スペイン・バレンシアで味わえるアールヌーボー建築物5選

スペイン・バレンシアで味わえるアールヌーボー建築物5選

更新日:2018/07/27 15:12

小林 理沙のプロフィール写真 小林 理沙 日本語教師、翻訳家
スペインのバレンシアには1900年代初頭に建てられた思わず「かわいい!」と叫びたくなるような素敵な建物が現存し、今もなお使われております。このような建物はたいていモデルニスモという建築様式です。日本ではフランス語のアールヌーボーという用語で知られています。西洋建築ファンならずとも、きれいな建物を見ながらの町歩きは楽しいものです。ぜひバレンシアでケーキのように甘い建物を探して味わってください!

ウェディングケーキ級に甘いバレンシア銀行

ウェディングケーキ級に甘いバレンシア銀行

写真:小林 理沙

地図を見る

金融機関がいくつか建ち並ぶ地域にあるのが、1942年に完成したこのバレンシア銀行です。10階建ての建物は大まかに3段階の異なるデザインが見られます。最上階はピンク!

銀行の名前BANCO DE VALENCIAの文字も丸みがあるレトロなデザインです。ウエディングケーキのようにも見えるこの建物は、銀行という堅いイメージを払拭させるような魅力を放っています。

この建物が完成したのは1942年ですが、建築プロジェクトは1935年に始まったものの、スペインの内戦により計画に遅れが出ました。銀行のあるのは2つの通りの分岐点で、お店が立ち並ぶ賑やかな通りにも面しています。

まるでお菓子でできているような「コロン市場」

まるでお菓子でできているような「コロン市場」

写真:小林 理沙

地図を見る

コロン市場(Mercado Colon)は、名前は市場ですが、現在は市場としての機能は失われ、代わりに1階にはたくさんのカフェ、花屋さん、時折アクセサリーや雑貨、小物を売る屋台が出るなど賑わいを見せています。地下には評判の高いレストランが数店舗と、市場時代から続くハム屋さんや魚屋さんなどの小売店が入っています。

この建物の出入り口は写真の側は色、形ともアイシングで飾り付けられたビスケットで作られたかのようなおいしそうな外見をしています。ガウディが手がけたグエル公園を思い出させるデザインです。反対側の出入り口には、バレンシアの民族衣装を来た男女がモザイクで描かれています。

1916年に市場としてオープンしてから既に100年以上も経ち、機能は変わったと言え、今もなお地元の人達にも愛され続ける場所。地下で食事をして、1階でコーヒータイムを過ごすのがオススメです!

ロココ様式の「ドス・アグアス侯爵邸」

ロココ様式の「ドス・アグアス侯爵邸」

写真:小林 理沙

地図を見る

ドス・アグアス侯爵邸(Palacio del Marquez Dos Aguas)の外壁は、トゥリア川とフカル川というバレンシアを流れる2つの川を象徴したアトラス神の彫刻が印象的です。邸宅の名前になっているドス・アグアスは2つの水という意味で、川を示しています。

内部は国立陶器博物館になっています。門をくぐると豪奢な馬車が訪問者を出迎えます。博物館には、イベリア時代から現代までにわたる陶器のコレクションが収められています。昔の台所を再現したコーナーなども見所の1つですが、なんと言ってもロココ調の宮殿を歩くだけで優雅な気分に浸れます。

バレンシアには、繊細な磁気人形で日本でも有名なリヤドロもあり、博物館にもリヤドロの作品が展示されています。また、バレンシア空港のあるマニセスという町は、現在も陶器の町として知られていますが、このマニセス産の陶器も見ることができます。

この宮殿は高級ブティックが建ち並ぶ通りにあります。ショッピングストリートに近いので、買い物がてらに博物館を見ることもできますね。

気品溢れる「エキスポ図書館」

気品溢れる「エキスポ図書館」

写真:小林 理沙

地図を見る

思わず、何の建物だろうかと足を止めてしまう立派な建物。教会のようにも宮殿のようにも見えますが、実は現在公立図書館として利用されています。エキスポ図書館(Biblioteca municipal palau de la Exposición)もしくはエキスポ宮殿(Palacio de la Exposicion)と呼ばれている建物です。

1909年のスペイン国内での博覧会開催に合わせて、1909年に建築家フランシスコ・モラ・ベレンヘルによって建てられました。わずか70日の博覧会開催のために建てられ、レセプションやパーティーの会場として使われました。

バレンシアが海洋貿易で栄えた中世の頃の建物やゴシック、カトリック教会、軍事設備など複数の建築要素が折衷されているため、どこかで見たことがあるようで、ここにしかない美しさを持つ建築物に仕上がっています。

竜が建物を這う「竜の家」

竜が建物を這う「竜の家」

写真:小林 理沙

地図を見る

竜の家(La Casa de los Dragones)は前述のコロン市場へ続く通りにあります。 モデルニスモという建築様式が台頭していた時代の1901年に完成した建物で、バレンシア人の建築家の中でも著名なホセ・マリア・マヌエル・コルティーナ・ペレスによるものです。

4階建ての建物の一階はお店が入っており、他はアパートになっています。クリーム色の建物をドラゴンが取り巻いている様子から竜の家と呼ばれています。

空想上の動物をモチーフにしているだけでなく、その他にも自然主義を代表して花、当時の技術を代表して機関車が飾るデコラティブなモデルニスモ建築の建物です。

終わりに、

スペイン第3の都市バレンシアは、中心部が比較的小さいことから、ご紹介した5つの建物はご自分の足や公共の交通機関を使って見て回れる範囲にあります。

西洋建築やヨーロッパのデザインが気になる方には是非お勧めしたいアールヌーボー建築物が楽しめる場所を紹介させていただきました。築100年を優に超える建物もありますが、今もなお色褪せない美しさを見せてくれています。

2016年にはユネスコ世界遺産に登録された3月の「火祭り」や夏の「トマティーナ」、パエリアの発祥地としても名が知れ渡ってきているバレンシアですが、観光に行くときには建物に注目してみると、更に街歩きが楽しめることでしょう。

掲載内容は執筆時点のものです。 2017/01/03 訪問

- PR -

条件を指定して検索

- PR -

この記事に関するお問い合わせ

- 広告 -