鷹峰は、平安京の中心を羅城門(現在の東寺近く)から北に延びて大内裏の朱雀門(現在のJR二条駅近く)まで続いていた朱雀大路(現在は千本通り)を、さらにまっすぐ北に進んだ方向にあります。
琳派の祖「本阿弥光悦」が、ここ洛北の鷹峯に芸術村を開いたことでもよく知られている地域で、紅葉や新緑が見事な光悦寺、常照寺、源光庵などが徒歩圏内のすぐ近くにあります。観光シーズンには多くの観光客が押し寄せますが、その時期を外すと普段はあまり混雑しない場所。特に冬には、訪れる人も少なくなります。
源光庵は貞和2年(1346年)、臨済宗大本山大徳寺の徹翁国師の開設によるものですが、元禄7年(1694年)加賀大乗寺の卍山禅師が住持され、これより曹洞宗となりました。
雪の日には、「復古禅林」の額が掛けられている二つの丸窓が特徴の山門に積もる雪が、訪れる人を迎えてくれます。
本堂に上がると、右手にすぐ禅の境地の意味が込められている、悟りを表す「丸い窓」と、迷いを表す「四角い窓」があります。雪の日には、新緑の時、紅葉の時とは全く違った凛とした雰囲気を感じることができるはずです。
本堂は元禄7年(1694年)の創建で、伏見城の遺構と伝わる血天井(慶長5年(1600年)徳川家康の重臣・鳥居元忠らが伏見桃山城で自刃した跡)もあります。また本堂の横には書院もあり、枯山水の庭風景を見ることができます。
まず迷いの窓の前に行きましょう。「迷いの窓は角型に『人間の生涯』を象徴し、生老病死の四苦八苦を表している」といいます。本堂に座り、じっとたたずんで、四角い窓の向こうに広がる積雪風景を眺めてみてください。
そして隣の悟りの窓の前へ。「悟りの窓は丸型に「禅と円通」の心を表わし、円は大宇宙を表現する」といわれています。四角の『悟りの窓』に対して丸い『迷いの窓』です、迷いがなくなると角が取れるそう。やはり本堂に座り、じっとこの窓に向かって、丸に切り取られた積雪風景を眺めてみましょう。
四角い迷いの窓から眺める庭の景色と、この丸い悟りの窓から眺める庭の景色は、同じ庭を少し異なる角度で見るのですが、大きく違うように感じるはず。何か自分と対話している感じになるかもしれませんよ!
山門から本堂を見た雪景色です。帰りがけに振り返ると入って来た時に見た景色が、また違って見えるでしょう。雪景色にはそんな不思議さがあります。
元和元年(1615年)に徳川家康より鷹峯の地を与えられた本阿弥光悦が、草庵を建て本阿弥一族や芸術仲間、弟子、職人衆と共にこの地に移り住み、一時は55軒もの屋敷が並ぶ芸術村を作ったと言われています。今もその名残が光悦寺に残されています。また近くには、古田織部美術館、吉野太夫ゆかりの常照寺などもある歴史に包まれた地域です。
深々と雪の降る日に、源光庵の「悟りの窓・迷いの窓」の雪景色を眺めたあと、別の雰囲気に巡り合える光悦寺、常照寺なども巡って、冬の京都をしっとりと味わってみてはどうでしょう。
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