斜塔で有名な「奇跡の広場」ピサのピアッツァ・ドゥオーモ!イタリアで最も美しい広場

斜塔で有名な「奇跡の広場」ピサのピアッツァ・ドゥオーモ!イタリアで最も美しい広場

更新日:2018/07/27 11:21

Hiroko Ojiのプロフィール写真 Hiroko Oji ヨーロッパ一人旅愛好家
かつてヴェネツィア、ジェノヴァ、アマルフィと並ぶ海洋王国として地中海に大きな影響力を及ぼしていたイタリアのピサ。ここで、ピサ様式と言われる繊細で優美なロマネスク建築の一つの様式が12世紀に誕生し、トスカーナ地方に広まりました。

奇跡の広場とも呼ばれるドゥオーモ広場には、世界的に有名なシンボル的存在の斜塔をはじめ、壮麗で最大の聖堂ドゥオーモ、美しい八角形の洗礼堂、納骨堂など豪華な顔ぶれが並びます。

緑に映える美しい宗教的建築物が集合する広場

緑に映える美しい宗教的建築物が集合する広場

写真:Hiroko Oji

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緑の絨毯を敷き詰めたような開放的な空間の周りに、白い大理石で造られた美しいばかりの建築物が点在するさまは、「奇跡」と言われるにふさわしい広場!それがイタリア・ピサ(Pisa)の「ドゥオーモ広場」です。

緑の絨毯を取り囲むのは、八角形の洗礼堂、ピサロマネスク様式のドゥオーモ、長方形の大きな建物カンポサント(納骨堂)、そして、倒れそうに傾いている塔などの宗教的建築物。それぞれ一つだけでも見ごたえのある外観に内部の装飾なのに、これだけ揃うと豪華すぎ!様々な角度からこれらの建築群をまとめてみる贅沢な時間をたっぷり堪能してください。芝生の上でのんびり寝っ転がるのもよし、倒れてくる斜塔を支える「お決まりのポーズ」をとって写真に納まるのもよし、急ぎ早に見て周るのには勿体ない広場です。

ピサのシンボル・斜塔へは、厳しいボディチェックを通過

ピサのシンボル・斜塔へは、厳しいボディチェックを通過

写真:Hiroko Oji

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素晴らしい広場の光景を楽しんだら、斜塔の裏にあるチケット売り場へ行きましょう。

広場では、パリでのテロ事件以来、主要な鉄道駅と同じようにチェック体制が強化されています。銃を携えた部隊による警戒態勢がとられ、建物の入り口で厳重なチェックが行われています。斜塔に上るには、リュックやショルダーバッグなど、どんな小さなものでもロッカーに預けなければならず、手に持てるのはカメラ程度となっていますので、チケットを購入したら、隣にあるロッカー室に入ってくださいね。斜塔入り口前では、緊張感のある顔をした係員の念入りなボディチェックをうけますが、すぐに笑顔になって「行ってらっしゃい!」と通してくれます。

斜塔はその傾斜ゆえに世界的に有名になったもので、1173年に建築が開始され、第3層まで出来上がった1185年には、すでに傾き始めており、一旦工事は中止されたとのこと。1275年に工事は再開されたものの傾きがさらに大きくなったため、緩和策がとられました。その結果、しばらく、傾きは止まったのですが、その後の発掘作業や地盤強化の作業によってさらに傾き、倒壊の危機に直面。その後、長期にわたって倒壊対策工事が行われ、中断していた塔内見学は2001年より再開されるに至りました。現在は入場者数を制限しながらも、最上階の鐘があるテラスまで上れるようになっています。

斜塔から見下ろす奇跡の広場

斜塔から見下ろす奇跡の広場

写真:Hiroko Oji

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斜塔に上る前にまずはその外観をタップリ楽しみましょう。塔自体斜めに傾いているのですが、飾りアーチの美しいアーケードになった一番下の層にある入り口自体も斜めになっています。その上に6層の綺麗に並んだ小アーケードが重なる円筒形の鐘楼は、均整の取れた美しい姿!見上げるだけでも満足できる素晴らしいものです。

内部の螺旋階段も白い大理石でできています。長年数知れない人々が上り下りしてきた結果なのでしょう、どの段も真ん中よりちょっと外側が凹んできています。途中に数か所ある窓からは外の眺めがちらちら。6層分の階段を上ってテラスに出ると、素晴らしい風景が広がります。しかし、さらに上って最上部に出ましょう。

