“3つの日本一”を持つお城!香川の現存天守「丸亀城」

“3つの日本一”を持つお城!香川の現存天守「丸亀城」

更新日:2016/09/02 14:32

浦賀 太一郎のプロフィール写真 浦賀 太一郎 週末トラベラー
四国の玄関口に位置する香川県丸亀市。市内からは、まるで西洋の要塞の様な総石垣の「丸亀城」がそびえているのがよく見えます。その石垣の高さは日本一を誇り、逆に天守は日本一小さく、その不釣り合いが丸亀城の美しさを、より際立たせています。
またこの2つに加え、日本一深い井戸という“3つの日本一”を持つ丸亀城。この井戸にまつわる築城悲話とともに、ちょっとマニアックに丸亀城の見所を紹介します!

日本一の高さを誇る石垣にたたずむ日本一小さな天守

日本一の高さを誇る石垣にたたずむ日本一小さな天守

写真:浦賀 太一郎

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丸亀城の高々と積まれた石垣は日本一高く、お堀から天守まで、総高60mにも及びます。その石垣の上に、日本一小さな天守がちょこんと乗っています。

姫路城や大阪城を想像してみてください。城郭のど真ん中に大きな天守がそびえ立ち、これぞ殿様のおわす天守閣!といった雰囲気ですが、丸亀城では、むしろ西洋の城塞のように肩幅が広く、男性的な石垣が強調され、天守は三階建てと控えめ。白を基調に、破風や板張りなどの装飾が施されていますが、どちらかというと女性的な印象です。
そんな日本一のミスマッチが、意外とシックリくるのがこの丸亀城の不思議な魅力と言えます。

無料公開の重要文化財・大手一の門へ攻め入る

無料公開の重要文化財・大手一の門へ攻め入る

写真:浦賀 太一郎

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太鼓門とも呼ばれた大手一ノ門は、大手二ノ門、天守と共に国の重要文化財に指定されている、江戸時代からの現存建物です。大手一ノ門は内部が無料公開されていて、備え付けの布草履に履き替えて見学が可能です。櫓内からは、攻め寄せる敵を撃退する「石落とし」や、鯱(しゃちほこ)などが展示されています。

大手一ノ門と大手二ノ門は、大手二ノ門から直角に右折し、攻めてくる敵の勢いを削いだ後、大手一ノ門と大手二ノ門の間に出来たスペースに包囲し、弓や鉄砲で殲滅する、いわゆる枡形の構造となっています。丸亀城の大手枡形は、日本でも最大の規模を誇るとされるものなので、見逃す手はありません。大手一ノ門内からは、その枡形の様子がよく見て取ることができるのです。

日本一の深さを誇る二の丸井戸と壮麗な石垣にまつわる悲話

日本一の深さを誇る二の丸井戸と壮麗な石垣にまつわる悲話

写真:浦賀 太一郎

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二の丸に残る井戸は、深さが約65mもあり、日本一深い井戸と言われています。これが、丸亀城3つめの日本一です。そんな二の丸井戸ですが、悲劇の伝説が残っています。
丸亀築城の折、常に裸になってせっせと働く男がいました。彼の働きもあって壮麗な石垣は完成します。殿様も「この城壁ならは飛ぶ鳥以外は乗り越えられまい」とご満悦でしたが、何を思ったかその男は、「鉄の棒一本で登れます」と、すいすい城壁を登ってしまいます。
そんな男が敵に寝返ったりしたら大変だと恐れた殿様は、二の丸井戸の内部を探らせる口実で、男を井戸に入らせている間に石を投じて殺してしまいました。

また、日本一高い石垣にまつわる悲話も伝わっています。これだけの石垣の築城工事。当初は難航を極めました。そこで、人柱を立てることになり、ある雨の日の夕暮れ時に捕えた豆腐屋を生き埋めにしてしまいます。その甲斐あってか工事は順調に進み、竣工が成ったのですが、それ以来、人柱を立てた辺りでは、シトシト雨の降る夕暮れ時に、どこからともなく「とうふ、とうふ食べまい。とうふ・・・」と聞こえてくるという。
二の丸井戸の伝承といい、これ程の石垣を作り上げるためには、そうした犠牲もあったのでしょうか・・・。

美しすぎる丸亀城の、新旧石垣の見所

美しすぎる丸亀城の、新旧石垣の見所

写真:浦賀 太一郎

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丸亀城と言えば、壮麗な石垣ですが、時代によって味わいの違う石垣が残っています。
そもそも、丸亀城を築城したのは、豊臣三中老の一人・生駒親正でした。天正15(1587)年に讃岐国、今の香川県に封ぜられた生駒氏は、早速丸亀城築城に着手。その頃に積まれたと考えられている、丸亀城では珍しい「野面積石垣(写真)」が搦手口の一隅に残っています。

搦手口は、生駒氏と、生駒氏が去った後に封ぜられた山崎氏の時代までは大手口で、元々の正門だったのです。搦手口から天守を目指して進むと、山崎氏時代の巧みな石垣の配置を見ることができます。山崎氏は石積み技術が完成形に達した江戸時代前期から讃岐国を治め、現代においても、行きかう人の目を奪ってやまない壮麗な石垣の城塞として、丸亀城を完成させました。

現・大手や搦手口にはキッチリと切りそろえられた切込接(きりこみはぎ)の石垣が配され、「魅せる石垣」として城の大事な部分に用いられています。また、城の大部分は「打込接(うちこみはぎ)」という技法で積まれ、大手筋の見返り坂の、曲線が美しい「扇の勾配」や、石垣の角部に施される「算木積(さんぎづみ)」など、打込接の真骨頂ともいえる石積みの技術は、城内の随所で見ることができます。

日本一小さな天守の内部に潜入!急な階段と高い天井

日本一小さな天守の内部に潜入!急な階段と高い天井

写真:浦賀 太一郎

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丸亀城の天守は、万治3(1660)年に完成した、四国最古の木造天守。日本一小さな天守の内部は、やはりそう広くはありませんが、見所は多数あります。
まず目を引くのが、ハシゴの様な階段の急勾配っぷり(写真)!これは、天守自体の狭さも要因ですが、基本的には、敵が攻め込んできた時に登りにくいように、急な造りにしているとされています。登り降りはしっかり手すりを握って慎重に。それと、これ、意外と重要だと思います。女性のスカート!これはおすすめできません。

泰平の時代に完成した天守なので、そこまで「戦」を意識した内装ではありませんが、それでも「石落とし」や、弓鉄砲を撃ちかける「狭間(さま)」が仕込まれています。2階と3階には、有事の際に漆喰の壁を蹴破って使用する「隠し狭間」もあるので、どこにあるか、じっくり探しながら最上階の3階を目指すのも楽しいですよ!

名前の可愛さに惑わされるな!

なんとなく愛嬌のある名前とは似ても似つかぬ、鉄壁堅固な城塞・丸亀城。丸亀駅からも徒歩12分程、駐車場も完備され、現存12天守の中でも屈指の巡りやすさです。
今回は紹介しきれませんでしたが、天守から眺める風景は素晴らしく、海は瀬戸内、山は讃岐富士・飯野山の絶景です。本丸を囲む高石垣をぐるりと一周、見上げながら歩いてみるのもなかなか乙ですよ!

丸亀駅構内の丸亀市総合案内所で、お得なクーポンのゲットもお忘れなく!香川、いや、四国へお越しの際は、まずもって四国の玄関口・丸亀のお城にお越しくださいませ!

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/02/06 訪問

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