奇岩の聖地「モニュメントバレー」でアメリカの原風景を颯爽とドライブしよう!

奇岩の聖地「モニュメントバレー」でアメリカの原風景を颯爽とドライブしよう!

更新日:2018/08/06 18:26

ザーカー 久美子のプロフィール写真 ザーカー 久美子 アメリカ在住ライター、歌人、フローリスト、馬愛好家
21世紀に入り、スローライフが見直され、古民家を再生したり、野菜や家畜を育て自給自足する生活が人気ですね。初夏には水田に青空が映り、秋には稲穂が揺れる、藁ぶき屋根と田園は、日本の原風景です。

今回は、アメリカの原風景と称されるモニュメントバレーをご紹介します。荒野の置き土産のように岩がそびえ、アメリカ国内にあって、アメリカでない不思議な場所には、先住民・ナバホ族が聖地と崇める絶景が広がります。

2つの州にまたがるナバホ族の自治区・モニュメントバレー

2つの州にまたがるナバホ族の自治区・モニュメントバレー

写真:ザーカー 久美子

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アメリカ南西部・ユタとアリゾナの州境にまたがるモニュメントバレー (Monument Valley) 。正式名称「モニュメントバレー・ナバホ部族公園 (Monument Valley Navajo Tribal Park) 」は、北米先住民族・ナバホの居留地 (Navajo Nation) 内に位置し、アメリカ国内にありながら、ナバホ族の自治権が認められている場所です。

北米大陸に暮らす550以上の部族のうち最も大きな部族の1つであるナバホ族。彼らの居留地は、ユタ、アリゾナ、ニューメキシコの3つの州に分散しており、総面積は1700万エーカーで、なんと関東甲信越よりも広いんですよ。

1920年代初頭、居留地内で石油が発見され、1923年に、ナバホ族は自治行政機関を発足し、アメリカの石油会社へ領土内での発掘を許可しました。その後、居留地は大きく発展していきました。

彼らの多くは、伝統を守りつつも現代的な暮らしをしていますが、モニュメントバレーでは、ナバホ族の伝統的な住まいを見学したり、素晴らしい工芸品を購入することができます。もちろん、グルメを味わうことも。

モニュメントバレーに入園する際、アメリカの国立公園や史跡めぐりにお得な年間パス「アメリカ・ザ・ビューティフル (America the Beautiful) 」は、利用できないのでご注意ください。

ビジターセンターでナバホ族について学ぼう!

ビジターセンターでナバホ族について学ぼう!

写真:ザーカー 久美子

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モニュメントバレーを訪れたら、まずは「モニュメントバレー・ビジターセンター&博物館 (Monument Valley Visitor Center & Museum) 」へ。1階はミニ博物館となっており、ナバホ族の伝統的な衣装やコードトーカー (Code Talker) の歴史が展示されています。

コードトーカーとは、第二次世界大戦における情報戦で、無線交信に従事したナバホ族の人々の呼称です。彼らの言語には文字が存在せず、文法が複雑で発音も特殊なため、暗号は解読されず、米軍の勝利に貢献しました。

2階には、観光案内所とお土産屋さんがあり、幾何学模様が美しい手編みの織物やバスケット、陶器、インディアンジュエリーといったナバホ族の工芸品を購入することができます。

観光案内所の奥には「ザ・ビューレストラン (The View Restaurant) 」があり、ナバホ族の伝統料理で、トルティーヤのように平たい揚げパンにたっぷりの新鮮野菜をのせた「ナバホタコ (Navajo Taco) 」を味わうことができます。

美味しい料理とビールで乾杯! と、いきたいところですが、モニュメントバレーでは、お酒の販売が自治区の法律で禁止されています。お酒の好きな方は、ここにいる間は休肝日にしてくださいね。

レストランと併設されているのが「ザ・ビューホテル (The View Hotel) 」。すべての部屋のベランダは、後述する「バレードライブ (Valley Drive) 」に向いており、朝陽に照り映える美しい岩を望むことができます。

ビジターセンターの向かいには、ナバホ族の伝統的な家「ホーガン (Hogan) 」が建っています。そちらもお見逃しなく☆

メサ、ビュート、スパイアとは?

メサ、ビュート、スパイアとは?

