燧ケ岳への登山ルートは、尾瀬沼から岩場を直登するナデッ窪、緩やかな長英新道、御池駐車場からの御池ルート、2013年9月の台風の影響で通行止めになり、その後2016年7月に一部ルート変更して再開通した尾瀬ヶ原の見晴からの見晴新道の4ルート。御池から池塘地帯を通過する登り+長英新道で緩やかに下り尾瀬沼へ、というのがお薦めルートです。
檜枝岐村(車)⇒御池駐車場(徒歩)⇒燧ケ岳(長英新道・徒歩)⇒尾瀬沼(徒歩)⇒沼山峠(バス)⇒御池駐車場
スタートは御池駐車場(料金1回1000円)からですが、約400台の駐車場が満車時には、5キロメートル手前の七入駐車場(無料)を利用し、シャトルバスで御池まで移動することになります。連休などの混雑時にはご注意ください。
バスを利用する場合は、会津鉄道会津高原尾瀬口駅から御池駐車場まで1時間50分で、料金は2080円です。シーズン中の週末に運転する、東武鉄道の夜行列車「尾瀬夜行23:55」を利用すると、会津高原尾瀬口駅を経由し、駐車場に早朝到着できます。
ロッジや休憩施設と反対側の駐車場の奥からスタート。すぐに燧裏林道との分岐があり、左の燧ケ岳登山道へ。山頂まで約4.5キロメートル、標準で3時間半の道のりです。
分岐点から1時間弱、樹林帯の岩場急登を登ると、視界が開け木道の両脇に池塘が点在する平坦な広沢田代が現われます。後ろを振り返ると、会津駒ヶ岳の山並みが見えます。
再び樹林帯の急登を1時間ほどで越えた先には、池塘の間に木道が延びる熊沢田代を見下ろし、その先には燧ヶ岳の雄大な山容が迫ります。
熊沢田代から先、7合目以降は、岩がゴロゴロの急なガレ場があったり、道を間違えやすいと注意書きのある枯れ沢がいくつもあったりする地帯。雪渓が夏でも残る場所です。斜面の横断や、えぐれた沢では注意深く前進する必要があります。
急な登りを越え、先に到着するのは2つある頂上のうち俎ー(まないたぐら)。ゴツゴツした岩の上に石の祠が並びます。こちらから尾瀬沼の姿が見下ろせます。
また、条件が良ければ、写真のように富士山がくっきり見えることもあります。
もう一つの頂き 柴安ー(しばやすぐら)は、一度下って、また登り返した場所で片道約20分です。大岩の脇を通り、二等三角点がある山頂に到着します。こちらが俎ーより約10メートル高い標高2356メートルの最高地点で、墓石のような燧ケ岳山頂と刻まれた立派な石柱があります。晴れていれば、眼下に尾瀬ヶ原が見渡せます。
ここから尾瀬ヶ原の見晴へ向かう見晴新道は、大雨など悪天候時は、ぬかるみの悪路になるので注意が必要です。
再び俎ーへ戻り下山します。ここで分岐。ハラ(尾瀬ヶ原)、ヌマ(尾瀬沼)、ミイケ(御池)と赤くスプレーされた岩を確認し、ヌマの長英新道方面へ。眼下のミノブチ岳越しの尾瀬沼を見ながら、岩場を下りていきます。
ナデッ窪との分岐点の標柱に、俎ーから0.3キロ。尾瀬沼まで4.2キロの表示と登る人用に追加された長英新道8合目。ミノブチ岳からは、尾瀬沼がさらに大きく見えます。
急坂に設置された木造の階段を下り、尾瀬沼の姿が徐々に近づきます。次第に樹木が生い茂り、眺望が奪われ、単調な下りに。所々、ぬかるみや滑りやすい粘土質のルートがあり注意が必要です。下りきってからも尾瀬沼の姿はなかなか見えず、時おりキノコが顔を出す森の中を歩み続け、4.5キロ、約2時間で尾瀬沼の分岐点です。
分岐点から左の尾瀬沼ビジターセンター方面へ向かいます。樹林帯に入ると、シカ防止柵が設置されています。大江湿原の食害防止のためです。沼山峠登り手前にも同じく設置され保護されています。
