緊張のJSA!板門店ツアーに参加。韓国と北朝鮮のボーダー北緯38度線に行ってきた!

緊張のJSA!板門店ツアーに参加。韓国と北朝鮮のボーダー北緯38度線に行ってきた!

更新日:2016/01/21 14:33

吉田 彩緒莉のプロフィール写真 吉田 彩緒莉 タイホテル専門家、海外旅行ライター、海外旅行媒体ディレクター
日本にとって近くて遠い謎の国、北朝鮮。中国経由のツアーはありますが、費用や行程を考えると行きづらい。そんな中、韓国から唯一、行ける北朝鮮との国境が「板門店」。映画「JSA」で知られる軍事境界線です。そしてここを訪れると、グルメやコスメショッピングだけではわからない、韓国のもう一面が見えてきます。韓国と北朝鮮は戦争の「休戦状態」であるという事。そんなことを深く考えさせられる旅に出かけましょう。

個人で行ける最も北よりのスポット「臨津閣」で「望拝壇」のメッセージに心打たれる

個人で行ける最も北よりのスポット「臨津閣」で「望拝壇」のメッセージに心打たれる

写真:吉田 彩緒莉

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「板門店」には個人で入る事ができません。入るには「国連軍のゲスト」という肩書が必要だからです。そのため、出発前にあらかじめインターネットで「板門店ツアー」を予約する必要があります。午前出発のツアーである事と、北朝鮮の都合で、ツアーができなくなる場合もあり、前日にツアー会社から確約の電話があるので、韓国初日にはツアーは入れられません。
まず旅行会社の窓口で出発時間30分前までに受付を済ませます。ほとんどの場合、有名ホテルに入っている場合が多いのでわかりやすいですよ!
バスに乗車してツアースタート。日本語の上手なガイドさんからこの旅の諸注意を受けつつ、北へ北へと進みます。
途中、窓から北朝鮮が見える場所もあり国境が近いことをひしひしと感じてきますが、ガイドさんはガイドになるまで向こうに見える土地が北朝鮮だと知らなかったのだそうです。そんなエピソードもとても面白い。
韓国料理のビュッフェランチ後、すぐに向かうのが「臨津閣」。ここは車を持っている人は個人でも行ける場所ですが、この場所より北には個人で行くことはできません。
まずは「望拝壇」。ここには、北朝鮮に家族を残したまま韓国に住んでいる人たちの切々なるメッセージが書かれています。
「いつか会える日を願っています」「兄さん、姉さん!元気ですか?会いたいです」
書かれた言葉がわからなくても、北と南に引き裂かれた家族の気持ちが伝わってきて、決して笑顔でいられない場所です。

「自由の橋」の向こうにある、なかなか行けない国、北朝鮮

「自由の橋」の向こうにある、なかなか行けない国、北朝鮮

写真:吉田 彩緒莉

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ここからは「自由の橋」と、韓国側を守る兵士の監視小屋を見ることができます。ソウルから臨津閣の最寄駅である「臨津江駅」までは誰でも自由に来ることができますが、線路はあれど、ここから先に行くことはできません。この橋は1953年、朝鮮戦争の休戦協定が結ばれた後、13000人もの捕虜が北朝鮮から韓国に帰還した橋。その時に彼らが「自由万歳」と叫び、この名がついたそうです。どんな苦労をして、どんな思いをしてこの橋を渡ったのか、とても感慨深いとともに、鉄道はイムジン川を超えて続いているのに、行けない場所があることに悲しさを感じます。

到着までに襲う数々の緊張!JSAのプレッシャーは凄かった

臨津閣からバスに乗ると、いきなり韓国兵がバスに乗り込み、荷物のチェック、服装のチェックをはじめます。更にここからは一切飲食は禁止、もちろん水もです。更に、メモを取ってもだめだそうで、北朝鮮側にスパイがいると勘違いされないようにとのことでした。JSAに入ったら、2列を絶対に崩さない事、指をさしてはいけない事などなど細かい指示を受け、「列を崩したフランス人観光客が普通に撃たれました」とのだめ押しの一撃。今まで賑やかだったバスの中が水を打ったように静まり返ったのは言うまでもありません。
不気味なほど静かな非武装地帯を抜け、JSA付近に近づくと今度は国連兵がバスに乗り込み、貴重品以外をバスに置いて国連のバスに移るよう指示します。なんだか捕虜になった気分になりますね。
JSAに到着すると、カメラと財布のみを持っていくよう促され、国連バッチを渡され2列に並ばされます。ガイドさんはもう優しくありません。厳しいです。
最後のダメ押しとして「何の事故があっても受け入れます。ここで死んでも文句は言いません」という書類にサインをさせられ、ああ、治外法権に来た、という錯覚も感じます。唯一の救いは「日本人の方はみんな列を守ってくれるので、亡くなった方はいないんですよ」のガイドさんの一言。
既にここまででプレッシャーで汗だくでしたが、これを見たら、ああ、来てよかったの一言。ここがJSA!板門店です!

