広大な焼け野原を散策〜ヨシ焼き後の渡良瀬遊水地

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広大な焼け野原を散策〜ヨシ焼き後の渡良瀬遊水地

広大な焼け野原を散策〜ヨシ焼き後の渡良瀬遊水地

更新日:2017/03/28 13:22

大木 幹郎のプロフィール写真 大木 幹郎 巨木マニア、低山登山家、ブロガー

関東4県(栃木、群馬、茨城、埼玉)に跨る日本最大の遊水地、渡良瀬遊水地。ここでは大規模な野焼きのヨシ焼きが行われます。広大なヨシ原を薙ぎ払う炎の波、大量の煙で陰る空は日食の如く、迫力の光景です。しかし、ヨシ焼き当日の遊水地は、立入禁止となり、すぐに黒煙で覆われ、奥地の様子を知ることは出来ません。ヨシ焼きの後日に明らかとなる、焼け野原となった遊水地内部の景観から、見応えのある場所をご紹介します。

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渡良瀬遊水地とヨシ焼きについて

渡良瀬遊水地とヨシ焼きについて

写真:大木 幹郎

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渡良瀬遊水地の春の風物詩・ヨシ焼き。その後日の楽しみは、焼け野原となった遊水地の散策です。1日で激変した遊水地、芽吹きを待つ広大な焦土の景観は、ヨシ焼き当日に劣らない、凄味と迫力ある眺め。広大な遊水地の各所から、見応えあるヨシ焼き後の景観をご紹介。

渡良瀬遊水地について簡単な説明を。
渡良瀬遊水地は日本最大の遊水地。総面積は約33平方kmで、関東4県(栃木、群馬、茨城、埼玉)に跨っています。内部は3つの調節池という区画に分かれ、中央を流れる渡良瀬川の右岸が第1調節池、左岸が第2・3調節池。各調節池には、広大なヨシ原が形成されており、洪水時には周辺の河川から流入した水で満たされます。常に水が蓄えられているのは、第1調節池の南端にある貯水湖・谷中湖。渡良瀬遊水地は利根川下流域、平野部に位置するダムでもあります。

(写真:ヨシ焼き当日の様子)

渡良瀬遊水地とヨシ焼きについて

写真:大木 幹郎

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ヨシ焼きについて簡単な説明を。
ヨシ焼きの目的は、病害虫の駆除、野火対策、湿地の保全など。遊水地の湿地は放置すると、背丈の低い植物が生育できないばかりか、樹林化が進行。3月にヨシ原を燃やすことで、多くの植物に芽生えの機会が訪れ、若いヨシの生長も促され、湿地とヨシ原が維持されます。

渡良瀬遊水地は、湿地とその生態系を保護すラムサール条約の保護地。遊水地の豊かな自然、絶滅危惧種を含む多様な動植物が生息する湿地の維持に、ヨシ焼きが貢献しています。

(写真:ヨシ焼き当日の様子)

ヨシ焼き後の景観・谷中村史跡保全ゾーン

ヨシ焼き後の景観・谷中村史跡保全ゾーン

写真:大木 幹郎

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第1調節池にある谷中湖の北に接した一帯は、谷中村史跡保全ゾーンと呼ばれています。ここには遊水地の造成のため、明治39年(1906)に廃村となった谷中村の跡地。史跡保全ゾーンは、広いヨシ原に囲まれており、かつ内部には周回道があるので、ヨシ焼き後は、焼け野原の中に深く立入って散策することが可能です。

ヨシ焼き後の景観・谷中村史跡保全ゾーン

写真:大木 幹郎

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谷中村史跡保全ゾーン内部の周回道。夏期には2mを超えるヨシの壁に囲まれる道も、ヨシ焼きにより数百m先まで視界が開けます。見えてくるのは、遠くの景色だけでなく、露となった地形。この一帯で、雑木林や、隆起した土盛りのある場所は、住居の跡地。村民達の往時の生活が偲ばれる散策にもなります。

ヨシ焼き後の景観・谷中村史跡保全ゾーン

写真:大木 幹郎

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谷中村史跡保全ゾーンの代表的な場所、古い石塔や石仏が佇む共同墓地。ここは2つの寺社、延命院と雷電神社の跡地でもあります。なお、共同墓地と、ここから少し離れた場所にある村役場跡などは、ヨシ焼きの延焼を防ぐため、事前にヨシが刈り払われます。

ヨシ焼き後の景観・第1調節池のヨシ原

ヨシ焼き後の景観・第1調節池のヨシ原

写真:大木 幹郎

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渡良瀬遊水地の第1調節池は、渡良瀬川の右岸にある区画です。南北を谷中湖と運動場・ゴルフ場に囲まれていますが、中央部には広大なヨシ原があります。このヨシ原を見渡せる場所の1つが、県道9号線に面した入口の1つ、北エントランスです。遊水地の内部へ立ち入る前に、堤防上から広大な焼け野原を眺めてみましょう。

