嵐山・法輪寺十三まいりは、渡月橋を振り返らずに渡り終えよ!

嵐山・法輪寺十三まいりは、渡月橋を振り返らずに渡り終えよ!

更新日:2018/03/19 18:47

風祭 哲哉のプロフィール写真 風祭 哲哉 B級スポットライター、物語ツーリズムライター、青春18きっぷ伝道師
嵐山がまばゆいばかりの新緑に包まれる頃、渡月橋の袂の高台にある法輪寺では、毎年「十三まいり」と呼ばれる、子供たちが大人になるための通過儀礼が行われています。
お参りを終えた子供たちは、渡月橋を渡って京都市内へと戻るのですが、渡月橋を渡り終えるまでけして後ろを振り返ってはいけない、という言い伝えがあるのです。晴れ着の子供たちが、緊張した面持ちで渡月橋を渡る姿は、いかにも京都らしい風流な伝統行事です。

法輪寺「十三まいり」とは

法輪寺「十三まいり」とは

写真:風祭 哲哉

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「十三まいり」という行事は、関西にゆかりのある方以外はあまりなじみのないものかもしれませんが、旧暦の3月13日(新暦の4月13日)前後に、数え年13歳の子供たちが行う祝いごとのことで、関西では七五三と同じくらい大事な行事とされています。特にこの嵐山の法輪寺への十三まいりはとても有名で、ここにある虚空蔵菩薩が十三番目に誕生した智恵と福徳を司る菩薩とされているので、京都をはじめとする関西の子は13歳になると晴れ着を着てここに知恵を授かりに来るのです。

法輪寺「十三まいり」とは

写真:風祭 哲哉

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それだけであれば、地域の伝統的な普通のお詣り、という感じなのですが、京都嵐山の十三まいりはそれだけではないのです。この法輪寺での十三まいりには大事な決まり事があって、お詣りが終わってからお寺の長い参道を下って、渡月橋を渡り終わるまで、けしてうしろを振り返ってはいけないのです。途中で振り返ると、授かった知恵が全部戻ってしまう、という言い伝えがあるのです。

緊張した面持ちで、一心不乱に渡月橋を渡るお詣りを終えた子供たちのうしろ姿。大人への通過儀礼も、京都はやっぱり風流ですよね。

十三まいり前の渡月橋はのんびり景色を楽しんで!

十三まいり前の渡月橋はのんびり景色を楽しんで!

写真:風祭 哲哉

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十三まいりの時期は、新暦の4月13日の前後1ヶ月、3月13日から5月13日とされていて、春休みやゴールデンウィークを利用して行く人たちが多いのですが、一部、秋の十三まいりとして10月から11月にかけて行く人もいるようです。
また、数え年で13歳の年の行事とされているため、ほとんどの子供たちは小学校から中学校にあがる春(または秋)にお詣りしています。

十三まいり前の渡月橋はのんびり景色を楽しんで!

写真:風祭 哲哉

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十三まいりの服装ですが、やはりちょっと大人びた格好をする子供たちが目立ちます。女の子は着物、男の子はスーツといった格好が中心ですが、学校の制服でお詣りする子供たちもたくさんいますので、大人としての自覚を込めた服装であれば、あまり晴れ着にこだわらなくても問題はありません。
また、渡月橋の手前には着物屋さんがたくさんあるので、事前に予約をしておけば十三まいり用の衣装をレンタルすることも簡単です。

京都市内から嵐山(嵯峨側)に着いたら、いよいよ渡月橋を渡ります。でも行きは振り返っても大丈夫。4月であれば桜、5月であれば新緑と、とにかくこの時期は素晴らしい眺めですので、緊張せずにのんびりと周囲を楽しみながら渡ってください。

十三まいりの前に立ち寄りたい法輪寺の展望台

十三まいりの前に立ち寄りたい法輪寺の展望台

写真:風祭 哲哉

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渡月橋を渡り終えたところの正面に「十三まいり」という法輪寺の大きな看板が見えますので、そこから階段を上ります。ここは山門から入る表参道ではないため、狭くて急な階段が続きますが、渡月橋方面から法輪寺への近道となっています。法輪寺の山門から入る場合は、橋の先にあるT字路を左折して渡月亭の前を通り、しばらく進むと右手に入口が見えてきます。いずれの行き方でも嵐山の中腹まで階段を上り、小高い丘の上に出ると、虚空蔵法輪寺に到着します。

