北信州・飯綱町の遅い春を満喫!桃の花の「丹霞郷」と花めぐり

北信州・飯綱町の遅い春を満喫!桃の花の「丹霞郷」と花めぐり

更新日:2016/03/20 19:53

和山 光一のプロフィール写真 和山 光一 ブロガー
「信濃の春は遅けれど 秋たつことはいと早し 都の花は散り失せて ここには咲くよ梅桜 桃も杏もおしなべて 千々の色にぞ匂ふなる」これは足立鍬太郎が明治期に作った『信濃の春秋』という歌の歌詞で、実に端的に信州の風土を謳い上げています。信州の春はゆっくりと訪れ、北信五岳を一望できる林檎の町飯綱は、この時期花まつりを開催。桃や桜、林檎に水芭蕉、美しい景観を満喫したら高原のワイナリーでシードルなどはいかが。

残雪と黄色いタンポポに映える艶やかな風景「丹霞郷」

残雪と黄色いタンポポに映える艶やかな風景「丹霞郷」

写真:和山 光一

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善光寺北の小高い丘陵に位置する飯綱町平出地区に広がる桃畑「丹霞郷」。その由来は、昭和初期に洋画家の岡田三郎助がこの風景を目の当たりにして「まるで丹(あか)い霞がたなびいているようだ。」と言ったことから「丹霞郷」と名付けられたとのこと。花の季節になると約10haの広大な斜面に植えられた1500本の桃畑には、木々が淡いピンクの花を着けて咲き誇り、一面花の絨毯のような美しい風景が広がります。そして一面の桃畑の向こうには、頂きに残雪をまとった北信五岳(飯縄山、戸隠山、黒姫山、妙高山、斑尾山)の2000M級の山々が並び、桃の花とのコントラストがとても絵になります。畑に沿ってゆっくり景色の良い中を散策しながら、桃の花を観賞すると、桃の花の甘い香りに包まれて心が癒されていきます。

見頃は桜が終盤となる4月下旬から5月上旬。桃の花は盛りが短いので花情報には注意して出かけてください。

小高い丘に立つ、鮮やかな紅色の大山桜

小高い丘に立つ、鮮やかな紅色の大山桜

写真:和山 光一

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長野から信濃町へ通じる坂中街道沿い、坂中トンネルを抜けてすぐの小高い丘の上に立つ、鮮やかな紅色をした桜が「地蔵久保のオオヤマサクラ」です。樹高20M、幹周りは5M超える大きさで、その幹は地上わずか70CMのところで5本に分かれ、大きく横に広がっています。

オオヤマサクラは、山桜の大木ではなくピンク系の花が咲く品種で、新緑の囲まれた中で、ひときわ目立つ鮮やかな紅色の花をつけます。遠目にもはっきり見えていますが、樹齢100年を超える老木なのにびっくりです。夜間は22時くらいまでライトアップされていて、より勇壮で神秘的になります。見頃は4月下旬。

長い枝が風に揺れる、堂々とした風格の枝垂桜

長い枝が風に揺れる、堂々とした風格の枝垂桜

写真:和山 光一

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坂中トンネルを出た四つ辻を右に曲がり袖之山地区に向かいます。小高くなった場所にあり、思う存分に長い枝を垂らして咲いているのが「袖之山のシダレザクラ」です。樹高は8.5Mとさほど高くはないもののその枝ぶりは見事で長い枝では10M近くもあるでしょうか。樹齢は320年以上といわれますが、その勢いは衰えず、滝に上がる飛沫のような堂々たる枝ぶりに煙るように豪勢に花を咲かせています。たくさんの枝を支える幹には、長い時間生きてきた木独特の存在感を感じます。

日本画家・中島千波画伯が「袖之山枝垂桜」として描いたほか、絵や写真の題材として人気も高いとのこと。通称「安養寺の柳桜」とも呼ばれ、もとは附近一帯、安養寺の境内であったといい、樹下には、嘉永の年号が刻まれた「南無阿弥陀仏」の石碑が残っています。青い空と残雪の残る北信五岳とのコントラストがうれしく、写真のシダレザクラ越しに見える山は飯綱山です。見頃は4月下旬。

