写真:猫乃 みいこ
地図を見る大島紬の大きな特徴は、「泥染め」すること。
大島紬村では、見学時間になると、案内の方に広大な敷地を案内していただけます。まず見学者の目をくぎ付けにするのは、泥田の中で糸を沈めて揉んでバシャバシャ染める「泥染め」の工程。
泥田の泥には鉄分が多く含まれていて、染めの色を濃くする役割があります。泥田の中で、何やらうごめくものが!良く見ると、イモリがたくさんいます。イモリはきれいな水の中にしかいないといわれていますので、泥がいっぱいであっても、「泥田」の水がきれいであることがわかりますね。
写真:猫乃 みいこ
地図を見る泥染めの前には、車輪梅の幹と目を細かく割り、大きな釜で20時間以上煮出した液で糸を染める「車輪梅染め」をします。
車輪梅の液で20回ほど染めた糸を泥田で染め、また20回ほど車輪梅液で染める、という気の遠くなるような作業を繰り返し、染める回数は80回以上。車輪梅のタンニン酸で赤茶色に染まった糸は、鉄分を含む泥染めをすることで、糸が柔らかくなり、独特の渋い黒の色に染め上がります。
さて話は前後しますが、大島紬は染色する前にもいくつもの工程があるのです。それは・・。
写真:猫乃 みいこ
地図を見る大島紬を染める前にどんな工程があるかというと・・写真は締機(しめばた)という機械。
大島紬の絣(かすり)は、他の産地と違い、締機で絹糸に木綿糸を織り込む「絣締加工」をします。経糸(たていと)に木綿糸を使い、数学的な図案に合わせながら絹糸を強く締めることで作られる、美しい絣模様。織られた糸を染めた後に木綿糸を引き抜くと、染まらない部分が出来、そこから緻密な絣模様が作られます。
締機は、機織りの機械よりも大きく力がいるため、絣締は主に男性の仕事です。
写真:猫乃 みいこ
地図を見る「絣締加工」された糸を染めた後に、糸から木綿糸を引き抜く作業が「絣筵解き」。染められた糸の中から、しっかりと絣柄を確認し、木綿糸だけを1本1本引き抜くという、とても根気のいる作業です。
この後、絹糸に図案に合わせて1本1本手作業で色入れをする「捺染」という工程を経て、機織りされる糸が仕上がります。
写真:猫乃 みいこ
地図を見る大島紬の「機織り」は、主に女性の仕事。
1本1本の経糸を織り機にかけ、緯糸(よこいと)を通しコットンカッタンと織り上げます。経糸と緯糸で絣模様を作るのですから、少しでもずれたら大変なことに。7cmほど織ったら、一度作業を止め、柄がピッタリ合っているか確認作業をします。細い絹糸の為、糸が切れる場合もあり、予備の糸から柄の同じ糸を探し出し、付け替えるとのこと。
大島紬は、このように細かい作業の繰り返しの為、緻密な柄になると、1日に7〜8cmほどしか織ることが出来ないものもあるそうです。一反(12m)を織り上げるのに、途方もない時間がかかるわけですね。
工房の見学の後に、展示室と売店を見てみましょう。特に展示室は、大島紬の様々な柄の反物がたくさん展示販売されています。あれほどの緻密な作業、しかもすべて手作業なのですから、反物はさすがに良いお値段(約30万円以上上限なし)。
ですが、大島紬は三代先まで着られるという着物。泥染めの鉄分で生地が丈夫になっているのと同時に、柄が表裏同じですから、洗い張りして仕立て直すときに裏側を表にすることまで出来るのです。
着物までは・・という方には、売店でおしゃれな小物がたくさん販売されていますので、想い出に購入してみてはいかがでしょう。
広大な敷地で、奄美の植物や動物にも会える「大島紬村」で、奄美の伝統工芸「大島紬」の工程を学んでみませんか?
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(2024/4/27更新)
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