ヨシ焼き後の景観・第1調節池のヨシ原

写真:大木 幹郎

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北エントランスから遊水地内の道路を東へ進んでいくと、やがて右手に見えてくる砦の様な形の建物。これは展望台の渡良瀬遊水地ウォッチングタワーです。この展望台から、第1調節池の中央に広がるヨシ原や、谷中村史跡保全ゾーン(写真)も見渡せるので、ヨシ焼き後の景観も見応えあります。

ヨシ焼き後の景観・第1調節池のヨシ原

写真:大木 幹郎

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渡良瀬遊水地の中央を流れる渡良瀬川。その右岸にある第1調節池と、左岸にある第2調節池を繋ぐ橋が新赤麻橋。北エントランスから真っ直ぐ東へ進むと到着します。橋の袂からは、第1調節池の中央に広がるヨシ原を見渡せるので、ヨシ焼き後の景観も見応え充分。

ヨシ焼き後の景観・第2調節池のヨシ原

ヨシ焼き後の景観・第2調節池のヨシ原

写真:大木 幹郎

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渡良瀬遊水地の第2調節池は、渡良瀬川の左岸にあり、第3調節池とは、巴波川(うずまがわ)を境に北に接しています。渡良瀬川に架かる橋、第1調節池と繋ぐ赤麻橋の袂には、鷹見台と呼ばれる広場があります。鷹見台は遊水地内でも特に展望の開けている場所の1つ。ヨシ焼き後には、広大な焼け野原を眺めることができるでしょう。

ヨシ焼き後の景観・第2調節池のヨシ原

写真:大木 幹郎

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第2調節池の東側、「下生井桜つづみ」と呼ばれる堤防上。西側に位置する鷹見台の対岸です。ここは展望が良いだけでなく、駐車場と公衆トイレがあるのも魅力の場所。

写真の左奥に写っているのは消防車。ヨシ焼きから2〜3日後でも、まだ火が燻っている所もあります。ヨシ焼きから近日は、安全のため遊水地の奥地への立入を控えましょう。

ヨシ焼き後の景観・特色ある第3調節池のヨシ原

ヨシ焼き後の景観・特色ある第3調節池のヨシ原

写真:大木 幹郎

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第3調節池は渡良瀬川の左岸に位置。第2調節池とは巴波川を境に南に接しています。第3調節池から、他の調節池にはない、特色ある景観を3つご紹介。

1つ目は調節池の南西端にある防波林。これは遊水地が完成する以前、堤防を水流から守るために植樹された落羽松(ラクウショウ)の林。現在は野鳥の住処となり、ヨシ焼きにより延焼しないよう守られています。焼け野原の奥に佇む森は、幻想的な景観です。

ヨシ焼き後の景観・特色ある第3調節池のヨシ原

写真:大木 幹郎

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第3調節池の特色ある景観の一つ、中央部を横断する送電線。西側の堤防上から眺めれば、奥に筑波山(写真左奥)と重ねて眺めることができます。風景の邪魔と思われがちな送電線も、シンプルな風景の遊水地では良いアクセント。

ヨシ焼き後の景観・特色ある第3調節池のヨシ原

写真:大木 幹郎

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第3調節池の特色ある景観のひとつ、堤防の斜面を覆う菜の花。第3調節池は、他の調節池よりも、菜の花の密度が高く見応えがあります。特に、巴波川に沿った東側の堤防上が見事な眺め。菜の花畑と焼け野原、明暗の対比が面白い景観となります。

後日も楽しめる渡良瀬遊水地のヨシ焼き

以上、ヨシ焼き後の渡良瀬遊水地から、見応えある景観のご紹介でした。谷中村史跡保全ゾーンでは、内部の周回道を歩いて焼け野原の中を散策。第1調節池の中央部や、第2・3調節池では、見渡す限りの広大な焼け野原の展望を満喫できます。

ヨシ焼き当日の炎と煙は大迫力。しかし、目にできるのは、広大な遊水地の僅かな部分だけで、どこか未消化な気分。後日に遊水地内部を巡り、焼け野原の全貌を確かめることで、より気分は充実したものとなるでしょう。なお、焼け野原の景観が続くのは約2週間ほど。やがて新芽の緑に覆われ始めます。

ヨシ焼きは毎年3月の第3土曜日に実施されますが、延期や中止となる場合もあります(2017年は3月18日)。ヨシ焼きの実施日については、文末の関連MEMOにあるウェブサイトをご参照ください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2013/03/21−2017/03/18 訪問

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