イラン絨毯博物館で世界最高水準のペルシアの美にはまる!

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イラン絨毯博物館で世界最高水準のペルシアの美にはまる!

イラン絨毯博物館で世界最高水準のペルシアの美にはまる!

更新日:2016/03/02 12:34

菊池 模糊のプロフィール写真 菊池 模糊 旅ライター、旅ブロガー、写真家

イランの首都テヘランには絨毯博物館があり、貴重なコレクションを見ることができます。ここで、ペルシア工芸の美に開眼される方も多いようです。イランの観光スポットとしても絶対に外せません。世界最高の調度品であるペルシア絨毯の世界を、ぜひ心ゆくまで堪能してください。

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絨毯の歴史と博物館

絨毯の歴史と博物館

写真:菊池 模糊

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絨毯は、遊牧民が移動する生活に使う敷物として発明されたものです。
最初は、砂塵や寒さを防ぐため、羊毛で作られたフェルト状のものでしたが、やがて毛糸で織り込まれた丈夫な敷物となりました。
そして、色や柄が工夫され、織り方や素材も多様化し、高度な芸術品にまで進化しました。

確認されている最も古い絨毯は、シベリア南部の永久凍土の中から発見された、およそ2500年前のものです。ヒッタイト系王族の埋葬品の一部と考えられ、アケメネス朝ペルシア帝国で作られたものです。現在は、ロシアのエルミタージュ美術館に収蔵されていますが、そのレプリカはイラン絨毯博物館に展示されています。
このようにペルシア絨毯の歴史は古く、紀元前の時代から制作されていたのです。

現代のイランでは、絨毯は日常的に使われています。
住宅用のものから、イスラム教の祈祷時に使う携帯用のもの、モスクなどの施設に敷き詰められる巨大なものもあり、鉄道のコンパートメントや喫茶チャイハネの座敷席などにも使われています。
安い機械織りもありますが、手間をかけて作られた手織りの絨毯は高価で、アンティークの芸術的名品になると非常に価値が高く、サザビーズで数十億円で落札された例もあります。

イランの首都テヘランには、国立のイラン絨毯博物館があり、ペルシア絨毯の名品を見学できます。
イランを訪れたら必ずこの博物館に行ってみましょう。絨毯に対する見識も増し、ペルシア絨毯購入の際の参考にもなります。
絨毯博物館の外観は、絨毯の織機をイメージしたもので、門扉も重い鉄製で厳重に管理されています。(写真参照)

絨毯博物館の内部

絨毯博物館の内部

写真:菊池 模糊

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絨毯博物館の内部は広く、イラン各地で生産された様々な絨毯が展示されています。
吊るした展示だけでなく、写真のように、水平展示もあり、いろいろな角度で絨毯を見ることができます。
オールドあるいはアンティークと呼ばれる古い名品絨毯が多いのですが、その精巧な作りと絵柄模様は見事なものばかりで、絨毯マニアだけでなく工芸品好きには最高の場所です。しばしそのペルシアの美に酔いしれてください。

この博物館の収蔵品は、最後の国王パフラヴィー2世(パーレビ国王)の皇后ファラ王妃が力をいれて収集したものが基本になっています。その後、カージャール朝ペルシア帝国の子孫からの大量の絨毯の寄付もあり、世界最大のペルシア絨毯のコレクションとなりました。

絨毯は、張った経糸(たていと)にパイル糸を結んで、横の緯糸(ぬきいと)を通して織っていきます。パイル糸とは染色された結び糸のことで、一目一目経糸に結ばれ、その先を切ってけば状に立毛し絵柄を作り出します。
この糸の材料、結び方、密度で絨毯の基本が構成され、織機や文様・意匠デザインは産地ごとに独特の個性があります。

ペルシア絨毯の産地はイラン全域に亘り、カーシャーン、ケルマン、タブリーズ、バクティアリ、マシュハド、イスファハーン、カシュガイなどが名高いですが、絨毯博物館にはこれらの産地の名品が一堂に展示されています。イラン全土の絨毯を一箇所で間近に見学できるわけですので、時間の許す限り楽しんでください。

カーシャーン産の絨毯

カーシャーン産の絨毯

写真:菊池 模糊

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カーシャーンはテヘランとイスファハーンの中間に位置する、薔薇と世界遺産フィーン庭園で有名な町ですが、非常に古くからペルシア絨毯も作られてきました。
16〜17世紀になると宮廷工房が置かれ、高級な絨毯の生産地として栄えました。
絹糸を使った精密な絵柄が特徴で、美しい作品が残されています。

