ヨシ焼きで一変する渡良瀬遊水地の風景5選〜広大なヨシ原が焼け野原に〜

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ヨシ焼きで一変する渡良瀬遊水地の風景5選〜広大なヨシ原が焼け野原に〜

ヨシ焼きで一変する渡良瀬遊水地の風景5選〜広大なヨシ原が焼け野原に〜

更新日:2016/07/22 11:00

大木 幹郎のプロフィール写真 トラベルjpナビゲーター 大木 幹郎 巨木マニア、低山登山家、ブロガー

日本最大の遊水地・渡良瀬遊水地で行われる大規模な野焼きの「ヨシ焼き」。広大なヨシ原を薙ぎ払う炎の波、大量の煙で陰る空は日食の如く、迫力の風景です。しかし、ヨシ焼きの当日は、遊水地内への立ち入りが禁止され、煙で視界が悪く、遊水地の奥地の様子を見ることが出来ません。ヨシ焼きの後日に全貌を知ることが出来る、焼け野原となった遊水地内部の風景から、見応えのある場所を5つご紹介します。

谷中村史跡で通路を歩いて焼け野原を散策

写真:大木 幹郎

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ヨシ焼きの後日に全貌を知ることが出来る、渡良瀬遊水地内部の焼け野原の風景から見所を5選。まず1つ目の場所は、谷中村史跡保全ゾーンから。ここは谷中湖の北側にある、遊水地の造成で廃村となった谷中村の中心地で、住居跡や墓地跡の周囲にあるヨシ原も、ヨシ焼きの対象です。ここでの魅力は、写真には写っていませんが、区域の中に通路(未舗装)が巡っているので、焼け野原となったヨシ原の中を散策できること。見通しが良くなった事で、存在が強調される住居跡の雑木や土盛り、そして墓地を巡り、往時の村民達の生活に思いを馳せます。

ここで渡良瀬遊水地とヨシ焼きについて少し説明を。渡良瀬遊水地は、面積33平方km、総貯水量17万立方kmもの日本最大の遊水地で、範囲は関東4県(栃木、群馬、茨城、埼玉)に跨り、中央に利根川支流の渡良瀬川が流れています。利根川下流域の洪水調節と、水道水などの用水確保に造られた遊水地は、関東平野のダムそのもの。遊水地の内部は、洪水時に渡良瀬川とのその支流を流入させる調節池で、普段は南端にあるハート形の貯水湖・谷中湖の他は、殆どがヨシ原が繁る湿地。この湿地の維持に行われるのがヨシ焼きです。遊水地は、湿地とそこに生息する動植物を保護する国際条約・ラムサール条約の保護地であり、絶滅危惧種を含む多様な動植物が生息する広大な湿地が形成された場所。ヨシ焼きという大規模な野焼きは、病害虫の駆除、湿地の樹林化の防止、ヨシ原の更新により多くの植物に芽生えの機会を与える、という効果が得られ、貴重な湿地の維持に貢献しています。

第2調節池で眺める広大な焼け野原

写真:大木 幹郎

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2つ目の見所、第2調節池の新赤麻橋の袂にある広場です。この第2調節池の西側中央部から見渡せるヨシ原は、遊水地の中でも特に面積が広いので、焼け野原となった眺めも壮観。写真は少し北寄りの眺めで、手前の山に栃木市の大平山、奥に日光の山々(男体山、白根山など)が重なり、栃木県の名山も遠望できます。そして北エントランスから車で真っ直ぐに来られるアクセスの容易さも魅力の場所。

渡良瀬遊水地の調節池について少し説明を。遊水地は3つの大きな調節池で構成。第1調節池は渡良瀬川の右岸にある最も大きな調節池で、南端にはハート型の谷中湖があります。第3調節池は渡良瀬川の左岸の上流、第2調節池は左岸の下流にあり、2つの調節池の間には巴波川(うずまがわ)が流れています。

第2調節池の水路沿いの焼け野原

写真:大木 幹郎

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3つ目の見所、第2調節池の与良川の排水機場の前で、2つ目の場所でご紹介した西側の広場の対岸に位置します。この一帯のヨシ原も広大なので、焼け野原となった後も見応えは十分。そして水路沿いに点在する木々がアクセントになり景色に奥行きが感じられます。この場所は、近くに駐車場とトイレがあるので、第2調節池と、第3調節池を散策する起点としてもお勧め。

ヨシ焼き後の遊水地へ訪れる際の注意点を2つだけ。写真の左奥に写っているのは消防車で、残り火を消火していたもの。ヨシ焼きから2日が経っても、根元に火が燻っている木などが目撃されるので、ヨシ焼き後も高温を保っている場所があります。また、焼け野原は一見すると平らに見えますが、先端が炭化して尖ったヨシの根元で覆われていて危険です。ヨシ焼きから数日は奥地へ立ち入るのは避け、歩けそうでも通路から外れてヨシ原へ立ち入るのは控えましょう。

第3調節池の焼け野原と防波林

写真:大木 幹郎

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4つ目の場所、第3調節池の南側の堤防上です。この一帯も広大なヨシ原があるため、焼け野原の見応えも十分ありますが、第3調節池を代表する景観「防波林」を奥に眺められるのが魅力です。防波林は、遊水地が現在の形になる前に、堤防を洪水の水流から守るために植樹された落羽松(ラクウショウ)または沼杉という湿地性の針葉樹の林です。現在では遊水地の特徴的な景観であるとともに、野鳥の住処となり、ヨシ焼きで焼失しないように周囲のヨシは事前に刈り払われています。防波林の背後は、堤防上の通路となっているので、近くからもご覧ください。間近に見る等間隔に植樹された落羽松の林は、どこか幻想的な佇まい。

第3調節池の焼け野原を縁取る菜の花

写真:大木 幹郎

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5つ目の場所、第3調節池の北側の堤防上、西前原排水機場の近くです。この一帯も広大なヨシ原で覆われているため、焼け野原の見応えが十分ですが、この場所をお勧めする理由が3つあります。まず、南北に長い第3調節池の北端にあるので、奥行きのある景色を眺められること。次に、奥に遊水地内を唯一横断する送電線と、4つめの場所でご紹介した防波林という特徴ある景色が重なること。最後に、堤防の斜面に菜の花が縁取るので、春らしい景色にもなることです。

なお、春の第3調節池で、菜の花を主体に景色を眺められたい場合は、東側の堤防上がお勧め。調節池と巴波川との間にある堤防上は、南端にある第3排水門まで、両斜面を見事な黄色に挟まれた鮮やかな道となります。

おわりに

以上、ヨシ焼きの後で焼け野原となった渡良瀬遊水地にて、見応えのある場所のご紹介でした。谷中湖の北側にある谷中村史跡保全ゾーンでは、内部に巡らされた通路で焼け野原の中を散策。渡良瀬川の左岸にある第2・第3調節池では、視界に収まりきらない広大な焼け野原の眺望を満喫。ヨシ焼き当日の炎と煙の迫力に劣らず、凄味のある見応え十分の景色。

焼け野原の風景は、1週間ほどは真っ黒な状態が続きますが、2週間以上が経過すると、新芽の緑に覆われ始めます。2016年のヨシ焼きは3月26日(土)に実施されるので、4月上旬まで焼け野原の風景を楽しめることでしょう。ヨシ焼きを見物された方も、再びご訪問されることを強くお勧めします。遊水地の焼け野原の全貌を、立入制限なく自由に巡って眺めることは、総合的な満足度はヨシ焼き後日の方が勝っているかもしれません。

掲載内容は執筆時点のものです。 2013/03/21−2015/03/24 訪問

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