写真:ザーカー 久美子

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モニュメントバレーのシンボルであるオレンジと赤の砂岩の残丘は、1億6千年前から存在し、現在も風雨により浸食されています。

スペイン語でテーブルを意味する「メサ (Mesa) 」と呼ばれる浸食の第1段階では、台形のかたちをしています。さらに浸食が進むと第2段階の「ビュート (Butte) 」に、そして、最終段階の「スパイア (Spire) 」では、先のとがった姿となり、記念碑(モニュメント)のように素晴らしい芸術作品をわたしたちに見せてくれます。

岩はおよそ30〜450mの高さがあります。すそ野には、崩れ落ちた岩のかけらが積もり、浸食の歴史を感じさせます。

ビジターセンターのデッキからは、素晴らしいパノラマビューを見渡すことができます。目の前には、ミトンのかたちをした「ウエスト・ミトンビュート (West Mitten Butte) 」と「イースト・ミトンビュート (East Mitten Butte) 」、そして、「マリックビュート (Merrick Butte) 」が赤褐色の荒野にそびえています。

トレッキングが好きな方は「ワイルドキャット自然観察歩道 (Wildcat Nature Walk) 」へどうぞ。「ウエスト・ミトンビュート」を一周する5.3kmのトレイルコースです。ビュートを360度眺めることができますよ。ただし、日射病対策は万全に。一周およそ1〜3時間のコースです。

いくつもある個性的で荘厳な残丘をより近くで見たいなら「バリードライブ」へ。西部開拓時代にタイムスリップしたような、アメリカの原風景を巡る旅へ出かけましょう!

西部劇のロケ地で気分はハリウッドスター☆

西部劇のロケ地で気分はハリウッドスター☆

写真:ザーカー 久美子

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「バレードライブ」は、一周およそ27kmの未舗装道路に、11の見晴らしポイントがあるドライブコースです。セダンでも通行可能ですが、アップダウンのあるオフロードなので、4輪駆動車がおススメです。

ビジターセンターの駐車場から、いざ、発進!
土煙をあげながら、オレンジ色の荒野を颯爽と駆けていきます。前述のミトンビュートを左手に進んでいくと、第4ポイント「ジョンフォードポイント (John Ford’s Point) 」に到着です。

ここは、西部劇の巨匠・ジョン・フォード監督が好んで撮影に使った場所です。「駅馬車」や「黄色いリボン」、「荒野の決闘」など、数々の名作がモニュメントバレーから生み出されました。

このポイントでは「スリーシスターズ ( Three Sisters) 」と呼ばれるスパイアを間近に見ることができます。修道女がふたりの弟子に向きあっている姿だそうで、確かに、そう見えるから不思議。

ここからは、モニュメントバレーの中心にある大きな「レインゴットメサ (Rain God Mesa) 」をぐるりと一周していきます。

三原色のコントラストが美しい「アーティストポイント」

三原色のコントラストが美しい「アーティストポイント」

写真:ザーカー 久美子

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「レインゴッドメサ」を左手に進んでいくと、右手の奥に「トーテムポール (Totem Pole) 」やナバホ族の神「イェイビチェイ (Yei Bi Chei) 」と呼ばれるスパイアが見えてきます。美しい奇岩を写真に収めつつ、第9ポイント「アーティストポイント見晴らし台 (Artist Point Overlook) 」へ。

突如、目の前がパノラマビューに! 高台からは、絵画のように美しく広大な絶景を望むことができます。純度の高い青空と、荒野に低く生える緑、赤い砂の光の三原色は、とても感動的。風の吹く音だけが聞こえる静かで力強い景色を、からだで感じてください。
ドライブコースの所要時間は、1時間半〜2時間です。

モニュメントバレーには、「ミステリーバレー (Mystery Valley) 」と呼ばれるドライブコースがあり、こちらは、ツアー参加者のみが見学を許されています。岩のアーチや壁画に興味のある方は、ビジターセンター内の観光案内所にお問い合わせください。

宿泊施設の予約はお早めに

モニュメントバレー周辺には、宿泊施設が少なく、前述の「ザ・ビューホテル」や、国道を挟んで建つ「ゴールディングスロッジ (Goulding’s Lodge) 」は、部屋にいながら日の出が拝めることもあり、満室必至です。予約はお早めにどうぞ。

奇岩の絶景・モニュメントバレーをドライブして、西部開拓時代の雰囲気に浸ってくださいね。

〈一旅一首〉
歳月を重ねることは劣化ではなくてスパイアの彫刻美

掲載内容は執筆時点のものです。

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