ちんちん鈴!?男女のシンボルをかたどった立石が点在する飛鳥坐神社

ちんちん鈴!?男女のシンボルをかたどった立石が点在する飛鳥坐神社

更新日:2013/07/08 15:20

乾口 達司のプロフィール写真 乾口 達司 著述業/日本近代文学会・昭和文学会・日本文学協会会員
明日香村といえば、飛鳥時代の華麗な衣装を身にまとった王侯貴族や、壮麗な仏教寺院を想像する方が多いのではないでしょうか。しかし、そんな雅なイメージをくつがえす土俗的な神社が、明日香村には存在します。飛鳥坐神社(あすかにいますじんじゃ)です。境内には男根や女陰をかたどった陰陽石が点在しており、生々しい性信仰が、いまも息づいています。今回は飛鳥坐神社を通して、明日香村のもう一つの世界をご紹介しましょう。

「飛鳥の神奈備」と称される由緒正しい古社

「飛鳥の神奈備」と称される由緒正しい古社

写真:乾口 達司

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明日香村を代表する観光スポット・飛鳥寺から、北東方向に歩いて約5分。集落の東端にこんもりとした森があります。飛鳥坐神社は、古来、「飛鳥の神奈備」と呼ばれてきたその森に鎮座しています。

祭神は事代主神・飛鳥神奈備三日女神・大物主神・高皇産霊神。『日本書紀』686年(朱鳥1)の記事に「飛鳥神社」の名が見えることから、この頃にはすでに創建されていたことがうかがえます。『日本紀略』によると、当地に遷って来たのは、829年(天長6)のことです。

鳥居の手前、右手に見える井戸は、平安時代に流行した古代歌謡・催馬楽のなかで「飛鳥井に 宿りはすべし や おけ 陰もよし 御水も冷し 御秣もよし」と詠まれた「飛鳥井」であるといわれています。

注連縄ではりめぐらされた陰陽石

注連縄ではりめぐらされた陰陽石

写真:乾口 達司

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鳥居をくぐり、石段を登ると、本殿に到着します。本殿からは、境内が奥へ、奥へと広がっています。

最初にあらわれるのが、写真の陰陽石です。ごらんのとおり、右は男性、左は女性のシンボルをかたどっています。三方が注連縄ではりめぐらされており、飛鳥坐神社に鎮座する数々の陰陽石のなかでも、ひときわ大切に信仰されていることがうかがえます。

飛鳥坐神社には男性のシンボルをかたどった陽石が多いのに対して、陰石の方は少ないことからも、貴重なペアであるといえるでしょう。

祠にまつられた陰陽石群

祠にまつられた陰陽石群

写真:乾口 達司

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境内には、祠がずらりと並んだ区画があります。よく見ると、それぞれの祠の下や背後には、大小さまざまな陰陽石が置かれています。写真はペアの陰陽石で、こちらは祠もなく、そのままの姿で鎮座しています。

境内のもっとも奥に鎮座する「奥の大石」

境内のもっとも奥に鎮座する「奥の大石」

写真:乾口 達司

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写真の陽石は「奥の大石」と呼ばれています。その名のとおり、境内のもっとも奥に鎮座しており、周囲は瑞垣によってかこまれています。高さは約1メートル。境内に点在する陰陽石のなかで、もっとも大きなものです。陰陽石マニア、必見の逸品です。

社務所で販売されている授与品「ちんちん鈴」

社務所で販売されている授与品「ちんちん鈴」

写真:乾口 達司

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鳥居の脇にある社務所では、授与品の販売もおこなわれています。授与品の種類はさまざまで、一般的な御守のほか、境内の陰陽石にちなんだ珍しい授与品も、販売されています。その代表が、写真の「ちんちん鈴」です。陰陽石にちなんだ珍しい授与品としては、ほかに男女のシンボルをかたどった特製魔除けや女性のシンボルをかたどった杯などが、販売されています。

飛鳥坐神社では、毎年2月の第一日曜日、天下の奇祭と名高い「おんだ祭り」がとりおこなわれます。祭では、天狗が男根をかたどった筒を股間にあて、観客に向かってこれ見よがしに見せびらかしたり、翁が介添えをするなか、おかめと夫婦和合の所作を演じたりします。そういった所作からも、飛鳥坐神社が性信仰の聖地であることがうかがえます。この日に合わせて参拝するのもよいでしょう。

もちろん、性信仰の聖地であるということは、飛鳥坐神社が、男女の出会いを演出してくれる縁結びの神さまでもあるということを意味します。陰陽石や「おんだ祭り」というと、とかくB級スポット風の珍妙さばかりが印象付けられますが、その意味で、純粋に縁結びを求める男女にも、ぜひ訪れていただきたい神社です。

メモ
拝観料 : なし

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掲載内容は執筆時点のものです。 2013/04/21 訪問

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