世界が認めた日本庭園!島根県「足立美術館」こそ真のクールジャパン

世界が認めた日本庭園!島根県「足立美術館」こそ真のクールジャパン

更新日:2016/05/01 20:21

赤木 リンのプロフィール写真 赤木 リン
アメリカの日本庭園専門誌による「2015年日本庭園ランキング」で13年連続日本一、『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』でも山陰エリアで唯一、最高評価の三つ星として掲載された、島根が誇る観光名所「足立美術館」。安来市の決して賑やかとは言えない場所に、国内外から観光客が連日詰めかけています。

なぜ「足立美術館」が「世界の足立美術館」と言われ、多くの人を惹きつけるのか、その魅力をお伝えします。

「世界の足立美術館」を目指した創設者、足立全康

「世界の足立美術館」を目指した創設者、足立全康

写真:赤木 リン

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足立美術館は、島根県安来市出身の実業家・足立全康氏によって設立されました。農家に生まれた全康氏は、裸一貫から実業家として成功した名士で、美術品のコレクターとしても知られています。

氏が郷土への恩返しと文化貢献のためにと設立した足立美術館は、氏のコレクションである竹内栖鳳、川合玉堂などの近代日本画や、平山郁夫らの現代日本画、北大路魯山人らの陶芸作品など総数約1500点を所蔵。特に約120点にも及ぶ横山大観作品は質量ともに日本一を誇っています。

美術館設立時に全康氏は、何と御年71歳!美術品に対する造詣は深かったものの、美術館運営に関しては全く素人であったにも関わらず、71歳で挑戦するそのバイタリティーには感服です。

園内に建てられた全康氏像は、今日も来館者を笑顔でお迎えしてくれます。

庭園も一幅の絵画として

庭園も一幅の絵画として

写真:赤木 リン

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『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』で三つ星として掲載された日本庭園には、庭づくりにも関心が強かった足立全康氏のこだわりが詰まっています。

写真は、足立美術館のパンフレットにも使われている「生の額絵」と名付けられた場所からの眺めです。テレビCMでも使われたことがあるのでご覧になられた方も多いでしょう。「庭園も一幅の絵画である」という全康氏の信念のもとに、写真のように窓枠を額縁に見立て、絵画のように眺めることができる場所を、館内にいくつも見ることができます。

この額から眺める完璧に整えられた庭園の美しさは、まさに絵画そのもの。ぜひじっくりとご覧ください。

「生の掛軸」も必見!

「生の掛軸」も必見!

写真:赤木 リン

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「生の額絵」と並んで人気が高いのが、こちらの「生の掛軸」。和室の床の間の壁がくりぬかれ、外の庭園が見えるようになっています。掛軸の中に他の来館者が入り込んでしまうのはご愛嬌。それも含めての芸術作品です。

美しい庭園を掛軸にして楽しむという斬新なアイデア、そしてそのために、自ら床の間に穴を開けてしまうという全康氏の発想力と行動力には、ただただ驚かされるばかりです。

落ち着いた雰囲気を楽しむ「苔庭」

落ち着いた雰囲気を楽しむ「苔庭」

写真:赤木 リン

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「苔庭」は他の庭園と比べて落ち着いた印象ではありますが、これぞ日本の「侘び・寂び」であることを教えてくれるしっとりとした空間です。

写真の中で、松がまっすぐ生えていないことにお気づきでしょうか。山の斜面に生えていた松を自然に近い状態にしておきたいという、設計者の優しさからこのように植えられているのです。

横山大観の絵画が目の前に!

横山大観の絵画が目の前に!

写真:赤木 リン

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足立美術館の庭園、というと主庭の「枯山水庭」や「白砂青松庭」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。なかでも、後者は横山大観の名画を再現した素晴らしい庭園です。

写真はその「白砂青松庭」ですが、奥に滝があるのがお分かりになりますか?この滝の名前は「亀鶴の滝」と言い、横山大観の「那智乃瀧」という作品をイメージして作られた高さ15mにも及ぶ人工の滝で、亀鶴山という、元よりそこにあった山に作られました。
自然との調和、そして日本画の世界を庭園で表現するために滝まで作ってしまうという全康氏の情熱、ぜひ実際に足を運んでご覧ください。

世界の足立美術館こそ「クールジャパン」

庭園も素晴らしいですが、もちろん所蔵されている美術作品も素晴らしいものばかりです。

横山大観の作品に関しては、「絵画とかよく分からないな…」という方でも「これ見たことある!」という作品も多いので親しみやすいでしょう。何よりこちらの庭園が横山大観の世界観そのものなので、庭園を見た直後であれば違った感動が味わえること間違いなしです。

館内では水や飴も含めて飲食は禁止ですが、喫茶室2か所と茶室2か所でのみ、飲食が可能です。一番のおすすめは「喫茶室 翆」です。ドリンクは各種1000円、枯山水庭を眺めながらの一服は格別ですので、足立美術館の思い出にぜひ!

足立全康氏が目指したのは「美しいものに感動する心」を来館者にも味わってもらうこと。その思いが、完璧に整えられた日本庭園と言う形となり、国内だけでなく世界中の人を感動させ、「世界の足立美術館」として知られるようになったのです。

日本が誇る本当の「クールジャパン」。ぜひ一度生でご覧ください。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2009/05/11 訪問

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