十三まいりの前に立ち寄りたい法輪寺の展望台

写真:風祭 哲哉

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高台の上にある法輪寺は、眼下に嵐山をはじめとする京都の町並みが見下ろせる展望地でもあります。展望台に上ると眼下に桂川と渡月橋、その向こうには天龍寺、ずっと奥には高雄の山々などが望めますので、ぜひお詣り前に立ち寄っておいてください。そう、お詣りのあと子供たちは振り返ったり、よそ見はできませんので。

法輪寺本堂で、十三まいりの祈祷へ

法輪寺本堂で、十三まいりの祈祷へ

写真:風祭 哲哉

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法輪寺の境内に入ると虚空蔵菩薩が姿を変えたといわれる羊の像があります。この羊の頭に触れると、智恵を授かれると言われていますので、まずは子供たちにこの羊の頭を撫でてもらいます。

法輪寺本堂で、十三まいりの祈祷へ

写真:風祭 哲哉

次に本堂の前に進むと十三まいり専用の受付があり、ここで祈祷用紙が渡されます。この祈祷用紙に本人が筆で好きな漢字を一字書き入れ、その願いがかなうように祈祷してもらうのです。文字を書き終えるといよいよ祈祷です。

法輪寺本堂で、十三まいりの祈祷へ

写真:風祭 哲哉

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春休みやGWの休日には、十三まいりの子供たちが境内に大勢待っていて、順番に20人づつくらい名前を呼ばれて本堂の中に入ります。付き添いの参拝者も中に入れますので、ぜひ子供たちのうしろで一緒に話を聞いてみましょう。
中では住職さんによる智恵を授かる祈祷と法話があります。祈祷の中で、十三まいりに来ている子供たちの住所と名前を順に読み上げる部分があり、やはり京都や大阪、兵庫といった関西の住所が目立つのですが、時々関東や他の地域からの参拝者がいることもあります。

いよいよ最後の難関、十三まいりの帰り道。

いよいよ最後の難関、十三まいりの帰り道。

写真:風祭 哲哉

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祈祷が終わると、子供たちはお札やお守り、智恵の箸などを受け取って、いよいよ緊張の帰り道を進むことになります。
最初の難関は山門への長い下り階段。慣れない着物や洋服を着て、どこかぎこちなく歩く姿に、見ている大人たちも緊張してしまいます。

いよいよ最後の難関、十三まいりの帰り道。

写真:風祭 哲哉

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山門をくぐり抜けて府道を左折し、渡月亭の横を通り過ぎると、すぐに渡月橋が現れます。子供たちが最後の難関、渡月橋を渡り始めると、大人たちは子供が振り返るようなことをわざと言って、それでも我慢できるかを試すのも、この十三まいりの習わしとされていますので、心を鬼にして子供たちを試してみてください。

絶対平気だよ、と言いつつも、やっぱりどこかぎこちない感じで歩く子供たちですが、無事に振り返らずに渡月橋を渡り終えることができると、みんな一様にホッとしたような笑顔になるのです。
13歳といえば、昔は元服といって成人とみなされる年齢でした。子供たちはこの行事を経て、またひとつ大人への階段を上るのでしょうね。さすが京都、大人への通過儀礼も風流ですね。

日本で一番風流な、大人への通過儀礼

一生に一度しかない「十三まいり」。七五三や成人式もいいのですが、ちょっとスリリングなこの大人への通過儀礼は、体験した子供たちにとっても一生の思い出になるようです。十三まいりを終えて、少しだけ大人になったような子供たちの姿を見るのは、ちょっとうれしいような、ちょっと寂しいような、私たち大人にとっても感慨の深い行事です。

お子様が13歳を迎える際には、ぜひ、この、日本で一番風流な大人への通過儀礼に挑戦してみてください!

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掲載内容は執筆時点のものです。 2015/05/05 訪問

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