イタリア中世の自治都市・アレッツォ!ルネッサンス文化の中心地

イタリア中世の自治都市・アレッツォ!ルネッサンス文化の中心地

更新日:2016/01/20 16:14

Hiroko Ojiのプロフィール写真 Hiroko Oji ヨーロッパ一人旅愛好家
伊・トスカーナ州の東部にある産業と行政の中心地・アレッツォの町は、エトルリア時代に起源を発し、中世の自治都市として繁栄、さらにはルネッサンス文化の中心地として知られています。多くの文化人を輩出しており、詩人のペトラルカや万能の芸術家ヴァザーリ、文化人のアレティーノなどが挙げられます。また「サラセン人の馬上槍試合」という伝統行事、毎月第一日曜日のアンティーク市など催し物でも人気がある町です。

「ヴァザーリの広場」ことグランデ広場は緩やかな傾斜の広々空間

「ヴァザーリの広場」ことグランデ広場は緩やかな傾斜の広々空間

写真:Hiroko Oji

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伊・トスカーナ州の東部アレッツォは、鉄道駅前にはバスターミナルがあって公共交通機関で訪れやすい、城壁に囲まれた古都で、自治都市時代に築いた地位をもとに建てられた優れた建築物が、今なおたくさん残っています。

駅前から北東に延びる大通りを進むと、中央に像がある楕円形のモナコ広場に出、さらに緩やかな上り坂を進むと中心地のグランデ広場に辿り着きます。

グランデ広場は風情のある斜面を利用した開放感のある広場で、「ヴァザーリの広場」ともいわれるほど、「ロッジアの宮殿」をはじめとするヴァザーリの設計による建物で占められています。広場の北側の一番高い所には、回廊付きの建物が横に長く続き、その右前には教会の入り口かとも思える立派なレリーフ装飾で囲まれるファサードと鐘楼のあるフラテルニタ・ディ・ライチ館、対面には塔を持つ由緒ある建物などが建ち並び、建築物だけでも見応えたっぷりの広場です。また屋根付きの井戸があるのも情緒ある一角になっています。

多くの紋章の中で一際目立つのはメディチ家の紋章!トスカーナ大公国統治跡の建物

多くの紋章の中で一際目立つのはメディチ家の紋章!トスカーナ大公国統治跡の建物

写真:Hiroko Oji

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ルネサンス期のフィレンツェで、銀行家・政治家として力を持つようになったメディチ家は、フィレンツェの実質的な支配者として君臨し、後にトスカーナ大公国の君主となった一族です。

グランデ広場背後にあるトスカーナ大公国統治跡建物には、そのメディチ家の紋章が、たくさんの紋章の中に一際大きく目立つ存在として壁に残されています。ボッティチェリ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ヴァザーリなど、メディチ家の財力を生かして支援し、ルネッサンス文化の発展に貢献があった証となるものです。そのメディチ家を称える建造物が多数フィレンツェに残されていますが、このアレッツォにもしっかり残っているのです。

広場に面してレストランやショップが並ぶ回廊

広場に面してレストランやショップが並ぶ回廊

写真:Hiroko Oji

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ロッジアの宮殿の1階回廊は、アーケードのようになっていて、テラス席を設けるレストランや、伝統産業のひとつである貴金属や宝石を加工し店頭に並べているショップが並んでいます。

回廊を頂点として斜面になっている広場では、毎月第一日曜日には大規模なアンティーク市が立ち、9月にはサラセン人を模した人形を相手に戦う「馬上槍試合」という行事、クリスマス時期にはクリスマスムード満点のマーケットが繰り広げられます。この回廊のテラス席を陣取って、ゆっくり催し物を鑑賞するのも素敵な一コマになることでしょう。

町一番の美しさ!ピエーヴェ・ディ・サンタ・マリア教会のファサード

町一番の美しさ!ピエーヴェ・ディ・サンタ・マリア教会のファサード

写真:Hiroko Oji

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モナコ広場からグランデ広場へ上り坂を上って行く途中にあるのは、アレッツォで最も美しいと言われるピエーヴェ・ディ・サンタ・マリア教会。立派なファサードの教会です。

12世紀半ばに建築が始まり、ピサロマネスク様式の好例の一つです。入り口を囲むアーチやその上にのる3層のアーケードはピサ・ルッカ様式と言われる装飾で、上に行くほど小さくなるアーケードの柱の列は美しいばかり。中央扉の周囲を囲むレリーフも見事なもので、半円筒形のヴォルトにある「各月の象徴」と言われる彫像も目を引きます。2連の窓を配置した14世紀後半の鐘楼は重厚感があるもの。半円形の後陣部にも美しい柱が2層に並び、外観だけでも見応えがあります。

内部は3廊式になる質素なものですが、主祭壇には荘厳な多翼祭壇画「聖母子と聖人たち」が置かれていて、そこだけがスポットライトを浴びたように明るく輝いています。左の「秘蹟の礼拝堂」にあるテラコッタの彩色された聖母像や、大理石造りの椅子に腰掛けた聖母子像も見逃せません。

ひっそりと残るローマ時代の円形劇場跡と考古学博物館

ひっそりと残るローマ時代の円形劇場跡と考古学博物館

写真:Hiroko Oji

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中心地から南へ下って行った町外れにあるのは、ローマ時代の円形劇場跡。帝政時代という1世紀末から2世紀初頭のものです。こちらは、敷地の外側から眺めるだけの廃墟のような石造りの土台が残るのみで、中央は緑が一面に覆う広場になっています。

円形劇場に面して、かつての修道院を利用した考古学博物館が建っており、1階にはエトルリアとローマの墓の遺跡から出土した品々が展示されています。その上の階には同時代の日用品や貨幣をはじめ、先史時代やギリシアのものも並べられています。

まだまだ見所満載のアレッツォ

アカデミー賞受賞映画、ロベルト・ベニーニの「ライフ・イズ・ビューティフル (La vita e’ bella)」の舞台にもなったことで有名なアレッツォには、まだまだたくさんの見所があります。

旧市街のほぼ中心にあるゴシック様式の簡素なファサードの教会で、後陣を囲むように描かれた「聖十字架の伝説」というフレスコ画が素晴らしいサン・フランチェスコ教会。ゴシック様式の大きな聖堂で、美しいステンドグラスや法王グレゴリウス10世の墓、「マグダラのマリア」というフレスコ画、「大司教グイド・タルラーティの墓」などが見逃せないドゥオーモ。典型的なトスカーナ地方の邸宅であり博物館・資料館となっているヴァザーリの家。城壁沿いにある眺めの良い広大な丘の上公園・・・など、見所満載!時間をたっぷりとって、町歩きを楽しみたいアレッツォの町です。

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/12/20 訪問

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