三溪園の特色として面白いところが、園内にある建築物のほとんどが各地にあったものを移築している点にあります。
豊臣秀吉の大ファンであった原三溪は、旧天瑞寺寿塔覆堂(秀吉の母大政所の生前墓)を皮切りに、実に様々なものをいったん解体したうえで、この地に運び込んで再度組み立てています。縁側に置かれた何の変哲もない石が、千利休が暴漢に襲われた時に身代わりになったと言われる石であるなど、その由緒を紐解きながら散策するのも面白いですね。
この他に、岐阜県の白川郷から移築された合掌造りの古民家・旧矢箆原家住宅も注目です。民具などの展示物を間近に見れば、昔ながらの日本の農家の暮らしがイメージできるでしょう。
重要な文化財が原三溪の趣味庭園の核を成していますが、本人が手を加えたものはそれだけではありません。完成された四季の彩り、配置、それこそが三溪園ならではの魅力といえるでしょう。
中でも三溪園の訪問者がお目当てにしているのが、梅や桜、そして紅葉。まずは園内南門付近に咲き誇る、緑萼梅(りょくがくばい)。これは日本でもあまり見かけることができない品種で、横浜の友好都市である上海市から寄贈されたものです。花びらの付け根(萼)が淡い緑に染まり、素朴ですが一目みたら忘れられない可憐さがあります。
続いて桜の季節には、ライトアップされた桜の幻想的で趣のある景色が楽しめます。その中で、園の中心に一本だけある柳津高桑星桜(やないづたかくわほしざくら)もぜひ見てみましょう。原三渓の出生地である岐阜県柳津町から寄贈されたこの桜は、白い花びらが星型に見えることからこの名称がついており、ソメイヨシノのとは違った春の訪れを楽しむことができます。
夏の時期、7月中旬から8月上旬の土日・祝日には朝6時から早朝観蓮会が開催されます。早朝ならではの静かで清々しい雰囲気ただよう園内で、蓮が開花する様子を観察しましょう。
そして秋〜冬の紅葉の季節は、三溪園が一年で一番鮮やかな彩りに包まれる季節。オススメは内苑最奥に位置する聴秋閣から、山際を望む紅葉の風景です。聴秋閣は京都の二条城にあったと言われる、春日局に所縁のある建築物。紅葉初期の鮮やかさもさることながら、散り際には遊歩道全面が真っ赤な絨毯に早変わり、横浜にこんな素晴らしい場所があったのかと思えるでしょう。
写真は外苑、旧燈明寺三重塔(関東にある最古の木造建築。1914年移築)を、月華殿から捉えたもの。三溪園では中秋の名月である9月12日〜9月16日(2019年三溪園イベントスケジュール日程)の期間内に、営業時間が20:30まで延長され、観月会が催されます。
私邸から、写真のような空に真ん丸としたお月様が見えるように考えられているのです。ここにも原三溪のこだわりが見てとれます。それに加え臨春閣では日替わりで雅楽や舞踊が行われ、日本情緒溢れるお月見を楽しむことができます。
三溪園ではこの観月会だけでなく、桜の季節、花菖蒲の季節(実は園内で蛍を楽しむことができるポイントもあり)に、「観桜の夕べ」「蛍の夕べ」といった催しを開催。園内のライトアップされた建築物と共に、日本の四季を楽しむことができます。
園内にある茶屋で趣き深いグルメを堪能することも、三溪園での楽しみのひとつです。たとえば待春軒で食べることができる三溪そば。これは汁がないソバで、上にはタケノコやしいたけ、挽肉が盛り付けられており、モチモチした食感が美味しい一品です。
これは、原三渓考案や関係する方々が客人をおもてなしするために考えられたもの。原三渓は客人を呼ぶのが好きだったようです。様々な文化人や芸術家を支援していたこともあり、伊藤博文や横山大観といった著名な人物と交流を深めていたようです。その精神は今もなお、三溪園に脈々と受け継がれています。
写真は大根おろしの団子。抜群の焼き具合で作られた上に新鮮な大根おろしがたっぷりのった、さっぱりとした味わいの一品です。お団子やおにぎりなど、散策の休憩に軽くつまめるものもあるがうれしいです。
また、抹茶処 望塔亭ではお抹茶(一服500円、お菓子付き)も。本格的なお点前は目も楽しませてくれます。
住所:神奈川県横浜市中区本牧三之谷58-1
電話番号:045-621-0634(代表)
開園時間:9:00〜17:00(入園は閉園の30分前まで)
※イベント開催時は開園時間が変更になることがあります
入場料:大人700円、子ども(小・中学生)500円
2019年3月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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