不動明王も!普光寺磨崖仏(大分)で出会う悠久の時の流れ

不動明王も!普光寺磨崖仏(大分)で出会う悠久の時の流れ

更新日:2016/01/14 17:22

Ise Shinkurouのプロフィール写真 Ise Shinkurou
大分県豊後大野市にある「普光寺磨崖仏」は全国でも最大級の磨崖仏。800年の風雨にさらされ、現在もなお山深い洞窟に鎮座する不動のパワーは、この地を訪れる人々の心を捉えて離しません。聳え立つ岸壁に彫られた「不動明王」に会う豊後大野へ心の旅はいかがですか?

時の流れが止まったのでしょうか?

時の流れが止まったのでしょうか?

写真:Ise Shinkurou

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磨崖仏の宝庫である大分県には全国の磨崖仏の約7割が集中していると言われています。ですが県内でもその地域により規模・質は大きく異なります。

今回ご紹介する「普光寺磨崖仏」のある豊後大野市は、9万年前の阿蘇山噴火の影響を受け出来上がった地形が特徴で、大昔の地球の鼓動を感じる事の出来る素敵な場所。

中でも「普光寺」が建つ山は、火砕流が固まった凝灰岩なので、比較的脆い岩肌を持ちます。そしてその垂直に切り立った岸壁に掘られているのが「普光寺磨崖仏」です。

この寺は、聖徳太子が師事した高僧・日羅上人が鎌倉時代に建立した七ヶ寺の一つで、多くの修験僧が修行をした事で有名な寺院です。そして同じ頃に寺院のそばの岸壁に彫られた「普光寺磨崖仏」は、朝鮮から来た仏師が数十年かけて彫り上げたと言われています。

寺の本堂横にある脇道を谷へ降りれば、対岸には自然に融合した立派な磨崖仏が!洞窟を目指してなだらかな坂道歩きながら、まるでこのエリアだけ時の流れが止まったような厳粛で雄大な景観を愉しめますよ。

優しいお顔の不動明王

優しいお顔の不動明王

写真:Ise Shinkurou

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「不動明王」と言えば左右にセイタカ童子・コンガラ童子を控えさせ、煩悩を断ち切る剣を持った憤怒の顔がよく知られていますが、「普光寺磨崖仏」は少し違うのです。

この地域の特徴である脆い凝灰岩に彫られたため、長い年月の風雨の影響で、どちらかといえば少し滑稽で優しげな丸い顔。この優しい雰囲気を持つ穏やかな不動明王が参詣者の間で人気になっています。

垂直に切り立った崖に彫られた12mの不動明王の存在感!さすがに800年の歴史を感じさせてくれます。

心を引き締めて洞窟までの小道を!

心を引き締めて洞窟までの小道を!

写真:Ise Shinkurou

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不動明王が彫られた山肌をさらに登って2箇所の洞窟へ足を運ぶことが出来ます。凝灰岩を削った階段はさすがに年月の流れを感じますね。まるで不動明王に見つめられながら修行する修験僧にでもなったような厳粛な気持ちになりますよ。

また普光寺は「あじさい寺」と呼ばれるほど紫陽花が美しく、梅雨時の雨のあとは不動明王の後背火炎が鮮やかに浮き上がり、晴れた日とはまた違った表情に。

境内から谷底へ降りる途中に展望台があり、紫陽花に囲まれた雄大な磨崖仏を一望でき、お勧めのビュースポットです。

洞窟まで登られる時、手すりはありますが、滑りやすいのでスニーカー等足元の準備をお忘れなく。

流れる空気まで違って感じる仏龕(ぶつがん)!

流れる空気まで違って感じる仏龕(ぶつがん)!

写真:Ise Shinkurou

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大きな洞窟は2箇所有り、一方には木造の「護摩堂」が、そしてもう一方の仏龕には大日如来を祀った祠と、目を見張る数の磨崖仏・石仏が!

苔むした岩肌そしてその表面に彫られた多くの磨崖仏は、このエリアの空気まで変え、時代を遡って、鎌倉の世に迷い込んだかと錯覚する程、素晴らしい景観を見せてくれます。

また岩肌に残る黒い斑点は「スコリア」と呼ばれる軽石で、この岩が火砕流であった事の重要な証拠です。9万年前の地球の息吹を感じて下さいね。

最後に

9万年前に大自然が作り出した凝灰岩の洞窟、その岩肌に修験者が彫り込んだ人工的な磨崖仏。この二者が醸し出す雄大な景観はまさに「普光寺磨崖仏」ならでは。

この磨崖仏のあるエリアは豊後大野市の中でも山深い地域なのですが、駐車場も完備されていますので、足に自信のない方にもお勧めです。

800年以上も風雨に晒され、自然の風景に溶け込みながら今もなお佇む「優しい表情の不動明王」から不動心のパワーを頂く豊後大野市への心の旅はいかがでしょうか?

この記事の関連MEMO

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/11/01 訪問

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