視界が開ける先の東岸分岐を右へ向かい、長蔵小屋などの建物があるにぎやかな尾瀬沼東岸へ。お土産購入や飲み物・軽食もある売店があり、トイレ休憩や尾瀬沼ビジターセンター見学が可能。ビジターセンター入口前には、写真のように望遠鏡が置かれ、燧ケ岳方面を仰ぎ見ることができます。
ここで、尾瀬沼沿いの穴場をご紹介します。1つ目は、尾瀬沼尾瀬沼ビジターセンターから長蔵小屋の右を通り、無料休憩所の先、元長蔵小屋の右側の沼際に広がるウッドテラス。利用する人は少なく、落ち着いて休憩できるスポットで沼からの涼風や眺望も楽しめます。
穴場スポットの2つ目は、尾瀬沼ビジターセンターから尾瀬沼山荘方面へ約20分進んだ湖畔の開けた場所が、尾瀬沼と燧ヶ岳が両方見えるビュースポット「早稲の砂風(すなっぷう)」です。残雪期には、写真のような光景に出会えます。
大清水への分岐点、三平下から沼尻にかけての南岸ルートは、コースが崩落や倒木などで荒れて工事中のため、通行できない状態です。
沼山峠方面へは、燧ケ岳を左に見ながら、大江湿原を進みます。初夏にワタスゲ、レンゲツツジ、ヒオウギアヤメなどが咲き、一番のハイライトは7月中旬に一面黄色く咲き誇るニッコウキスゲの大群落です。秋には草紅葉が金色に光り輝き、青いオヤマリンドウが時おり見られます。
写真の小淵沢田代方面への分岐付近は、早めにニッコウキスゲが咲き始めます。
大江湿原の平地の木道を越え、沼山峠へしばらく登ると、最後に尾瀬沼の姿が見える展望台。そこから木道を下り、沼山峠の登山口・休憩所へ到着します。
沼山峠休憩所までは、尾瀬沼東岸から片道約1時間の、木道が整備され歩きやすいルートです。ここから御池駐車場まで、2019年に新しく導入された、写真の電気で走るエコカーシャトルバスを利用し、約20分(料金590円)で御池に到着します。くれぐれも、シャトルバスの最終時刻を確認して、時間に余裕をもって間に合うように行動してください。
御池を朝出発し、沼山峠に到着してシャトルバスで夕方戻るという日帰りでも楽しめるコースです。もっとゆっくりと楽しみたい方には尾瀬沼エリアの山小屋一泊や、前後に檜枝岐温泉一泊もご検討ください。
燧ケ岳に登るのは難しいという方には、尾瀬沼周遊コースをお薦めします。シャトルバスを利用し、沼山峠から大江湿原経由で尾瀬沼を一周するコースなら、山歩きに慣れない人でも、楽しめます。(前述のように、尾瀬沼山荘がある三平下から沼尻へ向かう尾瀬沼南岸ルートには、木道破損の迂回やぬかるみが一部あり注意が必要です。)
尾瀬エリアは冬季は閉ざされ、残雪の残る5月から雪が降り始める10月下旬にかけてのみ立ち入り可能です。水芭蕉やニッコウキスゲ、秋の紅葉の時期には多くの人でにぎわいます。できれば混雑する週末を避け、平日に訪れることをお薦めします。
豊かな自然環境を守るために、木道を外れ湿原内に立ち入ったり、動植物を採取したり、ゴミの投げ捨てたりするマナー違反は慎みましょう。
また、尾瀬沼でも標高は1600メートル以上ある山岳地帯です。気温は、東京と比較して、日中で5度、朝晩で10度低くなります。また、雨が多い場所ですので、夏でも上着や雨具を準備しましょう。沼山峠から尾瀬沼往復の木道を歩くコースであればスニーカーでも大丈夫ですが、燧ケ岳登山には、必ず登山靴で、また残雪が多く残る時期なら軽アイゼン等の装備も準備しましょう。
遥かな尾瀬の自然を満喫しませんか?
2020年7月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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