到着までに襲う数々の緊張!JSAのプレッシャーは凄かった

写真:吉田 彩緒莉

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会談場の兵士もピリピリ!国境超えて北朝鮮入り

どんな状況でも指をさすな(ピストルと間違われる)、手を振るな(サインに勘違いされる)、など思わず「めちゃくちゃ言ってる」と感じることも、ここでは守らなければなりません。命に関わります。でも、北朝鮮側の建物から、なかなか見る事ができない北朝鮮兵が出てくると「わあ!北朝鮮兵だ!」と、思わずみな絶叫。指をさしたい場合は顎をしゃくるので、興奮しながら顎をしゃくるという、すごく変な世界が広がります。
その後は無表情な国連兵に付き添われながら、2列を崩すなとたまに注意されながら、JSAで唯一国境を越えられる会談場へ。ここは、南北の国境線上にあるので、韓国領でも半分は北朝鮮領。この韓国兵の後ろのドアを開けたら、北朝鮮側の建物に出てしまいますが、ふざけて開けようと考えられる雰囲気ではありません。ピリピリです。
でも、韓国兵の周りで写真を撮ることはOK!サングラスの向こうで表情はわかりませんが、拒絶はせずパチパチ写真を撮られるまま撮られています。板門店のこの場所に立っている兵士は、韓国の中でもエリート中のエリートだそうです。

会談場の兵士もピリピリ!国境超えて北朝鮮入り

写真:吉田 彩緒莉

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終わって脱力、JSA(板門店)ツアー。でも一度は行くべき場所

終わって脱力、JSA(板門店)ツアー。でも一度は行くべき場所

写真:吉田 彩緒莉

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その後も北朝鮮の領土を眺めることができますが、山には木がなく、禿山のような状態。これは北朝鮮の貧しい人たちが燃料が買えず、山の木を伐採して使っているからだそうです。色々考えさせられながら、見学を終え、JSAを後にしました。
国連のバスを降りつつ、国連兵にバッチを返すと、今まで無表情で恐かった国連兵がにこっと笑って「サンキュー!」。本当はやさしいイケメンの国連兵でした。つまり、このツアーがそれくらい危険であるという事、北朝鮮と向き合う際には兵士は全力で挑んでいるという事なのです。
時にはガイドさんが板門店の韓国軍兵の訓練を見せてくれることがあります。その時も観光客が見学していると、はにかみながらこちらを向いたりする初々しい兵隊さんたちの姿を見ることができますよ。
あまりの緊張に、二度目はあるかな?と思いますが、韓国を知る上で必ず一度は訪れるべき場所です。
買い物やグルメが韓国だけではありません。まだ戦争中の国が、日本の近くにあることを身をもって知ることも、また旅です。

JSA(板門店)ツアーで注意すべきこと

最後に、JSA(板門店)ツアーに参加するには、たくさんの注意事項があるのでまとめておきます。
1.沢山あるJSA(板門店)ツアー。必ず事前にネットで予約しておくこと。
2.JSA(板門店)での対談や北朝鮮の都合、韓国との関係性で、ツアーが急に中止になる事があります。当日NGなんてこともあります。参加前日にツアー会社から「明日大丈夫ですよ!」という電話がホテルに入るので、メッセージはこまめにチェックすること。
3.服装の注意が非常に厳しい!
※ミニスカート、半ズボンほと露出度の多いものは不可
※デニム、ジーンズなどのアメリカ製と思われるものは不可。余談ですが皮パンをはいていた男性が、途中のチェックで皮パンはダメだと注意され、ジャージに着替えさせられていました。
※軍服を思わせる迷彩色、カーキ色の服は不可
4.10歳未満の子供は参加不可
5.国籍によっては入れない場合があります。現在のところ日本国籍はOK。ただし韓国籍のひとは観光できません。他にも規制があります。
6.このツアーは必ずパスポート持参のこと
7.飲酒・アルコール持込み禁止
8.撮影禁止の場所は指示に従うこと
9.JSA(板門店)内では下記厳守です
※2列を絶対に崩さない。列から離れない
※指を差さない
※悪口を言わない(マイクで聞いているそうです)

ツアーなので、緊張感が薄れがちですが、軍事境界線に入るという事は特別な事。ルールを守って、ガイドさんや国連兵の皆さんに迷惑をかけないよう、貴重な旅を記憶に残しましょう。

この記事の関連MEMO

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/06/01 訪問

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