絹は、羊毛に比べると弾力性と保温性に欠けますが、糸が細く結び目を密にすることができるのと、艶やかな輝きも有することから、芸術的で綺麗な文様が可能になります。手間がかかり貴重なことから高価で装飾的な絨毯の素材といえるでしょう。
カーシャーンは、ペルシアの絹産地から比較的近く、絹の錦織物産業の伝統があったことから、絹を使った絨毯が多く制作されるようなったと思われます。

写真の絨毯は、伝統的な「ゴルダニ意匠(花瓶柄)」に花や動物を散りばめたもので、絹糸を使った素晴らしい作品です。
花瓶に活けられた草茎がぐんぐん伸びて、フィールド全体に様々な花をたくさん咲かせて広がっていく様子は、とても綺麗で感嘆するばかりです。
また、カーシャーンで作られた絹の絨毯らしい艶やかな輝きも見事なものです。

ケルマン産の絨毯

ケルマン産の絨毯

写真:菊池 模糊

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ケルマンはイランの中央東部にあるルート砂漠に面したオアシス都市です。
古くから、テルメと呼ばれる布の産地で染織技術が発達したことから、絨毯も特産物として制作されてきました。
木綿の地糸に羊毛のパイル糸を用い、色彩豊かで絵画的な美しい文様がケルマン産の絨毯の特徴です。人物や動物の描かれたものも多いです。
ケルマンの周辺に広がる荒涼とした景色とは対照的に、その絨毯は豊穣で生命の輝きに満ち溢れています。荒野の民のあこがれが表現されているのかも知れません。

写真を御覧ください。中央部は「生命の木意匠」に果物・野鳥・蝶が埋め尽くされ、周辺部には多くの動物と人間の肖像が配された、とても美しいケルマン産の絨毯です。
複雑に絡み合った大木に、実り豊かな果物とたくさんの生き物が描かれ、砂漠に生きる人々にとっての楽園が象徴されているようです。
この絨毯は「全人類」とも呼ばれている名作で、その描かれた人類とは、左上隅から時計回りに、ペルシア人、ゲルマン人、ラテン(イタリア)人、インド人、中国人、アラビア人、オーストラリア人、トルコ人、アメリカ人、アフリカ人となっています。
中央下部に織り込まれたカルトゥーシュによれば、アドゥル・サルタネ注文、フォルサテ・シラジ文様デザイン、マハーマッドエブネ・アボルガジェム作とのことです。

他の地域の絨毯など

他の地域の絨毯など

写真:菊池 模糊

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イラン絨毯博物館では、上記以外の地域の絨毯の名品も網羅展示されています。
タブリーズ産は花柄やマヒ文様(魚柄)が多く緻密な織りが特徴です。
バクティアリ産はボテ意匠(ペイズリー柄)や方形に仕切られた模様がよく見られます。
マシュハド産はコチニールを用いた独特の深みのある赤紫色が有名です。
イスファハーン産は伝統的メダリオン・コーナー意匠が多く高品質です。
カシュガイ産は結び目が緩く毛足の長いのが特徴です。
このような各地の個性を意識しながら見学すると絨毯に対する理解が深まります。

写真を御覧ください。これは、16世紀初頭に作られたアンティークの絨毯で、いわゆるサングスコ絨毯と呼ばれている逸品のひとつです。(生産地はタブリーズではないかと推測されます)
サングスコとはポーランドの王族で、16世紀にトルコのオスマン帝国に対する戦争でペルシア絨毯を戦利品として獲得しました。その絨毯はサングスコ家の宝物として伝承され、ヨーロッパにおける高級絨毯ブームの原点となったのです。
サングスコ絨毯には動物闘争文様が見られ、このような意匠は、日本の豊臣秀吉の陣羽織キリムと強い関連性があると指摘する学説があり、非常に興味深いものです。
このイラン絨毯博物館の現物は、500年以上経過しているため、いささか痛んでおり文様が完全には判断できませんが、ヨーロッパ〜トルコ〜ペルシア〜日本と広がる歴史のロマンを実感できるのではないでしょうか。

最後に

イラン絨毯博物館は、テヘラン中心部のラレ公園北西にあり、入場料が必要ですが写真撮影は可能です。(ただし三脚とストロボは禁止)
手荷物の持ち込みは不可で、入口で預ける形になります。
もし、じっくりと時間をかけて見学したい場合は、ラレ公園北東部にある、ラレインターナショナルホテルに宿泊されることをおすすめします。綺麗なホテルで、絨毯博物館に徒歩で行けますので、心置きなくペルシア絨毯の世界を満喫できます。

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/10/27 訪問

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