よみがえりの地・熊野!世界遺産「熊野本宮大社」参拝のススメ

よみがえりの地・熊野!世界遺産「熊野本宮大社」参拝のススメ

更新日:2016/04/18 12:04

浦賀 太一郎のプロフィール写真 浦賀 太一郎 週末トラベラー
伊勢へ七度、熊野へ三度。古より熊野古道を巡る人々は、「蟻の熊野詣」と呼ばれる程、困難な峠道を賑わせてきました。今回紹介する熊野本宮大社は、全長1000kmを超える熊野古道の最終到達地であり、皇室から庶民まで、古来から多くの人々は、まさに命がけで、全国各地からはるばる参拝に訪れた、霊験あらたかな大社なのです。

世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」と熊野本宮大社の基礎知識!

世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」と熊野本宮大社の基礎知識!

写真:浦賀 太一郎

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平成26(2014)年に世界遺産登録10周年を迎えた熊野古道。正式な登録名は「紀伊山地の霊場と参詣道」と言い、熊野本宮大社、熊野那智大社、熊野速玉大社の「熊野三山」をはじめ、平成27(2015)年に開創1200年を迎えた高野山や桜の名所・吉野山、そして、熊野古道を構成する小辺路や中辺路などの「道」が世界遺産として登録されています。

さて、熊野本宮大社はその最終到達地ですが、全国に3000あると言われる熊野神社の総本宮でもあります。熊野本宮大社の主祭神は素戔嗚命(スサノオ)であり、神話では樹木を支配する神であるとし、和歌山の旧国名である「紀伊(紀の国)」の語源ともなっています。

かつては熊野坐神社と呼ばれていました。坐(にいます)とは、いらっしゃる、といった意味。熊野にいらっしゃる神様に、皆会いに行っていたのですね。
鳥居前の石碑には「日本第一霊験所」と銘打たれています。言うまでもなく、ここが日本一のパワースポットであることを謳っているのです。
ですが、今回は、あえて「パワースポット」という言葉から離れて、和の「霊験所」である熊野本宮大社を参拝してみましょう!

清浄な空気の参道を一歩一歩踏みしめよう

清浄な空気の参道を一歩一歩踏みしめよう

写真:浦賀 太一郎

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それでは、熊野本宮大社に参拝しましょう。
参道の鳥居から先は聖域です。神様は道の真ん中を通ると言われているので、行きは右側を、帰りは左側を歩きましょう。右側通行です。
参道の石段は158段あります。急な階段ではありますが、杉木立の中をゆっくり登っていけば、足腰の疲労感とは裏腹に、心は参拝へ向け、次第に安らかになっていくでしょう。

熊野は古来より「甦りの地」として人々の信仰を集めてきました。
「熊野」という言葉には、「神のおわす奥地」といった意味が含まれています。急峻な山々を越え、困難な旅路の先に現れる太平洋の向こうには、黄泉の国・観音浄土があると信じられてきました。
熊野に詣でることにより、先祖の霊と出逢い、身のケガレを祓い、心や体、魂を「黄泉」還らせる癒しの地なのです。

心安らかに…熊野本宮大社に参拝

心安らかに…熊野本宮大社に参拝

写真:浦賀 太一郎

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甦りの地・熊野。熊野本宮大社は、まさに聖地に相応しい雰囲気を持っています。
厳かな神門(写真)をくぐると、重要文化財の社殿が並ぶ神域です。
社殿は三棟並び、中央には主祭神の家都美御子大神(けつみみこのおおかみ=スサノオの別名)が祀られ、熊野速玉大社の主祭神である御子速玉之神(みこはやたまのかみ)や、熊野那智大社の主祭神である熊野牟須美神(くまのむすびのかみ)、天照大神(あまてらすおおみかみ)も合祀されています。

熊野三山のうち、熊野速玉大社と熊野那智大社は鮮やかな紅の社殿ですが、熊野本宮大社は檜皮葺きの落ち着いた社殿。
神門の先は神域のため写真撮影はNG。せっかくなので、この際なかなか手放せないカメラやスマホをしまって、まさに甦るような気持ちで参拝をしましょう。

参拝を済ませたら、境内を散策してみるのもいいでしょう。神武天皇を導いたといわれる八咫烏の黒いポストや、御朱印をもらったり、お守りの種類も豊富。
参道には参拝者が立てた小さな幟旗が静かに揺れています。古来から続く参拝者の習わしです。

産田社は創造のパワーを宿し、大斎原は静かな趣の聖地!

産田社は創造のパワーを宿し、大斎原は静かな趣の聖地!

写真:浦賀 太一郎

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本宮への参拝が済んだら、今度は大斎原へ向かいましょう。おおゆのはら、と読みます。
熊野本宮大社は、元々は熊野川をはじめ三本の川が合流する三角州にありましたが、明治時代の洪水により高台に移転。今の位置に遷座(せんざ)しました。

熊野本宮大社から道標があるのでそれを目印に5分ほど。目の前に大斎原のシンボルである大きな鳥居が見えますが、まずは途中にある「産田社(うぶたしゃ・写真)」に詣でましょう。産田社は、八百万(やおよろず)の神々をはじめ、全てを創造したとされる伊邪那美尊(いざなみのみこと)が祀られています。産田社で、新進創造のパワーを授かりましょう。

旧社地である大斎原には熊野の神が舞い降りたという伝説があります。かつては中洲に鎮座していたため、参拝者は川に入り、身を清めてから詣でていました。
森林に優しく包まれるように、石造りの祠はひっそりとたたずみ、かつてここが現在の数倍もの規模を誇った境内があったとは想像できないほど静かです。
大斎原も、神域であるため、大鳥居はじめ旧社地は全域が写真撮影NGですのでご注意を。

熊野は癒しの極楽浄土!

熊野古道は、古来から多くの人々が憧れた、極楽浄土へ続く道。複数ある熊野古道のルートは、最終的に熊野本宮大社へ向かうのです。
極楽浄土は、紀伊半島の更に海の向こうにあるという伝説もありますが、熊野本宮周辺には開湯1800年の湯の峰温泉をはじめ、幾つかの温泉郷がありますし、熊野牛や棚田米など、美味しい食材も豊富。気候も温暖で、まさに極楽と言えそうな条件が揃っています。

熊野本宮へお越しの際は、ぜひ本宮大社の霊験で黄泉還り、心身ともにリフレッシュしてくださいね!

掲載内容は執筆時点のものです。

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