四季折々に咲く花は必見!鎌倉「海蔵寺」庭園の魅力に迫る!

四季折々に咲く花は必見!鎌倉「海蔵寺」庭園の魅力に迫る!

更新日:2017/09/17 15:49

木村 優光のプロフィール写真 木村 優光 和風景写真家、夜景愛好家
JR横須賀線鎌倉駅から歩くこと約20分、位置的には源氏山の北側に「海蔵寺」というお寺さんがあります。マップ上で見るとそれほど大きいとは言えない境内敷地ですが、いつ訪問しても何かしらの花が見頃を迎えているため、鎌倉の中でも花の寺として数えられるほど!そして、常に綺麗に手入れされた境内が季節の花々を盛り立てているかのよう!そこで、四季を通じた「海蔵寺」庭園の魅力を、季節ごとに紹介します。

早春の時期は境内あちこちに枝垂れ梅がきれいに咲き誇る!

早春の時期は境内あちこちに枝垂れ梅がきれいに咲き誇る!

写真:木村 優光

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まずは早春の時期に、「海蔵寺」の山門をくぐり本堂を目の前にすると、左手の薬師堂側に大きな枝垂れ梅の木があります。毎年2月下旬から3月中旬までは境内のメインとして、境内庭園に花を添えるように美しく咲き乱れます。その様子は早春の華とも言えるべく、境内の荘厳なカラーリングを和やかにしてくれるかのよう!

この枝垂れ梅を見るための一番のベストアングルといえば、山門をくぐった付近がオススメ。ここから本堂と薬師堂を見ると、美味しい位置に枝垂れ梅が咲いているではありませんか!思わずカメラを取り出して、写真を撮りたくなる構図間違いなし! 写真を撮らない方でも、脳裏に焼き付けておきたいところです。

早春の時期は境内あちこちに枝垂れ梅がきれいに咲き誇る!

写真:木村 優光

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山門から境内へ少しずつ足を踏み入れて、薬師堂までたどり着いたら、今歩いてきた参道を振り返ってみましょう。山門を背景に枝垂れ梅が綺麗なアングルで収まります。好みにもよりますが、上で紹介した本堂と薬師堂背景に枝垂れ梅を撮影するか、それとも、山門背景に枝垂れ梅を撮影するか?迷った場合は両方を撮影しましょう。

なお、枝垂れ梅の背景に建つ薬師堂ですが、1777年に同じ鎌倉にある「浄智寺」から移設されたと言われています。中には鎌倉十三仏のうちの一つである、薬師如来坐像が置かれてあり、拝見するだけでも価値は十分に高いと言えるでしょう。

早春の時期は境内あちこちに枝垂れ梅がきれいに咲き誇る!

写真:木村 優光

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山門から境内へ入って右側にある鐘楼周辺も、見所多きエリア!鐘楼前には紅白の2本の梅が植えられており、鐘楼とのコラボレーションは改めて「海蔵寺」が和庭園であることを十分に認識できます。

どこを見てもきれいに手入れされている境内庭園は、鎌倉らしいというよりか京都の寺院さんの特徴によく似ており、この場所が本当に鎌倉であるのか?と疑ってしまうほどです。

初夏の境内庭園も様々な花が咲き乱れる!

初夏の境内庭園も様々な花が咲き乱れる!

写真:木村 優光

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春から夏にかけては、写真のように、本堂右側と庫裏に挟まれた石畳沿いの庭園に、紫と白の菖蒲が咲き乱れます。その後ろには背が低いマツバギクも咲き乱れます。その様子を本堂を背にして見てみると、日本の古き良き時代の庭園を思わすほど美しいため、良き時代にタイムスリップしたような錯覚に!

初夏の境内庭園も様々な花が咲き乱れる!

写真:木村 優光

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次に薬師堂の正面からその様子を眺めれば、茅葺屋根の庫裏と、その前に咲く、菖蒲をはじめとする初夏の花のコラボレーションが実現! こちらも日本の古き良き時代の庭園に来たような錯覚にとらわれます。

なお、この庫裏ですが、綺麗な2階建ての出桁造で、江戸時代の建立とも言われています。窓枠が日本家屋の美しさを物語っています。

初夏の境内庭園も様々な花が咲き乱れる!

写真:木村 優光

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鎌倉といえば紫陽花!そんな台詞を忘れていないだろうかと言わんばかりに、メイン参道には多種の紫陽花が咲き乱れます。「海蔵寺」に植えられている紫陽花は、どこでも見ることができるようなものではなく、どちらかというとあまり見かけない品種のものばかり!そのため、初夏の梅雨時に訪問したら、紫陽花も必見です!

