ポルトガル・世界遺産の街「シントラ」アラブの面影が色濃く残るエキゾチックな場所

ポルトガル・世界遺産の街「シントラ」アラブの面影が色濃く残るエキゾチックな場所

更新日:2016/01/29 16:41

Lady Masalaのプロフィール写真 Lady Masala 知られざる名所案内人、蚤の市マニア
イギリスの詩人バイロンが「エデンの園」と称賛したシントラ。ポルトガルの首都リスボンに隣接するその風光明媚な街並みは、「シントラの文化的景観」としてユネスコの世界遺産に登録されています。心洗われるような美しい景観を眺めながら、シントラの街をゆっくりと歩いてみてはいかがでしょうか。

王侯貴族の別荘地として栄えた「シントラ」

王侯貴族の別荘地として栄えた「シントラ」

写真:Lady Masala

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シントラは、ポルトガルの首都リスボンから電車でわずか40分ほど場所にある世界遺産の街です。鬱蒼と生い茂る山々に囲まれていながらも、首都に程近いというその立地条件から、王族や貴族の別荘地として栄えました。
リスボンからのアクセスもよく日帰りもできるシントラは、日本人にはあまり知られていませんが、ヨーロピアンに人気のリゾート地です。

列車がシントラ駅に到着したら、まずは壁一面を彩るポルトガル式彩色タイル「アズレージョ」に注目しましょう。こぢんまりとした駅は、まるで美術館のよう。このアズレージョを見るだけでも、シントラに来る価値がありそうです。

駅の前からは市街地行きの路線観光バスも出ていますが、徒歩でも10分ほどです。お天気がよければ、景色を眺めながらのんびりと歩いてみるのもよいでしょう。アラブ風の噴水に到着したら、足を止めて見学してみてください。

アラブとヨーロッパが混在する空間「シントラ宮殿」

アラブとヨーロッパが混在する空間「シントラ宮殿」

写真:Lady Masala

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シントラの中心部レプブリカ広場にあるのは、シントラ宮殿。厨房から突き出す二本の大きな煙突がシンボルです。宮殿というには、いささかシンプルな外観ですが、もともとはイスラム教徒が建てたもの。そのため内部には、エキゾチックなアラブ風の建築とヨーロッパ式のゴシック様式とが混在しています。

ポルトガルがシントラを奪回したレコンキスタの後も、イスラム文化が色濃く反映された宮殿が破壊されることはありませんでした。それに加えて、16世紀にはアズレージョが流行したため、再びアラブ風の装飾がよみがえりました。
エントランスを経て最初に通されるのは「白鳥の間」。イスラム風のアズレージョ、東洋風の陶磁器、重厚な木目の家具が上品に配置されています。その名前の由来ともなっている天井画にも注目してみてください。

ぶどう柄のアズレージョがエキゾチックな「バスティアン王の寝室」など、多くの居室を見学することができますが、最も美しいといわれているのは「紋章の間」。天井一面を覆う主要なポルトガル貴族の紋章と、郊外での狩りの様子が描かれているという壁一面を覆うアズレージョは必見です。

万里の長城を彷彿とさせる「ムーア人の城跡」

万里の長城を彷彿とさせる「ムーア人の城跡」

写真:Lady Masala

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シントラ宮殿の見学を終えたら、ムーア人の城壁へと向かいましょう。歩いて移動するには距離があるので、シントラ駅発着で、シントラ宮殿、ムーア人の城跡、ペーナ宮殿の順にめぐる434番のバスを利用するとよいでしょう。曲がりくねった峠の道を猛スピードで飛ばすバス。その道中もまたスリル満点です。

ここでは、現在は廃墟となっている、ムーア人が築いたという城壁と、遺跡のいくつかを見学することができます。ムーア人とは、北西アフリカのイスラム教徒のこと。レコンキスタ以前は、彼らがイベリア半島を統治していました。

どこまでも続く城壁をひたすらに歩きながら眺めるのは、眼下に広がる壮大なパノラマ。その光景に圧倒されながら、なおも歩き続けると、ムーア人たちが額に汗して積み上げた石の重みと、大事を成し遂げようとする意思の強さが伝わってくるようです。ようやくたどり着いた頂上から見下ろす美しいシントラの街並みは、まさに絶景です。

美か醜か 建築界のモダンアート「ペーナ宮殿」

美か醜か 建築界のモダンアート「ペーナ宮殿」

写真:Lady Masala

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ムーア人の城跡よりもさらに高台にあるのは、ペーナ宮殿。さまざまな建築様式を寄せ集めて造られたというこの宮殿は、美しいというよりも、ちぐはぐな印象を見る者に与えます。
この城を造らせたフェルナンド2世は、シンデレラ城のモデルともなった、ドイツにある「ノイシュヴァンシュタイン城」を建てた、バイエルン王ルートヴィヒ2世の従弟にあたるのだとか。

よく比較されるというという二つの宮殿ですが、ペーナ宮殿のほうが30年ほど先に完成しているので、ルートヴィヒが、この宮殿から何かしらの影響を受けたのかもしれません。異国情緒あふれる外国風の建築が流行したという19世紀。その時代には、このようなキッチュともいえる建築様式が好まれたのでしょうか。

景観を何よりも大切にするヨーロピアンの感性からはかけ離れているようにも思える、赤や黄色、そして、グレーの外壁。当時の人々には、モダンに映ったのかもしれません。
外見の派手さとは裏腹に、きらびやかすぎず、抑えられた色づかいの室内には、落ち着いた美しさがあります。壁一面のアズレージョと、テーブルコーディネートが美しい「晩餐の間」は必見です。

「シントラ」旅のインフォメーション

「シントラ」旅のインフォメーション

写真:Lady Masala

リスボンへ日帰りする場合は、リスボンのロシオ駅で1日乗車券を手に入れましょう。シントラまでの往復運賃と、市内観光路線バスの料金が含まれています。シントラからロカ岬やカスカイスへ行く長距離バスにも乗車できます。

シントラに宿泊する場合には、市内観光路線バスの1日乗車券を購入しましょう。車内で販売されており、同じ番号のバスであれば乗り降り自由です。今回ご紹介した「シントラ宮殿」、「ムーア人の城跡」、「ペーナ宮殿」に行くためには、434番のバスに乗ります。

また、前述した3つの観光施設で使用できる共通チケットがあります。全てを見学する予定なら、別々に購入するよりもお得です。並ぶ手間も省けるので、最初に訪れる施設の窓口で入手されることをお勧めいたします。

おわりに

シントラ山系の深い山々に抱かれた小ぢんまりとした美しい街。そこにはゆったりとした時間が流れ、人々も素朴で大らかです。リスボンに旅行をする機会がありましたら、少し足を延ばしてシントラで素敵な時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

掲載内容は執筆時点のものです。 2014/03/24−2014/03/26 訪問

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