儚き美がある!ウズベク「船の墓場」で消えゆくアラル海を思う

儚き美がある!ウズベク「船の墓場」で消えゆくアラル海を思う

更新日:2016/01/29 16:18

Grace Okamotoのプロフィール写真 Grace Okamoto 世界一周フォトライター
ウズベキスタン北部に位置する小さな街、ムイナク。かつてはアラル海に面した豊かなオアシスでしたが、旧ソ連時代に灌漑によって湖が急激に縮小し、船は一晩のうちに取り残されてしまいました。

果てしなく広がる砂漠にぽつりと残された船たちの姿は、儚さを感じさせながらも、どこか美しくもあり、「もののあはれ」を良しとする日本人の感覚に訴えかけてきます。

砂漠に突如現れる、数艘の舟たち

砂漠に突如現れる、数艘の舟たち

写真:Grace Okamoto

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ウズベキスタンの北西部の「カラクルパクスタン共和国」と言われる自治区と、カザフスタンと国境に位置するとても小さな街、ムイナク。かつては世界第四位の大きさを誇る湖、アラル海沿岸の漁師町として、小さいながらも繁栄していました。

大きかったアラル海の縮小の原因は、旧ソ連時代に綿花栽培のための灌漑・運河を作ったことでした。干上がって行くスピードはとても早く、一晩のうちに数百メートルも湖岸線が後退してしまったとか。そうして幾つもの船が、なす術も無く取り残されることになりました。今は砂漠の街と化したムイナクに遺された船たちは、「20世紀最大の環境破壊の象徴」とも言われています。

その儚さ、朽ちてなお砂漠に佇む姿はどこか美しく、世界中から旅人を惹き付けてやみません。

一面の砂漠にぽつり!時間帯によって表情を替える船

一面の砂漠にぽつり!時間帯によって表情を替える船

写真:Grace Okamoto

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ムイナクの街外れには「船の墓場」モニュメントがあり、縮小していくアラル海の様子をパネルで学んだり、高台から幾つもの船を見下ろすことができます。

だだっ広い砂漠に残された船たちは、かなり唐突で強い印象。時間帯によってその印象は大きく変わり、夕陽の中で見れば錆色がさらに赤く浮き上がるようなイメージを、朝日の元では砂漠の茫洋たる雰囲気を強く感じます。

足元を見れば、貝殻がぽつぽつと残り、湖だった形跡を今に伝えています。

秘密基地さながら!船のあちこちを探検しよう

秘密基地さながら!船のあちこちを探検しよう

写真:Grace Okamoto

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並ぶ船たちはすっかり錆びて朽ちているとは言え、地元の子供達の遊び場にもなっており、冒険心がくすぐられます。背の高い船にはハシゴが掛けられていて、安全に遊べるのもポイント。

普段の生活ではなかなか見ることの無い船の構造をじっくり見てみたり、船体によじ上って写真を撮ったり。船の上に腰掛けて、飲み物を飲みながら夕陽を眺めるのも特別な時間になりそうです。

新月の夜に訪れたい!銀河に漕ぎ出す船を撮る

新月の夜に訪れたい!銀河に漕ぎ出す船を撮る

写真:Grace Okamoto

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周囲の町灯りが少なく、起伏の少ない平原が広がっているため、星景写真を撮るのにはうってつけの砂漠。船の骨格がむき出しになっているのも、フォトジェニックで面白い!特に新月の日や、月明かりの少ない夜に訪れれば、銀河を漕ぐ船の写真を撮ることが出来ます。

砂漠であるため、夜の冷え込みはかなりのものになります。また、街灯は殆ど無く、たどり着くまでの懐中電灯やライトは必須。暖かい服装で、レンズの曇り対策などもしっかりしてお出かけください。

中央アジアならではのイスラム食!地元のフードも魅力

中央アジアならではのイスラム食!地元のフードも魅力

写真:Grace Okamoto

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ムイナクは小さな街ですが、地元の料理を出すレストランが幾つかあります。じゃがいもや野菜を使った素朴なスープや、イスラム文化で発達した羊肉料理、胡麻をふんだんに練り込んだ香りの良いナンを、身体を暖めるチャイと共にいただくのは、ほっこり心温まる時間!

ムイナク「船の墓場」のまとめ

ウズベクでも有名な観光地であるヒヴァからバスに乗り、カラクルパクスタンの首都ヌクスを経由して、半日程度で到着できます。少し交通の便は悪いですが、一見の価値がある場所です。

現在は世界からの支援を受けて、アラル海も少しずつ本来の姿を取り戻しつつあります。ユニークな光景を楽しみつつ、環境について考える時間はいかがでしょうか。

掲載内容は執筆時点のものです。 2014/05/01 訪問

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