写真:Hiroko Oji
地図を見る伊・フィレンツェの北西にあるプラート(Prato)の町には、鉄道駅が二つあります。大きな中央駅より中心地に近いのは、プラート・セッラリオ(Prato Serraglio )駅。駅前からまっすぐ延びるマグノルフィ通りを進んでいくと、町の歴史が集約したドゥオーモ広場に出ます。
開放的な広場の中央には素敵な彫像のある噴水があり、周囲を取り巻く建物は歴史あるものばかり。その中で一際目を引くのが、12〜13世紀にかけて建築されたピサ・ルッカ風のロマネスク教会のドゥオーモ。後に付け加えられた翼廊部分はゴシック様式です。
白と緑の大理石が組み合わされたファサードの装飾は優雅で、タンパンにはA.デッラ・ロッビアによる、バックを水色に彩色されたテラコッタが飾られています。白と煉瓦色の石がつぎはぎのように組み合わされているのはちょっとした愛嬌でしょうか。右奥には、2連・3連のアーチ窓が縦5層に並ぶ優雅な鐘楼が姿を見せています。
内部はロマネスク様式の残る3廊式になっていて、美術館かと思えるほど素晴らしい作品が並んでいます。右翼廊の祭壇にあるのはテラコッタ像の「オリーブの聖母」、またフィリッポ・リッピ作の「聖ヒエロニムスの死」や後陣の15世紀のフレスコ画「洗礼者ヨハネと聖ステファノ伝」、たくさんの美しい色使いのステンドグラスなど目を楽しませてくれます。
写真:Hiroko Oji
地図を見る多くの教会や聖堂では、その内部に設けられている説教壇ですが、このドゥオーモでは内部の他にも正面右の角の外壁に設置されています。
この説教壇はブロンズの台の上に「聖母の腰帯の説教壇」が載り、足元をドナテッロ作の「踊る子供達」という7枚のレリーフで囲まれています。円錐形の庇軒下に細かな細工を施された格間が見られるのも、興味を惹きます。現在外壁にあるのはレプリカで、オリジナルは付属美術館に保管されています。この付属美術館ではドナテッロの作品の他、P.ウッチェッロやフィリッピーノ・リッピ達の絵画などが見られますので、是非お立ち寄り下さいね。
写真:Hiroko Oji
地図を見るドゥオーモ広場から歴史のある通りをさらに南に進んでいくと、13世紀に神聖ローマ皇帝フリードリッヒ2世によって建てられた城に辿り着きます。
この城は、同皇帝がプーリア地方に造った世界遺産のモンテ城にも負けず劣らずの、堅牢な城壁がロ型に囲む建物で、四角の塔が前後に並べられたような造りになっています。上端はギベッリーニという狭間で装飾されているのもお城によく見られるものです。石造りの階段を伝って城壁の上に上ると、周囲を一周できるようになっています。
この城壁上からは町並みの素晴らしい眺めが見渡せます。前の広場に面して右横に建つのはルネッサンス建築の美しいサンタ・マリア・デッレ・カルチェリ教会、左向かいには堂々たるサン・フランチェスコ教会、町並みから所々突き出たように建つ塔や鐘楼、赤茶色の屋根瓦が並ぶ町、町の周囲を取り巻く山並みなど、素晴らしい眺めを堪能する展望所ともいえます。
写真:Hiroko Oji
地図を見る13世紀に建てられた赤煉瓦の建物で、一部は後期ゴシック時代に白い石を用いて建てられているのが市立美術館。隣の広場に面して司法行政館として利用されているパラッツォ・プレトーリオが建っています。外観を見る限りでは、赤煉瓦と白い石を切り貼りして建てられたようにも見えるこの建物は、市立のフレスコ画美術館としてトスカーナとフィレンツェの画家の作品が集められています。
内部にはフィリッポ・リッピの「聖母子と聖人たち」と「キリストの降誕」、彼の息子のフィリッピーノ・リッピによる「聖マルゲリータの祭壇」、シニョレッリ作の円形の絵画「トンド」・・・などが展示されています
写真:Hiroko Oji
地図を見るトスカーナ名物のアーモンドの入ったハードビスケット「ビスコッティ・ディ・プラート」はマットネッラやカントチーニとも呼ばれ、トスカーナやフィレンツェでは人気のあるデザートです。そのビスケットの発祥地が、ここプラートと言われています。特に、市立美術館前の通り沿いに建ち並ぶ建物の1階に入っている、1858年創業のアントニオ・マッティという老舗が人気店になっています。
クラシックな店内には色々な焼き菓子が揃っていて、パッケージも可愛い!150年以上も続いてきたオリジナルレシピを基に、イタリア各地から取り寄せた、こだわり抜いた最高品質の小麦粉や卵、アーモンドや松の実が使われているだけあって、カリッと香ばしい歯ごたえは最高!コーヒーやエスプレッソ、ワイン、ジェラートのお供に相性バツグンのビスケットです。店内はビスケットを求める人々で賑わっていて、時には外の通りまで列が並ぶこともあるそうです。要求すれば真空パックにもしてくれるので、お土産にもいかがでしょうか。
日本人にはなじみの薄い名前の町ですが、ひとたびその町並みに足を踏み入れると、素敵な風景が広がっています。通り沿いには美味しいお料理に出会えるレストランもたくさんあるので、フィレンツェや近くの町に来られたら、日帰りで気軽に訪れられてはいかがでしょうか。
この記事の関連MEMO
- PR -
トラベルjpで250社の旅行をまとめて比較!
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索
(2024/3/29更新)
- 広告 -