最上部はひとまわり小さな筒形の層で、6つのアーチのうち5か所にそれぞれ大きな鐘が、小さなアーチには小ぶりの鐘が吊るされています。アーチ自体、白と黒の大理石が縞模様に積み重ねられ、レリーフが彫り込まれた見事なものですが、ここからの眺めがとても素晴らしい!すぐ隣に見えるのは十字を模った3廊式の大聖堂、その向こうに洗礼堂、右には納骨堂がまとめて見下ろせ、遠くはトスカーナの平原までも見渡せる眺めに、しばし酔いしれてしまいます。

壮麗で最大の聖堂・ピサロマネスク様式のドゥオーモ

壮麗で最大の聖堂・ピサロマネスク様式のドゥオーモ

写真:Hiroko Oji

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ピサロマネスク様式の壮麗なドゥオーモは、11世紀の中ごろから建設が始まり、「古代の壮麗なバジリカの再現」を目指したものの、人口の増加に伴い拡張する必要が生じ、12世紀には改修工事に切り替えられ、最大の聖堂と言われるまでになりました。

見惚れるばかりのファサードは、最下層にブラインドアーケードが並び3つの扉がバランス良く配置されています。その上に4層の小ぶりのアーケードが重なり、それぞれにはレースのような繊細で美しい彫刻装飾が施されています。ファサードだけでなく、側面や翼廊、後陣も下層を飾っているのはブラインドアーケードで、後陣部分は2段の半円を描く柱廊が乗っているのも美しい姿です。また、中央のクーポラや聖ラニエーリの扉にある「キリストの生涯」というブロンズ装飾も素晴らしく、見落とせません。

外観ばかりでなく、内部の壁面をぐるりと取り囲むマトロネオという壁面上部に張り出した席や、3廊式の翼廊からもその壮大さが伝わってきます。14世紀初期の説教壇は、イタリアン・ゴシックの最重要なものの一つとされ、新約聖書にテーマを求めた素晴らしいレリーフが施されています。

また、説教壇前にある「ガリレオのランプ」ともいわれる大聖堂のシンボルも見逃せません。このランプこそが、ガリレオが振り子の法則を発見したもの、とされているのですが、実際のところは疑わしい説でもあるようです。6体の天使像が置かれる主祭壇、ドームにあるマリアとヨハネを両脇に従えたキリストを描いたモザイク、一つひとつ手の込んだ細かい素敵な装飾が覆う天井の格間など、数え上げたらきりがないほど、見所満載の壮麗なドゥオーモです。

洗礼堂は八角形の美しい宝石箱!

洗礼堂は八角形の美しい宝石箱!

写真:Hiroko Oji

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円形の優雅なロマネスク建築で、中央の2層には細い柱が並び、繊細なレースのようなレリーフや彫像が並ぶ上品な美しさの洗礼堂。8面の屋根の部分・クーポラは素焼きの瓦で覆われていて、まるで帽子をかぶったような姿で芝生の中に建っています。

12世紀の半ばに建築が始まり、完成は14世紀後半。4つの扉の中で、ドゥオーモに面した入口は、ピサーノ派と言われる彫刻を施した円柱が縁取り、美しいレリーフで飾られています。

内部には、13世紀のダ・コーモの作品である八角形の洗礼槽が中央に置かれ、ピサーノによる説教壇、キリストの降誕などを表した5つの浮き彫り、預言者や徳を表した彫刻など、たくさんの装飾が溢れています。

いかがでしたか?

ドゥオーモ広場の観光では、斜塔と大聖堂の見学には18ユーロのチケットが発行されますが、洗礼堂やカンポサントなどの見学したいもの1〜3か所を付け加えられるチケットが用意されていますので、ご希望で選んでくださいね。リュックなどの荷物預けは、斜塔のみ必要となり、ドゥオーモや洗礼堂、カンポサントは一応チェックされますが、持ち込みは可能です。

ピサの町には、鉄道駅が2つあります。大きな中央駅の方からは、2キロメートルほどあるので、バス利用が時間短縮にもいいかもしれません。しかし、途中の通りや広場に面して建ち並ぶ美しい歴史的な建物やショップ、レストランなどを見ながら歩くのもお薦めです。

近いほうの鉄道駅はこじんまりしていますが、広場の風景が歩いて5分ほどで目に入る距離。門をくぐると思わず立ち止まって魅入るばかりの眺めです。どちらからアクセスするかはお好みに応じて!となりますが、行き帰りを違うルートにするとどちらも楽しめるコースになります。

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/12/15−2015/12/18 訪問

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