旧国鉄時代にあった「北見相生駅」(北海道網走郡津別町相生)は、北海道の道東地域、美幌と北見相生を結ぶ「相生(あいおい)線」の終着駅でした。その「相生線」は、北海道の多くの鉄道路線にあるように、森林開発を目的としてスタートした路線。全長は36.8kmで、駅は全部で9つというから、そう長い路線ではありませんでした。
実はこの相生線、いずれは阿寒湖横を通り釧路までという計画があったものの、炭鉱の閉山などによる周辺産業の衰退で計画が中止となっています。さらに周辺の人口の減少もあって、昭和60年にはついに廃線。北見相生駅は終着駅のまま、60年の歴史に幕を閉じることとなったのです。
その後、駅跡は「道の駅あいおい」に併設の「相生鉄道公園」として生まれ変わり、駅舎、ホーム、線路、職員官舎、機関庫などが今も大切に残され、訪れる人々に駅の記憶を伝えています。
昭和の終わり頃から平成にかけて、全国で多くの旧国鉄・JR路線が廃止となり、北海道でも多くの廃線が生まれました。廃線後の諸施設は撤去されることが多いのですが、ここは施設だけではなく貴重な車両なども残され、復元されて間近に見ることができます。
写真は、構内除雪車のキ703です。アメリカ・ジョルダン社製のものを参考に国産化されたもので、写真のように雪かき用の翼を広げて広範囲の除雪を行いました。現存車両としては希少なのだそうです。また、クリーム色と赤の国鉄色に塗装されたキハ2269車両も残されています。この数字はキハ22形の69番目の車両ということだそうで、キハ40形に替わるまで北海道の主力車両として活躍していた、酷寒地向け車両です。
この他にも、貨車や客車なども見ることができます。そして嬉しいことに、青色の客車がライダーハウスとして車内が改造されており、5月〜10月頃まで宿泊利用することができます。二輪旅の方には、ありがたいところですね。
駅舎の中が、なかなかすごいです!
制服、乗車券箱など、当時使われていたものが駅員室内に数多く展示されており、資料室となっています。待合室にも、「昭和42年3月1日改正 北海道内国鉄時刻表」と書かれた時刻表や運賃の書かれた当時の木製の案内板などが展示されており、マニアの方にとってはたまらない空間となっています。また、飾られている現役当時の写真には、ホームの駅員さんなども写っており、まだ現役で有人駅だった頃の雰囲気を感じることもできます。
それにしてもこの待合室、なんとも懐かしい雰囲気。待合室からホームを眺めていると、今にも列車が入ってきそうな、そんな感じもしてきます。
そしてホームに出ると、そこには懐かしく、美しい独特の世界観のある空間が広がっています。静寂の中の列車は、展示されているというよりも出番を待って停車しているという感じ。
そしてホームは、駅名標や雪かきの道具、荷物運搬用の木製そりなどがさりげなく置かれ、より自然な感じで当時を思わせてくれます。知らない間に、駅在りし時代に入り込んでしまうような感じ、その自然さがより郷愁を誘うのでしょう。
線路に沿って立ち並ぶ美しい並木を眺めながら、駅舎前の白い木製のベンチ、そしてホームに腰掛けて、思い切りこの雰囲気を味わってください。映画の一場面とも思えるようなこの静寂の空間は、きっと心癒してくれることでしょう。そして、少しタイムスリップしたかのような、そんな気持ちにもさせてくれます。
この相生鉄道公園は、国道240号線沿いの「道の駅あいおい」に併設されています。そしてこの「道の駅あいおい」も、また大注目なのです。
立ち寄った時の定番は、飲食コーナーで蕎麦を食べ、お土産に豆腐と油揚げを買って帰る、これでしょう。日帰りの場合は、これに新鮮野菜も加わります。もちろん全て地元産、新鮮さは間違い無しです。蕎麦は、これを食べるためだけに訪れる人もいるほどの評判です。
さらに加えて、テレビで紹介されて新たな名物となった「たい焼き」ならぬ「クマヤキ」にも注目!中身はあんこ、カスタードクリーム、あんこ&ホイップクリームの3種類があります。あなたは、どれがお好みでしょうか?
それにしても、蕎麦に豆腐に油揚げにクマヤキ、そして新鮮野菜・・ちょっと迷ってしまいますね。そういう時は、全部いってしまいましょう!
いかがでしたでしょうか、相生鉄道公園。
「道の駅あいおい」に併設の相生鉄道公園は、網走と阿寒湖を結ぶルート国道240号線の途中にあります。山間部が多いのこのルートのオアシスともいえる存在で、ドライブの途中に立ち寄って疲れをいやしたり、食事をしたりなどの休憩にもってこいの所です。
ぜひこの癒しの空間に、お立ち寄りください。
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(2024/4/25更新)
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