リュウキンカとの対比が美しい飯綱東高原「むれ水芭蕉園」

リュウキンカとの対比が美しい飯綱東高原「むれ水芭蕉園」

写真:和山 光一

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飯綱東高原の一画、いいずなリゾートスキー場入口のすぐ北側に広がる5haの「むれ水芭蕉園」には4月中旬から5月上旬、約41万株の水芭蕉や黄色の可憐なリュウキンカが咲き誇ります。明るい林一帯に自生する純白の花包の群は、すがすがしい美しさで、車道脇の入口から一周約30分の木道が続いていて、山道やぬかるみに踏み入らずに観賞できます。水芭蕉の花言葉「美しい思い出」の通り、よい思い出にるかもしれません。

道路を渡った反対側には約10万株が群生している「ニリンソウ園」があり、5月上旬見頃を迎えます。この2か所をあわせて「飯綱天狗の遊歩道」と言うらしいです。

女性でも飲みやすい甘口のやさしい味わい「サンクゼールワイナリー」

女性でも飲みやすい甘口のやさしい味わい「サンクゼールワイナリー」

写真:和山 光一

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「北信五岳道路沿い」の倉井大原地区は、辺り一面リンゴ畑に囲まれており、雪が舞い降りたかのように花の咲く頃、雄大な北信五岳を背景に見事な風景を見せてくれます。やさしく甘い香りに包まれた北信五岳道路を北上し、小高い丘の上にあるのが旧三水村にある「斑尾高原農場」直営店「サンクゼールワイナリー・本店」。オーナーの久世さんをもじってサンクゼールでSt・Cousairと名付けられた素晴らしい展望を眺められるワインとジャムの一大農場です。芝生広場やテラスからは北信五岳が望めゆったりとした時間を過ごせます。

写真はテラス席でいただくミートパイとシードルです。シードルはもともとフランスブルターニュやノルマンディ産のりんごのお酒。信州産シードルは生産量全国2位を誇るフジが主原料。瓶内発酵するタイプのシードルは、丸々と実ったりんごをジュースに仕込んでから半年頃から飲みやすくなり、ちょうど花が咲き始める4月下旬からが旬になります。サンクゼールのシードルは、林檎の町・飯綱町の日当たりのいい斜面で育った完熟りんごを甘口に仕込んでいます。アルコール度が低めなのでランチや午後のお茶というシーンに似合いますよ。シードルで花見としゃれこみませんか。

北信の名峰たちに囲まれた高原リゾート飯綱町

例年4月中旬から5月中旬にかけて、雪解けとともに山麓に舞い降り、花に宿る春の妖精たち。パステル色に輝く可憐な花の宝庫を造る飯綱町では「飯綱町花まつり」を開催しています。

飯綱町にはこの時期お勧めの花めぐりスポットが他にもあり、その一つが上赤塩地区の「カタクリ群落」です。ここは、地区の住民の方が手入れをしながら守ってきたカタクリの花の名所で、長野県北部では有名な穴場スポットとのこと。木々に囲まれた里山の斜面に、可憐な赤紫のカタクリの花々が一帯に咲き誇り、約5000平方メートルの規模の群落は見応えがあります。

またサンクゼールワイナリー近くのアップルミュージーアム付近の「ニュートンりんご並木」は、イギリスの英国王立園芸協会からのりんご17品種を植えたもの。ヨーロッパ原産の品種は、日本品種の花とは一味違う色合いと大きさで、見応えのある花を咲かせます。

長野市街地から車で30分足らずの飯綱東高原では、霊仙寺湖を中心に芝広場やBBQ・オートキャンプ場など様々な遊びの施設も整っています。また湖の東には、黒姫山や飯綱山を望む絶景の湯「むれ温泉 天狗の館」があります。

長野の善光寺、戸隠神社にお蕎麦とあわせて、百花繚乱の花の里・北信州飯綱町へも是非足を伸ばしてみてください。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2013/04/28−2015/05/01 訪問

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