東日本随一を誇る弁財天!弘法大師開山!千葉県柏「東海寺」

東日本随一を誇る弁財天!弘法大師開山!千葉県柏「東海寺」

更新日:2016/02/24 11:40

井伊 たびをのプロフィール写真 井伊 たびを 社寺ナビゲーター、狛犬愛好家
「布施の弁天さま」として親しまれている千葉県・柏市の「紅龍山・東海寺」のご本尊「八臂弁財天」は、弘法大師・空海の作。その八本の腕からのびる手には、剣、弓、箭、長杵、斧、鉄輪、羂索、宝珠を携え、それぞれ八つの功徳を象徴している。

平安な幸せ、物心の豊かさ、学芸の智慧、和合の優しい思いやり、邪悪なものをこらしめる、災いを防ぎとめる、病をのぞいて心身を健やかに保つ、生活力を増し成功へ導くご利益がある。

楼門(千葉県重要文化財)

楼門(千葉県重要文化財)

写真:井伊 たびを

地図を見る

当山は、紅龍山(こうりゅうざん)布施弁天東海寺と称し、大同2年(807年)に弘法大師・空海の作とされる弁財天像をご本尊(秘仏)として開山された祈願寺である。平成18年には本堂・楼門・鐘楼が千葉県重要文化財の指定を受けている。

浅草寺弁天山(浅草寺弁天堂)、江島神社弁天堂とともに、関東三弁天のひとつに数えられ、東日本随一を誇っている。

その楼門「最勝閣」は、総欅造り桟瓦葺の二階建てで、文化7年(1810年)に建立された。階下には「四天王」、階上には「釈迦三尊」が安置されている。残念ながら、階上へは立ち入ることができないが、階下の「四天王」とは、ゆっくり対面できる。

どこか、童話の国の「竜宮城の門」を彷彿とさせる佇まいは、訪れる人々を和ませている。ふと軒下を覗けば、竜、麒麟、亀、松、鶴といった素木造りの彫刻が、はめ込まれているのに気づく。「四天王」の迫力に圧倒されて、名工の技も見落とさないようにしたいものだ。

本堂(千葉県重要文化財)

本堂(千葉県重要文化財)

写真:井伊 たびを

地図を見る

嵯峨天皇より堂塔大伽藍を寄進され、弘仁14年(823年)勅願所に指定された。本堂は数度の戦火により焼失したが、時の領主・本多豊前守ら100名足らずの大名から寄進を受け、享保2年(1717年)現本堂が建立された。本堂内陣の天井には、その時の諸大名の家紋が描かれている。

ちなみに、本堂外陣天井鏡板に描かれている「竜」は、狩野探舟の作である。唐風の向拝を持つ三方破風造り総朱塗りの大本堂。この風格ある華麗さに自然と合掌してしまう人も多かろう。

鐘楼(千葉県重要文化財)

鐘楼(千葉県重要文化財)

写真:井伊 たびを

地図を見る

この鐘楼は、棟札によると文化15年(1818年)に建立されたとある。全国的にみても珍しいとされる多宝塔式の総欅造りだ。基礎となる八角形の石積基壇の上に、十二角形に柱を建て、周囲に円形の縁を巡らせ、その中央に鐘を吊り下げている。

屋根は銅板葺きの入母屋造りで、その軒下には十二支の彫刻が配置されている。そして、その年の干支にはお飾りがつけられてある。もちろん、十二支それぞれに対応する方位に配置されている。

独創的な建造物であるこの鐘楼は、装飾として彫刻がふんだんに使われている点など、近世における神社建築のありかたを学ぶ上においても、貴重で歴史的価値がある。

ところで、この設計者は、当時としては奇抜な木製和時計や五角堂など数々の発明で知られる谷田部(現在の茨城県つくば市)の名主・飯塚伊賀七。ちなみに、この伊賀七は、当時「からくり伊賀」の異名をとっていた

人気の「ぴんぴんころり地蔵」

人気の「ぴんぴんころり地蔵」

写真:井伊 たびを

地図を見る

「ぴんぴん」とは、健康で長生きすることで、「ころり」とは、寝込まず楽に大往生することである。「ぴんぴんころり」は、おそらく万人が望むところだろう。

ところで、わが国は、長寿命国である。厚労省の発表によると、平成26年における日本の平均寿命は、男性が80.50歳、女性が86.83歳である。しかしその一方、健康寿命となると、男性で9年、女性では13年も平均寿命より短い。つまり、不健康である時期が、男女とも10年前後あるということだ。

この「ぴんぴんころり地蔵」に人気があるのも納得できるところだ。

「安産不動明王」は、安産の守り神

「安産不動明王」は、安産の守り神

写真:井伊 たびを

地図を見る

楼門から西へ5分ほど歩いたところに「安産不動明王」「弘法大師」「大日如来」「薬師如来」が、並んで祀られている。

その入り口にあるこの「安産不動明王」は、昔から安産の守り神。出産や婦人病の平癒を多くの人々から祈願されている。出産を向える女性は、不動明王より白無地の帯を受け、住所、氏名を記入して、お腹にそれを巻き安産を祈願すれば、無事に安産できるとされている。

さらに、無事出産した後のお参りでは、お受けした帯と何も書かない長めの白無地の帯を、御奉納することで安産の御礼とされる。

最後に

当山は、千葉県柏市の北部に位置し、その北には利根川の雄大な流れがあり、隣接する「あけぼの山農業公園」や、広大でのどかな田園風景に囲まれている。また、風光明媚な勝景地としても、市内きっての人気スポットでもある。

1200年の歴史と四季折々の豊かな自然が織りなす静かな時空に、弁財天様のご利益が充満している。そもそも、弁財天様は現世を生きる人間の苦を救い、幸せを与えようとされる現世利益の女神である。

受付でいただく栞は、当山が「泣いている方は笑顔になり、怒っている方は心静かになり、心傷ついた方は涙で洗い流せる場所でありたい」と、切に願うものであります。というご住職のお言葉で結ばれている。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/01/04 訪問

- PR -

条件を指定して検索

- PR -

この記事に関するお問い合わせ

- 広告 -