真夏の日差しを浴びて庫裏の壁面に絡みつくノウゼンカズラ

真夏の日差しを浴びて庫裏の壁面に絡みつくノウゼンカズラ

写真:木村 優光

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晩夏から初秋には、庫裏の建物伝いにツル状のノウゼンカズラの花が咲き乱れます。その様子を見ると、残暑の終わりが刻々と近づいていることに気が付くでしょう。背景に、積乱雲と青空があれば、尚更、季節感を味わうこと間違いなし! これだけ季節感を味わうことができるお寺も大変貴重であると言えます。

ノウゼンカズラという花はツル状の特性を持った花で、あちこちと這う習性があります。そのため、建屋の塀などは格好の場所!「海蔵寺」の庫裏もノウゼンカズラにとって這いやすい壁面ですので、自由自在に這ったツルの先からはオレンジ色のかわいらし花を咲き乱せます。

本来は洋風の建屋に似合う花なのですが、「海蔵寺」の庫裏にも全く違和感なく張り付いている姿は、和洋折衷ともいえます。和の中に洋の風を吹き込む姿は本当に美しいものです。

真夏の日差しを浴びて庫裏の壁面に絡みつくノウゼンカズラ

写真:木村 優光

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春から初夏にかけて菖蒲が咲いていた場所は、晩夏から初秋になると桔梗が咲き乱れます。本数はそれほど多くはありませんが、紫色のラッパ状に咲く姿は和庭園に非常にマッチしていて、接写で撮ると良いでしょう。

真夏の日差しを浴びて庫裏の壁面に絡みつくノウゼンカズラ

写真:木村 優光

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秋は山門と鐘楼の間に存在感をアピールするかのようなシオンが咲き乱れる

秋は山門と鐘楼の間に存在感をアピールするかのようなシオンが咲き乱れる

写真:木村 優光

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秋になると、山門をくぐってすぐの鐘楼手前には、シオンが咲き乱れます。通常は山門をくぐると左手に鐘楼がよく見えるのですが、シオンはその存在感を表すかのように、鐘楼を隠してしまうほどの高さに!シオンの根元付近には、ピンク色の芙蓉の花が所狭しと咲く様子が伺えます。

シオンという花は漢字で書くと「紫苑」と書き、花の形はマーガレットに似ていて、紫色の花びらを付けます。花言葉は「君のことを忘れない」や「遠方にある人を思う」という意味になります。

初めて海蔵寺を訪問し、帰るときには海蔵寺の魅力にすっかりはまってしまって、シオンの花言葉のような想いになってしまったら、海蔵寺に一目惚れ! それだけ「海蔵寺」の魅力は一言では表されず、何回も訪問したくなる想いに強いられるでしょう。

秋は山門と鐘楼の間に存在感をアピールするかのようなシオンが咲き乱れる

写真:木村 優光

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秋は山門と鐘楼の間に存在感をアピールするかのようなシオンが咲き乱れる

写真:木村 優光

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10月もすぎると、山門周辺に植えられている紅葉が徐々に赤く染まりあがります。真っ赤ではなく、どちらかというと橙色と茶色の中間のようなカラーリングになります。こんな光景を一目見たら、紅葉の季節もそう遠くないと実感するでしょう。

鎌倉特有のやぐらを境内で見ることができる貴重な寺院

鎌倉特有のやぐらを境内で見ることができる貴重な寺院

写真:木村 優光

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鎌倉にはあちこちにやぐらというものがあり、漢字で書くと「矢倉」や「櫓」と書きます。このやぐらの本来の意味としては、一般的に堆積岩の一種である凝灰岩の山腹に、穴を掘って造られているお墓を指します。

「海蔵寺」にも本堂の脇の山腹側に複数のやぐらが存在します。「海蔵寺」で見ることができるやぐらとしては、下側が方形となった納骨部、上側が供養塔と呼ばれる塔から形成された一般的なものが3塔ほど! この他に、上記写真の雨宝殿と呼ばれるやぐらも1塔存在し、入口には朱塗の鳥居が建てられています。雨宝殿のやぐらには蛇に巻きつかれた翁像である、宇賀神像が祀られています。

「海蔵寺」では、間近でやぐら内部の様子を見ることができることから、一見の価値があります。もちろん、手を合わせてお参りしてもOK!

鎌倉特有のやぐらを境内で見ることができる貴重な寺院

写真:木村 優光

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鎌倉特有のやぐらを境内で見ることができる貴重な寺院

写真:木村 優光

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なお、やぐらがある山腹の奥側、つまり本堂の裏側には、綺麗に手入れされた非公開の山水庭園があります。水の寺とも言われる「海蔵寺」だけあって、湧水から成る池や、初夏はあやめ、晩秋は紅葉と緑色のコケとのコントラストが非常に美しいため、やぐらを見終えたら必見です。

花と水で有名な「海蔵寺」

今回紹介した花以外にも「海蔵寺」では季節ごとに萩、カイドウ、紅葉、リンドウなど、多彩な花を見ることができます。とにかく1年中休む暇なく花が咲いているお寺です。したがって、「海蔵寺」に咲く花を事前に調べておくと、訪問した時の感動がさらに大きくなることでしょう。

なお、鎌倉駅から「海蔵寺」へ向かう途中には、寿福寺や英勝寺といった寺院もあるため、「海蔵寺」に立ち寄った際にあわせて訪問するのも良いでしょう。また、「海蔵寺」の背後には、鎌倉最大の源氏山公園や銭洗弁天なども徒歩圏内のエリアに点在していますので、様々なコースの選択肢が広がります。

拝観料金:無料
(ただし離れの十六の井は100円)
拝観時間:9:30〜16:00

この記事の関連MEMO

掲載内容は執筆時点のものです。 2014/10/04−2015/10/07 訪問

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