写真:沢木 慎太郎
地図を見るタイ北部の古都チェンマイ。美しい山々に囲まれた街には、13世紀に築かれたランナータイ(ランナー)王朝の栄華を今に伝える風情ある寺院が数多く残っています。
チェンマイの中心となるのが、四方をお堀と城壁跡で囲まれた旧市街。この旧市街のほぼ真ん中に建つ巨大廃墟寺院が「ワット・チェディルアン」です。
寺院が建てられたのは14世紀後半。ランナータイ王朝の第7代目の王が亡くなった父親を偲んで建立したと伝えられます。この巨大仏塔は、仏教の世界観を表す須弥山(しゅみせん)をイメージ。仏教で神聖な動物とされるゾウが仏塔を支えています。
仏塔は高さ約86mの高さを誇っていましたが、16世紀の地震で半壊。しかし、崩れながらも空高くそびえる仏塔は胸に迫るような迫力があり、たいへん見ごたえがあります。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る崩れかけた巨大仏塔に目を奪われがちですが、「ワット・チェディルアン」の本堂もぜひご覧いただきたい観光スポット。実は、ここが意外なほど美しい。寺院を入ったところにある正面の大きな建物が本堂です。黄金の装飾がほどこされ、たいへんきらびやか。
そして、こちらが本堂の入り口。階段の手すりを覆っている金色の龍は蛇神の「ナーガ」です。とても神聖な気配に満ち、たいへん美しい。ナーガは、仏教の開祖ブッダ(釈迦)が悟りを開くときに守護した精霊で、コブラを神格化したもの。しかし、コブラがいない中国では「龍」と翻訳され、日本にも龍として入ってきました。
写真:沢木 慎太郎
地図を見るナーガが見守る本堂の入り口を入ると、目に入るのがこちらの光景。高い天井。そして、きらびやかな柱の列。豪華なシャンデリアが吊り下げられ、赤と黒を基調とした堂内は息をのむほど荘厳な気配に満ちています。
「ワット・チェディルアン」を訪れたなら、ぜひご覧いただきたいスポット。本堂に一歩入れば、雰囲気が一変し、身が引き締まるような思いがします。きらびやかさと感じると同時に、心が深く落ち着く風景。バンコクやアユタヤなどでの巨大寺院でも見られない華麗な装飾に驚かれることでしょう。
写真:沢木 慎太郎
地図を見るこちらは本堂の奥にあるご本尊。ランナータイ王朝の都が置かれたチェンマイは、“ランナー文化”と呼ばれるタイ北部独自の文化・伝統を生み出しましたが、この仏像にもランナー様式を見ることができます。ランナー様式の仏像は、丸みを帯びた柔和なお顔が特徴。
巨大な黄金の仏像はとても神々しく、たいへん神秘的な気配に満ちています。金色は人々を喜ばせる色で、輝きは迷いを除き、願をかなえるためのもの。タイ北部で独自の文化をはぐくむチェンマイには美しいお顔の仏像が多いので、ぜひご覧ください。
写真:沢木 慎太郎
地図を見るそして、「ワット・チェディルアン」の最も意外な楽しみ方はこちら。漆黒の闇の中に浮かぶ廃墟寺院のライトアップです。チェンマイは、タイ第2の都市とされていますが、人口約20万人で、東京都渋谷区の人口ほど。夜になれば深い闇が街を包み、しっとりと静まり返ります。
そんな深い闇の中で、柔らかなオレンジ色の光をまとう「ワット・チェディ・ルアン」はあまりにも幻想的。蛇や象などの聖地は装飾がほどこされた寺院は、かすかに愁いの表情を浮かべ、過去の栄華を偲んでいるよう。ランナータイ王朝の栄華を極めた時代へとタイムスリップしたような気高い誇りが感じられます。「ワット・チェディ・ルアン」は年末年始など、季節に応じてライトアップされることがあるので、チェックしてみて下さい。
いかがだったでしょうか?
ちなみに、廃墟寺院の「ワット・チェディ・ルアン」ですが、チェディは「仏塔」で、ルアンは「大きな」という意味。そして、「ワット」というのはタイ語で、お寺のこと。
地震で崩壊した大仏塔は1990年代に修復が行われ、現在の姿に。大仏塔が完全に復元されていないのは昔の記録がないためです。すっかり元通りになった姿を見るよりも、過去の栄華を想像して楽しむのが、「ワット・チェディ・ルアン」の楽しみ方なのかもしれません。
なお、チェンマイの寺院については別途、記事にまとめていますので、ご興味のある方はリンクからのぞいてみて下さい。
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(2024/3/28更新)
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