とも、内風呂、露天風呂、サウナ、水風呂があります。泉温が41℃と比較的温めのため冬季の露天風呂のみ加温をしていますが、そのほかは100%源泉かけ流しの良質な温泉です。泉質は無色透明の弱アルカリ性単純泉。肌触りが柔らかく、刺激が少ない温泉です。効能は、美肌効果、神経痛、筋肉痛、疲労回復、冷え性などです。

宿の隣には、イワナやヤマメ、ニジマスなどの渓流釣りが楽しめる「那須フィッシュランド」があります。自然を生かした釣り場からは全国でも珍しく、自生する源氏と平家の2種類のホタルが見られ、毎年7月には那須高原のホテルからもホタル観賞のツアーが企画されます。

温泉の後は体に良い食事!夕食は旬の地元食材が満載!!

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食事は、ロビー隣の「食事処さわな」で。座敷席の窓の外にはテラスがあり、その向こうには那珂川が流れています。「ほたるのゆ」の食事は美味しいだけでは無く、安全で健康に良い食材を使った料理です。地産地消にこだわり那須高原の新鮮な野菜、お米は契約農家から取り寄せたコシヒカリ、肉や魚にも安心、安全に気を配っています。

季節ごとの旬な食材を使った夕食の献立は、前菜に、海老とアスパラの和え物、ジュンサイの酢の物、むかごの味味噌、小鉢は菜の花と湯葉の御浸し、焼き物はヤシオマスの焼き魚とホエー豚のグリル、これに、鶏団子とシメジ、エノキや春菊のお鍋と盛り沢山の旬が並びます。

マグロの中トロのように脂が乗ったヤシオマスは、栃木県の水産試験場で品質改良されたニジマス。ヤシオツツジのような淡い紅色の身から名付けられたそうです。澄んだ水と良質なエサで育てられたヤシオマスは、刺身でも食べられる川魚です。

お勧めは、炭火でじっくりと焼き上げた自家製イワナの骨酒。イワナの味と香ばしさが溶け込んだ人肌の酒は、魚の形をした徳利で提供されます。

自然信仰が今も残る板室温泉!下野の薬湯は豊かな自然の温泉郷!

板室温泉は那珂川上流の深い渓谷に17の宿が並ぶ小さな温泉地。今も湯治を主にしている宿があり、そのため華やかさはありませんが、豊かな自然が残る落ち着いた温泉郷です。

温泉に宿る守護神を崇める板室温泉神社、岩のくぼみに神が宿る篭岩神社、桂の木の根元に据えられた木の俣地蔵など、平安時代の信仰が今も残っています。

四季折々で変わる板室温泉郷の「大自然」と「下野の薬湯」を、源泉かけ流しの一軒宿「ほたるのゆ」で味わってみませんか。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/03/11−2016/03/12 訪問

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