風情ある峠の茶屋も!剣豪たちの歩いた道〜奈良「柳生街道」を歩く

風情ある峠の茶屋も!剣豪たちの歩いた道〜奈良「柳生街道」を歩く

更新日:2016/03/01 11:40

「柳生」と聞いて、皆さんは何を思われますか? 奈良市の東にある柳生の里は、剣豪の柳生一族が住んだ地として知られています。奈良から柳生へと続く道は「柳生街道」と呼ばれ、歴史を感じさせる道として今もハイキングの人たちに人気です。今回はその柳生街道をご紹介します。

柳生街道のことを知ろう。

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山あいの静かな里・柳生を世間に知らしめたのは、1971年に放送されたNHKの大河ドラマ『春の坂道』。春の坂道は、故・山岡荘八の小説を原作として作られたドラマで、江戸幕府の初期に生きる柳生但馬守宗矩を描いたものでした。

当時は観光客が詰め掛けて大変な賑わいとなった柳生の里。観光バスも続々と入り、にわかショップも次々と開店しました。今ではそんな賑わいをすっかり忘れたかのように、元の静かな山里に戻っています。

柳生街道を歩くには、新薬師寺近くの「破石町(わりいしちょう)」がスタートとなります。今回歩く距離だけで10キロほども歩くことになるので、破石町まではバスを使うのが便利。足に自信のある方は、新薬師寺に寄ってお参りしてから歩き始めるのもいいかもしれません。バスはJR・近鉄奈良駅から奈良交通バスで10分ほどです。

いざ、行かん。柳生街道・滝坂道へ。

いざ、行かん。柳生街道・滝坂道へ。
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さて柳生街道は、元々は「滝坂道」と呼ばれていました。小さな滝が続く能登川という清流沿いの、奈良時代から使われてきた道です。江戸時代に、奈良と柳生を行きかう旅人のために石畳が敷かれました。能登川の水の流れる音と、木々の間から差し込む木漏れ日がとても気持ちいい道。歩いていると、鹿や猿と出会うこともあります。

歴史を感じながら石仏を探しながら、いにしえの石畳を行く。

歴史を感じながら石仏を探しながら、いにしえの石畳を行く。
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この道のいいところは、道端にある苔むした石仏たちです。昔日の人たちの思いを噛み締めるように歩いていきます。

歩き始めて20分ほどのところにあるのが「寝仏」。道端の石の裏にひっそりと眠るようにたたずみます。見落としがちなので注意深く歩いてください。石灯籠を過ぎてすぐにあります。室町時代の大日如来と言われています。

そこから5分ほど歩くとあるのが「夕日観音」。こちらは鎌倉時代の弥勒菩薩だそう。”夕日観音”という道標があって、そこから道を外れて少し上ったところにあります。会津八一が「その表情 笑うが如く、泣くが如し」と評し、夕日が照らす時が一番美しく見えることから「夕日観音」と呼ばれています。

剣豪たちも休んだ峠の茶屋を経て、この旅一番の名刹・円成寺へと向かいます。

剣豪たちも休んだ峠の茶屋を経て、この旅一番の名刹・円成寺へと向かいます。
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次にあるのが「朝日観音」。左右の脇侍は地蔵菩薩です。東を向いていて朝日が正面から照らすのでそう呼ばれています。こちらも鎌倉時代の弥勒菩薩です。鎌倉時代は末世思想が広がり、仏陀の死後、56億7千万年後にこの世に現れ、人々を救済すると信じられていました。

そしてこの朝日観音から10分ほどのところにあるのが「首切地蔵」。ここには東屋があり、ハイキングの休憩地点にもぴったりです。胴体と首の間が切れていて、荒木又右衛門が刀の試し切りをしたのだと言われています。

このあたりは、奈良時代には風葬の地だったため、地獄谷と言われ、街道から入ると多くの石仏が残されています。

首切り地蔵から歩くこと20分ほどであるのが「峠の茶屋」です。かつては街道を歩く旅人で賑わい、春の坂道ブームのときも大勢の人が、草もちに舌鼓を打ち、お茶で喉を潤したところです。

以前は「茶代の代わりに」と、武士たちが残していった刀や槍が飾られていたのですが、今は残っていません。残念ながら、今では猫の住処となってしまっています。

いよいよ一番の見所、円成寺到着。疲れた体を美しい庭園と仏様で癒してください。

いよいよ一番の見所、円成寺到着。疲れた体を美しい庭園と仏様で癒してください。
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峠の茶屋から誓多林(せたりん)地区に入り、道標に沿って大慈仙(だいじせん)と言われるところを茶畑を見ながらを歩くこと1時間半ほどで着くのが忍辱山(にんにくせん)。ここに、柳生街道で一番のおすすめの「円成寺」があります。こうした珍しい地名はインドから伝わったと言われています。

旅の最後にある円成寺は、天平時代に聖武天皇によって開かれた建てられた古刹です。明治時代の廃仏毀釈で一時は寂れて荒れ果てていたのですが、昭和30年代に整備改修されて創建当時の美しい閑静なたたずまいを取り戻しました。

円成寺の本尊は藤原時代の阿弥陀如来。堂内にある仏像や、柱に描かれた極楽浄土の絵なども必見です。ゆっくりと手を合わせれば、きっと日々の生活で疲れた心の洗濯ができること間違いなしです。

円成寺には国宝が二つあります。ひとつは再建された多宝塔に納められている大日如来。運慶の処女作とも言われる仏像です。もうひとつは春日大社から移された春日堂・白山堂です。檜皮葺の建物は歴史を感じさせます。

おすすめの柳生街道の旅はここまでですが、柳生の里のおすすめスポットを紹介します。

今回おすすめの「柳生街道の旅」はここまでですが、柳生の里へはまだ7キロほど距離があります。一気に歩くのはちょっと辛いです。円成寺からバスがありますが、本数が少ないため事前に調べておくことが絶対です。柳生の里には山岡荘八が春の坂道の構想を練った「家老屋敷」や、柳生一族の菩提寺だった「芳徳寺」、再建された剣術道場の「正木坂道場」などがあります。

柳生には菖蒲園もあり、5月下旬から6月末くらいまで約80万本もの菖蒲が目を楽しませてくれます。また、芳徳寺は毎年4月中旬にはソメイヨシノが満開となり桜祭りも開かれます。街道とは別に、花の時期に合わせて、柳生の里を訪ねてみていただくのもおすすめです。

柳生からはJR・近鉄奈良駅まで奈良交通バスを使うのですが、こちらも本数が少ないので要注意です。2016年2月末の現在、17時5分が奈良行きの最終となっています。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2016/02/21 訪問

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