リニューアルでより魅力的に!「東京都庭園美術館」でアール・デコの世界を堪能

リニューアルでより魅力的に!「東京都庭園美術館」でアール・デコの世界を堪能

更新日:2015/11/16 12:23

東京都庭園美術館は、朝香宮邸として1933年に建てられた建物を、そのまま美術館として公開されているもの。かつては迎賓館としても使用されていて、アール・デコ様式の美しい建物は、それ自体が芸術作品。
その美術館が、3年間の大掛かりな改修工事を終え、2014年11月に再オープンし、美しく蘇った姿を見る事が出来ます。
多くのファンを持つこの美術館の魅力をご紹介しましょう。

見応えたっぷりな本館、新館、そして緑溢れる庭園

見応えたっぷりな本館、新館、そして緑溢れる庭園
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アール・デコ様式の本館は、宮内省内匠寮の建築家が設計し、主要な部屋の内装基本設計をフランスのインテリアデザイナー アンリ・ラパンが担当。更にガラス工芸のルネ・ラリックらの作品を室内装飾に取り入れてアール・デコの世界を見事に表現しています。

アール・デコとは、1910年代から30年代にフランスを中心に流行した美術工芸の様式の事で、それ以前のアール・ヌーボーが曲線を主としているのに対し、直線を基調とした実用的なデザインが特徴の装飾様式です。

約3.500平方メートルの広大な敷地には、修復工事が完了した本館、その裏に新たに建てられた新館、芝庭や日本庭園、西洋庭園などの緑豊かな庭園があります。増設された新館には、ギャラリーの他、カフェやミュージアムショップなどがあり、こちらは、本館と対照的なモダンで近代的な建物で、現代美術家の杉本博司氏がアドバイザーとして参加しています。

カフェはオリジナルスイーツが充実なので、美術鑑賞の後に、ぜひ寄ってみて下さい。
また庭園は無料開放されていて、晴れた日にのんびりと日向ぼっこをするのもおススメ!

4人のニンフがお出迎え

4人のニンフがお出迎え
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本館正面玄関を入ると目の前に広がるのが、ガラス工芸家ルネ・ラリック作のガラスレリーフ扉。宮邸の為にデザインされたオリジナルで、翼を広げる女性像が4体、型押ガラス製法で作られています。その乳白色の優しい姿は、まるでニンフのように見えますね。 
                            
また、床全面には細かい天然石で制作されたモザイクが散りばめられていて、吊り下げられたペンダント照明と共に、この建物が如何に贅沢に造られているかを、早くも感じ取る事が出来るでしょう。

シンボル的存在の「香水塔」

シンボル的存在の「香水塔」
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受付を済ませ中に入ると、大広場越しに巨大なオブジェが見えてきます。それがここのシンボル的存在の「香水塔」。アンリ・ラパンのデザインで白色のセーヴル製。水が流れる仕組みになっていて「噴水」として使われていた物ですが、上の照明部分に香水をたらし、照明の熱で室内に香りを漂わせたそうです。白漆喰の天井は半円球のドームとなっていて、「香水塔」を優しく包み込むように造られていますね。
今で言うところのアロマディフューザーなのでしょうが、室内にこんな大きな物を作ってしまうなんて、宮様の考える事は庶民には理解しがたい(笑)。

この「香水塔」についてしまったひびや傷を修復し蘇らせる事が、今回の改修工事の最大の目的でもあったようで、3Dデータを元に「香水塔」の構造や知られざる技法の調査が行われました。

贅沢の限りを尽くして造られた「大客室」と「大食堂」

贅沢の限りを尽くして造られた「大客室」と「大食堂」
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「香水塔」が置かれている「次室」の横にあるのが、圧巻の広さの「大客室」。宮邸のなかでも最もアール・デコの粋が集められていると言われ、その豪華さには目を見張るものがあります。
ルネ・ラリック作のシャンデリア、アンリ・ラパン作の木製ボードに描かれた壁画、レイモン・シュブ作のタンパン装飾、マックス・アングラン作のエッチングガラスを嵌めこんだ扉や暖炉のレジスター装飾などなど。

更にその隣には、庭園からの明るい日差しが差し込む、円形の張出し窓がある「大食堂」。
ルネ・ラリック作のフルーツをモチーフにした照明器具やガラス扉、アンリ・ラパン作の暖炉の上の壁画、レオン・ブランショ作の植物文様の壁面のレリーフ。
素材も、デザインもそれぞれに個性的なのに、上手く調和が取れていて、独特な世界を生み出しています。

お伽の世界に誘われる様に2階へ

お伽の世界に誘われる様に2階へ
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2階は、家族の私室を中心にしたプライベート・スペースがあり、これもまた見事な装飾の数々で埋め尽くされています。各部屋ごとに住む人の趣向が表現されてなかなか興味深い。

装飾は室内だけに留まらず、廊下や階段にも施されています。
中でも目を引くのが、建物の中央に位置し、1階の客間から2階の家族の居室へ通じる第一階段。階段のステップ、腰壁、手摺りには3種類の大理石が用いられていて、ジグザグのデザインはアール・デコの特徴1つ。しかし、嵌めこみ金物のデザインは、どこか和のテイストもあると思いませんか。更に二階広間の照明柱と天井照明には、椿の花のパターンが施されていて、こちらもアール・デコと日本建築の和洋折衷が演出されています。

これだけの本格的なアール・デコ様式を一度に見られる場所は、日本ではそう簡単には無く、そう言った意味でも、この美術館は訪れる価値のあるものです。

写真撮影が許されるのは、年に1度

美術館ですから、もちろん写真撮影は基本的にNGですが、不定期で建物の開放日があり、撮影が許される期間があります。この美しい美術館、折角ならカメラを持って訪れたいですよね。催しによって、許可される期間があるので、ホームページや電話などでチェックして下さい。

また2015年11月現在、3階のウィンターガーデンが入室不可。そして日本庭園が、茶室が改装工事中の為、入る事が出来ないのでご注意を。

この記事の関連MEMO

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/08/06 訪問

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