江戸時代、潮待ちで鞆の浦を訪れた朝鮮通信使が、その景色のみごとさに驚いたと言われています。
その見事さが実感できるのが対潮楼。正式には福禅寺という禅宗のお寺。その本堂の一角は見晴台のようになっていて、ここから見える鞆湾の風景が、鞆の浦の一番の見所となっています。
窓枠越しに見える風景は、静かな瀬戸内の海とそこに浮かぶ仙酔島、弁天様が祀られる百貫島が、一幅の絵の様で美しさに息を呑むこと間違いなしです。
実は、景勝地は対潮楼だけではないのです。鞆湾を見下ろせる坂の上に、平安時代に開かれた医王寺というお寺があります。ここも是非寄ってほしいところです。ここでは鐘楼からの鞆湾が一望できて美しいのです。そして春ともなれば門前の桜の大木が咲き乱れます。桜の時期の医王寺は花と景色を楽しめる一番のスポットです。
医王寺から降りたところにあるのが、昔から鞆の人たちにパンを作ってきた老舗のパン屋さん村上製パン所です。60年余り前からずっと地元の人の支持を受けて、今も昔と変わらない素朴なパンを提供してくれています。
ちなみに、ここでの一番人気は「あぶらパン」。あの宮崎駿監督も「崖の上のポニョ」の構想のために鞆の浦に滞在された時には、何度も訪ねて買い求められました。
次はいよいよ、古くは鞆の津と呼ばれた鞆港です。なんといってもここが鞆の浦一番のランドマークであることは言うまでもありません。見逃してはいけないのは「常夜灯」。船着場・積み下ろし場である「雁木」です。
坂本龍馬率いる海援隊の「いろは丸」と紀州藩の軍艦「明光丸」が、衝突していろは丸が沈没したのはここ鞆の浦の南の海上。鞆湾では、いろは丸を縮小して造られた「平成いろは丸」が仙酔島と鞆の浦を結んでいます。
鞆の浦と言えば、重松清の「流星ワゴン」のロケ地としても知られています。このドラマでは、鞆の浦の現存する建物が多く使われました。ここには流星ワゴンゆかりの建物が、そのままの姿で残ります。チョウさんが今にも肩で風を切って出てきそうです。建物や映像で見た景色を実際に見ると、ドラマの感動が蘇ります。
鞆の浦では、毎年、二月下旬から町並みひな祭りが行われます。各商家の軒先にその家に伝えられてきたお雛様が並びます。大正、明治時代やそれ以前のものも公開されます。
ちょっと寒い時期ですが、ひな祭りの二月三月、桜の花開く四月上旬、五月最後の土曜日には弁天島の花火もあります。
まだ来たことのない人は是非、一度でも訪れたことのある人は季節を変えてもう一度、鞆の浦を訪れてください。すてきな町にきっと心奪われること請け負いです。
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