旨い酒は水にあり!京都伏見で名水と銘酒と酒グルメに舌鼓

旨い酒は水にあり!京都伏見で名水と銘酒と酒グルメに舌鼓

更新日:2015/11/18 09:45

和山 光一のプロフィール写真 和山 光一 ブロガー
京都伏見は、かつて「伏水」とも書かれたほど、良質の地下水に恵まれていて、街のあちこちに豊富な湧水が湧出しています。伏見の酒造りを支えているのは、この地に湧く名水で、酒造りに適したカリウム、カルシウムなどをバランス良く含むミネラルを豊富に含んだ中硬水です。この水で造ったお酒は、「女酒」とも言われ、やわらかくまろやかで、口当たりの良い味なのです。そんな名水を辿りながらお酒と料理を楽しんでみませんか。

蔵元がこだわる手作りの純米酒「蒼空」を味わう

蔵元がこだわる手作りの純米酒「蒼空」を味わう

写真:和山 光一

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京阪伏見桃山駅近くに、京阪神のバーや居酒屋で好評の純米酒「蒼空」を生み出す藤岡酒造があります。もともと明治35年10月、初代藤岡栄太郎が、京都市東山区において万長(万寿長命から命名)のブランドで創業。明治43年に伏見に製造場を移しました。平成7年の酒造りを最後に酒造りを休止するも平成14年五代目藤岡正章氏により酒造りを再開した小さな小さな酒蔵です。

直営の「酒蔵Barえん」では、酒づくりをしている蔵の様子と搾りたてのお酒が楽しめ、酒に合う燻製や酒粕アイスなどフードも充実しています。靴を脱いで上がる店内は、囲炉裏のある開放的な空間、そして店内を流れるやさしい音楽。カウンター席の向こうは、ガラス越しに仕込み蔵が眺められます。写真はメニューの中から選んだ「蒼空」純米酒 /美山錦と山ウニ豆腐です。蔵元がたった一人、すべて手作りで造る純米酒「蒼空」は、酒本来の味を大切にしたすっきりスリムボディで透明感のある柔らかな酒質。旨みを感じさせつつもたつかないバランスが絶妙です。青空を見上げるとホッとできるように、飲んだ人が優しい気持ちになれるようにと付けた名前である「蒼空」の味わいを是非蔵元で楽しんで下さい。

伏見の酒の原点、日本名水百選「石井の御香水」がある御香宮神社

伏見の酒の原点、日本名水百選「石井の御香水」がある御香宮神社

写真:和山 光一

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京阪伏見桃山駅の西側にあるのが「御香宮神社」です。初めは「御諸神社」と称していましたが、平安時代の貞観4年(862)、この境内から「香」の良い水が湧き出し、病人が飲んだところたちどころに快復したことから、清和天皇より「御香宮」の名を賜りました。

豊臣秀吉が伏見城の鬼門除けの守り神とした神社で、文禄3年(1594)秀吉が築城した伏見城の大手門を移した桃山期の特色を残す表門や徳川家康によって建てられた極彩色彫刻の本殿は重文です。

本殿の脇に、宮の名の由来となった伏見七ツ井のひとつ「石井の御香水」があります。その水のすばらしい香りが遠くまでとどいたことかこの名が付いたそうで、また、この水を飲むと病が治ると言い伝えられており、今も変わりなく名水が涌き出ています。環境省選定の「日本名水百選」に選ばれていて、伏見の酒造りに使われる水と同じ水脈であることから酒造りの生命の水とされています。

「白菊水」の湧く、酒蔵を改装したお店で銘酒神聖と鶏料理に舌鼓

「白菊水」の湧く、酒蔵を改装したお店で銘酒神聖と鶏料理に舌鼓

写真:和山 光一

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京阪伏見桃山駅から南、かおり風景100選の情緒ある酒蔵通りを歩きます。白楽天の詩より命名した「神聖」の山本本家は、延宝5年(1677)に当時の伏見の中心地・油掛で伏見七ツ井のひとつ、「白菊井」の湧く現在地にて創業しました。お店の横にこじんまりとある「白菊水」は、当地・久米の里の仙人・天太玉命が、白菊を打ち振ってみるとそこから清水がこんこんと沸き出してきたと伝えられる御香水と同水脈の井です。その翁が姿を変えたといわれる「白菊石」は御香宮境内に安置されています。

