美しさに思わずため息!太宰府の苔寺「光明禅寺」で楽しむ“床みどり”と“床もみじ”

美しさに思わずため息!太宰府の苔寺「光明禅寺」で楽しむ“床みどり”と“床もみじ”

更新日:2015/11/10 09:43

万葉 りえのプロフィール写真 万葉 りえ レトロ建築探訪家、地域の魅力伝え人
「苔寺」と言えば京都の「西芳寺」、そして「床もみじ」で有名なのは京都の「実相院」ですね。しかし地元で苔寺と呼ばれるほど苔が美しいお寺が福岡にもあります。それが太宰府天満宮そばにある光明禅寺。木漏れ陽が揺れる庭園を目にした途端、多くの人が感嘆のため息をしたり、一瞬言葉を止めたり…
そして苔をおおうように枝をのばすモミジも美しく、床板に木々の色が映る様が京都の実相院を思わせるお寺でもあるのです。

賑わう参道から、「静」の世界へ

賑わう参道から、「静」の世界へ

写真:万葉 りえ

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太宰府天満宮の参道は、両側に土産物や名物の梅が枝餅を売る店が並びます。ここは海外からの団体の観光客も多く、かなりの賑わい。
その参道を進んで突き当たると、道は左方向の太宰府天満宮の本殿へと人々を誘います。

その手前にある太宰府天満宮案内所から右へと進んだ所にあるのが、今回ご紹介する太宰府の「苔寺」と言われている「光明禅寺」です。右へ入ると人も少なくなり大変静か。穏やかな雰囲気に包まれます。

九州唯一といわれる石庭

九州唯一といわれる石庭

写真:万葉 りえ

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参道から右にも神社の様式をした建物が建っています。太宰府天満宮で秋に行われる神幸式では御神輿(おみこし)がお休みになる「浮殿」といわれている建物です。

光明禅寺があるのは「浮殿」のすぐ先。
光明禅寺が建てられたのは鎌倉時代なのですが、創建した鉄牛圓心和尚は太宰府天満宮を代々守ってきた菅原家の出身なんです。そんな歴史があるので、光明禅寺は天満宮と深くつながったお寺なんですよ。

寺の門をくぐり、本堂へ入る手前は「仏光石庭」と名付けられている前庭になります。白い小石の中で、七・五・三の十五石が光という字に配されています。ぜひ庭の正面に立って確かめてくださいね。

紅葉の季節は紅と緑の世界へ

紅葉の季節は紅と緑の世界へ

写真:万葉 りえ

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本堂に入ると畳敷きの広い空間が広がり、その向こうに裏庭が望めます。
広間の真ん中にご本尊が安置されているのですが、ここへと入ってきた人々はまるで吸い寄せられるように庭の方へと足を運び、庭の全景を目にした途端、多くの方がその美しさに一瞬言葉を失います。

苔で陸や島を、そして白砂で水と大海を表している庭の名前は「一滴海庭」。
本堂のほうから眺めると深山から流れ出た川や大海などを絵巻物のように見ていただけるのではないかと思います。しかし、何も考えずに、ただぼーっと、季節と向きあってすごすのもいいものではないでしょうか。

こちらの写真は紅葉には少し早い十月末に撮影したもので、まだ紅葉が始まったばかり。枝をのばしたモミジが11月下旬にはもっと紅く染まり、葉が緑の上に散り敷いたさまを想像してみてください。深いため息が思わず出てきそうな美しさですよね!

太陽と庭が織りなす「床みどり」と「床もみじ」

太陽と庭が織りなす「床みどり」と「床もみじ」

写真:万葉 りえ

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古代において、もともと博多湾の近くにあった政府の施設を、白村江の戦いの後、外国からの侵略から守るために移動させたという歴史を持つ大宰府政庁。
近くには防御のための山城や水城(みずき・奈良時代に大陸からの侵略に備えた防衛施設)が築かれ、太宰府天満宮がある場所も近くに山があるという地形になっています。

光明禅寺の裏庭の「一滴海庭」も裏山を借景とした造りになっています。山によって日差しが適度にさえぎられることが、苔をさらに美しくしているようです。

太陽の位置によってモミジに陽が当たる時間帯は、本堂の床板に葉の色が美しく映り込みます。こちらの写真は初夏の撮影で、残念ながら太陽光はモミジの一部にしか当たってない時間でしたが、それでもこのように床に緑がやさしく映りこんでいます。
緑の季節でも、紅葉の季節でも、木々に太陽の光が降り注ぐ時間にこの寺を訪れられた時は、ぜひ床に映る色も楽しんでくださいね。

おわりに

「床みどり」そして「床もみじ」として有名なのは京都の岩倉にある「実相院」です。季節になるとたくさんの観光バスもやってくる紅葉の名所です。訪れる人が大変多いために、写真の撮影が禁止になっているのは仕方がないといえるでしょう。

光明禅寺の裏庭にある「一滴海庭」は庭の手入れをする以外は人が入らないようになっているので、人影を気にせず苔や木々の美しさを撮影できます。
スマホで「記録する」というのもいいのですが、カメラで「記憶に残す」一枚がほしくなる美しい庭。これだけの美しさですから、光明禅寺も初夏や紅葉の時期はやはり見学者が多くなります。ゆったりとシャッターチャンスを待つという気持ちの余裕も、日常から切り離した気分にさせてくれるはず。
移り行く季節の、一瞬の美しさを切り取ってみませんか。

掲載内容は執筆時点のものです。

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