納沙布岬は東の最果て!岬から望む、北の大海と望郷の島々

納沙布岬は東の最果て!岬から望む、北の大海と望郷の島々

更新日:2016/02/22 15:00

納沙布岬(ノサップ岬:北海道根室市)は、本土最東端の地。※日本最東端は南鳥島

どこまでも広がる海と空、岩礁に打ちつけ荒々しく砕け散る波、自然と戦う海鳥、霞んで見える島々・・そこはまさに、最果ての地の絶景。

しかし、ここから見える雄大な風景からは、戦争が生んだ悲しみや人々の望郷の思いなども見えてきます。岬に立って、壮大な大自然、そして今は異国となってしまった島々などをぜひ感じてみてください。

納沙布岬

納沙布岬
地図を見る

北海道の地図を頭に思い浮かべてください。右端に2本、角のように突き出ているところがありますが、上の角が知床半島で、下の角が根室半島。その下の角のほうの先端が、日本本土の最も東の地点となる納沙布岬です。岬には、それを示す「本土最東端 納沙布岬」という碑が建てられています。

また、この納沙布岬と千島列島を結ぶ線が、オホーツク海と太平洋の境界になっています。ということは、ここはオホーツクと太平洋の両方の海が見える所なのです。もちろん実際に境目などないのでわからないのですが、2つの海の見える、ちょっと贅沢な場所でもあるわけです。

そして、岬の先端にあるのが納沙布岬灯台。北海道で最初に点灯されたのがここの灯台で、それは明治7年のこと。その後昭和5年に改築され今の形となっているので、建物そのものは最古ではありませんが、北海道の中で一番古い歴史を持った灯台なのです。

納沙布岬へ行くには

納沙布岬へ行くには

納沙布岬に行くには、岬を目指して、北側からぐるりとまわる道と、南側からぐるりとまわる道があります。根室半島のほぼ中央に位置する根室駅(根室本線終点)あたりからのびて、細長い輪っかのようにして半島をまわりながら岬を通っています。

交通機関を利用して岬へ行くには、根室駅から出ている根室交通のバスを利用します。バスは、集落が多く点在する南側の道を通って納沙布岬まで行き、そこからまた同じ道を引き返してきます。つまり南側の道のみを通るわけです。

バス利用だと、駅から岬までが約40分。1日7往復しています。(2016.1現在)
時刻などの詳細については、根室交通のサイトでご確認ください。

納沙布岬への北側ルート

納沙布岬への北側ルート

岬へ行く北側のルートは、原野の多い、荒々しい大自然を満喫できるルートです。

原野の向こうに見えるオホーツク海、そちらへ目をやると、未だ返還されない国後(クナシリ)島が、雄大に広がっているのが見えます。写真に写っている手前の山が国後島、そして向こうに少し見えている山が知床半島です。手前がロシア、向こうが日本という、何かとても変な感じがしますね。

この北側ルートは、南側に比べると周辺集落も少なく、路線バスは走っていません。ですので行こうと思うと、自家用車もしくはレンタカーということになります。

運転免許が無い場合は?

大丈夫です!タクシーがあります。
根室駅からの‘納沙布岬コース’というタクシー観光を利用すると、2時間ほどでぐるりと岬をまわってくれるので、半島の北側の観光もできます。

何より、地元のことを知り尽くした運転手さんの案内を聞きながら観光できるのがいいですね。通常のタクシー利用料金よりお安く、11,100円(2016.1現在)で設定されていますので、複数で訪れる際はグッとお得です。こちらも詳細は、根室市観光協会へお問い合わせください。

岬のお土産屋さん

岬のお土産屋さん

岬には、数軒のお土産物屋さんがあり、さまざまなお土産が売られているのですが、一番のオススメは昆布です。お店では利尻や羅臼、日高など北海道各地の昆布が売られていますが、やはりここは納沙布産の昆布でしょう。貝殻島の昆布はとても有名ですものね。

これから取れる出汁は、もうめちゃくちゃ美味しいです。最高の昆布出汁です。ひと味もふた味も違うというか、別次元の美味しさが味わえますよ。

また店内では、ラーメンやカレーなどを食べることのできるコーナーもあります。ここでのオススメは、やはりオホーツクラーメンです。海産物からとられた出汁スープがとても美味しく、具も地元の海産物。オホーツクの味を堪能できます。

岬から見える島々

岬から見える島々

納沙布岬からは、いくつかの島が見えます。北方四島と呼ばれる歯舞(ハボマイ)群島、国後(クナシリ)島、色丹(シコタン)島、択捉(エトロフ)島のうち、国後島、そして天候が良ければ歯舞群島の水晶島や萌茂尻島、貝殻島などの他の島々も見ることができます。

この北方四島は、いずれも日本人が努力と苦労の末に切り拓き、長年に渡って人々が生活を営んできた、歴史的にも一度も他国の支配になったことのない、わが国固有の領土です。しかし終戦以降、わずか数kmの近い距離にありながらも異国の地、帰り得ぬ地となっている望郷の島々です。

写真は貝殻島の灯台です。写真では、潮の関係で海にプカプカ浮かんでいるように見えますが、小さいながらも陸地を持っています。かなり傷んでいるように見える灯台は昭和12年の完成。建てられて、もう80年が過ぎているのですね。

このあたりから見える島々の多くは、お盆をひっくり返したように低く平らな独特の形をしています。これだけでも決して他では見ることのできない風景です。行かれる時は、ぜひ双眼鏡や倍率の高いカメラをお持ちください。条件がよければ、そういった島の灯台や古びた建造物も見ることができますよ。

おわりに

岬からは、沖を行き交う日本・ロシア両国の国境警備艇が普通に見えます。すぐ近くに国境があることを強く感じます。極東の島国日本、こうして他国との国境を感じる場所は、数少ないのではないでしょうか。

また、岬は‘望郷の岬公園’として整備され、北方四島に関しての資料などが展示された「望郷の家」「北方館」、高さ90mを越える「望郷の塔(オーロラタワー)」や「平和の鐘」、そしてモニュメントなどがあります。タワーの展望台からの風景は絶景ですよ。

日常では決して見ることのできない最果ての地の絶景、そして今なお消えることのない戦争の哀情、みなさんもぜひ訪れ、そしてふれてみてください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2014/09/28 訪問

- PR -

条件を指定して検索

- PR -

この記事に関するお問い合わせ

- 広告 -