高い天井と太い梁が印象的な大正時代初期の酒蔵を改造して開店した「鳥せい本店」は、蔵元直送の約20種の酒と、それにあう鳥料理が味わえるお店です。店内には、テーブル席やカウンターのほか2Fには座敷席や個室もあり、1Fのど真ん中には自社銘柄「神聖」の生原酒の入ったタンクが鎮座しています。鶏串盛合わせは、つくね・ねぎ間・はつ・ささみのタレ4本と皮と砂ずりの塩2本がセットになっていて、銘酒「神聖」を使ったタレが絶妙です。隠れた人気メニューとしてお昼のランチメニュー親子丼がありますが、絶品ですので是非食べてみてください。

名水さかみづの湧く「月桂冠大倉記念館」で伏見の歴史と日本酒の魅力に浸る

名水さかみづの湧く「月桂冠大倉記念館」で伏見の歴史と日本酒の魅力に浸る

写真:和山 光一

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月桂冠は寛永14年(1637)、初代大倉治右衛門が、京都府の最南部・笠置の里を出て、港町・宿場町としてにぎわう伏見の馬借前(現・本材木町)で創業し、屋号を「笠置屋」、酒銘を「玉の泉」として、清酒の醸造と販売を始めました。そして明治38年(1905)、11代目の大倉恒吉は勝利と栄光のシンボル「月桂冠」を酒銘に採用したのです。

「月桂冠大蔵記念館」は、月桂冠発祥の地の一角に建つ、明治期の酒蔵を利用して開いた資料館で、虫籠窓や犬矢来など、京都らしさを感じさせてくれる風情たっぷりの外観が目をなごませてくれます。入場料300円払うと記念の純米酒180mlのお土産が貰え、中に入ると、「酒造り唄」が流れていて、酒蔵の雰囲気が再現されています。

中庭には酒造りの命ともいえる名水「さかみづ」がこの地にこんこんと湧き出、今も隣接する酒蔵で使用されていて、端麗な口当たりのお酒が造られています。「さかみづ」の名は、「栄え水」とともに古くは酒みずの異名でもあったといいます。

館内の見学が終わったら、ロビーにあるきき酒処に。オールドタイプの「レトロボトル吟醸酒」と「玉の泉大吟醸酒」そして「プラムワイン」の3アイテムを試すことができます。

まろやかな甘さの月桂冠の酒粕入りラーメン「元屋」

まろやかな甘さの月桂冠の酒粕入りラーメン「元屋」

写真:和山 光一

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伏見区総合庁舎から大手筋商店街に向かうところに、ラーメン通な人にも人気がある酒粕ラーメンで有名な「玄屋」があります。お店はマンションの1階にあり、入口には酒粕らーめんと書かれた酒樽がどんと置かれています。

黒を基調とした落ち着いた雰囲気の店内ですが、客席数は少ないです。創業時、冬限定だった「酒粕拉麺」は今では一番人気の定番メニュー。月桂冠の酒粕がブレンドされたしょう油で味付けされた豚骨ベースのスープは、酒粕の香りがうまさをひきたてていて、コクと旨味のみを加えています。まして体が温まるので寒い冬には絶対のおすすめです。トッピングは油揚げや大根の千切り(刺身のツマ)、青ネギに豚モモ肉チャーシューが入っていて、いかにも酒粕汁の具材といった内容です。それほど酒粕も濃くはないので酒粕が苦手な人でも食べられるのではないでしょうか。他では食べられない味なのでおすすめです。

歴史かおる名水の地・伏見をぶらり散歩

日本を代表する酒処・伏見は、歩いてみて初めて伏見の歴史を感じることができます。室町の頃から醸造が盛んになった町並み、幕末の面影をそのままに残した場所、洛中とはまた違い、商業都市として日本の中核を担った伏見。秀吉の城下町として広く人々に愛されている界隈、そして幕末の動乱の舞台であった伏見。歴史と文化を育んだ名水の地なのです。

毎年3月末から5月末まで伏見名水スタンプラリーが開催されています。伏見の名所に湧き出る名水11ヵ所を巡り、スタンプを集めて特製きき酒用猪口が貰えるイベントです(先着2000名)。応募用紙は、御香宮神社や京阪電車中書島駅・丹波橋駅で貰えます。その際には、京阪電車のお得な「宇治・伏見1Dayチケット」がありますので利用してみてください。中書島から伏見稲荷まで乗り降り自由で使い勝手が良いです。

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/01/24 訪問

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