東京で初めて「デザインホテルズ」に加盟したパークホテル東京。洗練された空間と上質なサービスに定評があったこのホテルが、大きな変化を遂げ始めたのは2013年。開業から10年目のことです。
そのキーワードとなったのは“ART”。「ART=芸術」ということはもちろんですが、A=空間(アトリウム)、R=食(レストラン)、T=旅(Travel)という、旅行者にとって欠かせない3つのシーンにこだわりを持って、「日本の美意識が体感できる時空間」という新たなコンセプトのもとでリスタートしました。
その象徴的な空間が25階のアートラウンジ。34階までの吹き抜けという開放的なこのスペースでは、「アートカラーズ」という展示会を行っていて、季節ごとの展示で日本の四季を堪能できます。
また、同階にあるフロントデスクの背景は大きな窓になっており、そこからは東京タワーも一望。天気がよければ、遠く富士山まで見渡すことができます。「これぞ日本!これぞ東京!」という風景は、まさにリアルな日本の美ですね。
さぁこの美空間を堪能したら、さっそくアーティストルームへと向かいましょう!
写真:まつり はるこ
地図を見る「アーティストフロア」と呼ばれる31階には、全31室のアーティストルームがあります。どの部屋も「日本の美意識が体感できる時空間」というコンセプトのもと、日本らしさ満載の仕上がり。制作中の部屋もあり、フロア専用ラウンジやコンシェルジュの設置計画が進んでいて、2016年中のフロア完成を目指し日々進化中です。
パークホテル東京のアーティストルームの大きな特徴は“部屋自体が作品”であること。有名アーティストやインテリアデザイナーとのコラボレーションルーム、プロデュースルームはさほど珍しくありませんが、壁や天井をカンバスに直接描き込むという大胆過ぎる発想は他にないものです。
まずご紹介するのが『祭り(Artist Room Festival)』。紅白幕や太鼓など、日本のお祭りを連想させるモチーフをふんだんにあしらった賑やかな光景が、ドアを開けた瞬間から目の前に広がります。女子高生が獅子や象に乗ったり、和服姿のウサギが踊ったりする姿に高揚感を感じずにはいられないでしょう。エキサイティングな日本の美とでもいうべきワクワク感に包まれます。
この『祭り』は、画家の石原七生氏の作。獅子舞の口(歯)に見立てたエアコンの通風孔、開けると衣桁(衣紋掛け)に掛けられた法被が描いてあるクローゼットなど、部屋中に隠された遊び心を探してみるのも面白いですね。
写真:まつり はるこ
地図を見るアーティストルームは、『祭り』のように色彩の鮮やかなものばかりではありません。日本の国技をユーモラスに描いた『相撲(Artist Room Sumo)』、書を大胆に配した『禅(Artist Room Zen)』、和紙を立体的にあしらった『和紙(Artist Room Washi)』、動物たちが部屋中を埋め尽くすように躍動する『十二支(Artist Room Zodiac)』など、色彩をグッと抑え、落ち着きの中にある日本の美を体感できる部屋も。
画家の阿部清子氏作『龍(Artist Room Dragon)』もそのうちのひとつ。激しい龍の動きの中にも女性らしい優しさを感じさせる雰囲気があります。窓から入ってきた大きな龍が部屋中を巡り、凛とした日本女性と対峙。まるで部屋自体が絵巻物のような構成になっています。また、この部屋は東京タワーを望む方向に位置しているので、眼下に広がる現代的な風景とのコントラストも楽しめます。
自然界のエネルギーを龍に見立て、空間が活性化されるようにという願いが込められている『龍』、大人の女性にオススメしたい1室です。
写真:まつり はるこ
地図を見る芸術家をその地に一定期間招き、創作活動を行わせることを「アーティスト・イン・レジデンス」といいます。これは、例えばミケランジェロがシスティーナ礼拝堂の天井画を描くために招かれローマに逗留したように、ルネサンスの昔から行われているといわれています。
パークホテル東京のアーティストルームのプロジェクトは、まさにこのホテル版「アーティスト・イン・ホテル」。アーティストは、このホテルに滞在し、ホテルで食事をとり、ホテルの空気感を感じながら創作活動に邁進します。深夜や早朝に作業することもあり、それがまた新たな閃きに繋がってアイディアを生み出しているのです。
創作期間はアーティストによって違い、数日で一気に描き上げるものから、半年以上かけじっくり描くものまでさまざま。これまでのところの最長は、約7か月をかけて完成した『芸者金魚(Artist Room Geisha Goldfish)』。壁、天井、バスルームに無数の金魚が漂っている、インパクト大の部屋です。
昔から日本で縁起物とされている金魚をモチーフにしたこの室内にいると、まるで自分も金魚の水槽の中で揺らめいているような気持ちに。また、芸者の姿に身を変えた金魚の妖艶さから、目が離せなくなってしまいます。
完成後も少しずつ金魚を描き足し現在の形になったという、作者の画家・成田朱希氏のこだわりに包まれてみて下さい。
写真:まつり はるこ
地図を見る最後に見逃せないのが、25階にあるスモーキングスペース。こちらは、アーティストの林晃久氏(=マロンちゃん)による独特な世界観が広がっています。
煙管で一服中の粋な花魁と、花魁の吐き出す煙(金雲)、そして富士山がとっても印象的。ゴジラはいるわ、寿司は宙を舞ってるわ、東京が誇る世界一の某展望タワーに網タイツ姿の脚が絡まるわとまさに東京カオス。何かと肩身の狭い喫煙者にプレゼントされた、遊び心満載のパラダイスといえるでしょう。ヒップでエロカワ、アメージングな東京が広がる空間、タバコを吸わない方もちょっと覗いてみてはいかがでしょうか?
もともと日本人よりも外国人利用者の方が多いというパークホテル東京ですが、アーティストルームは外国人利用者の割合が90%を超えているそう。しかし、日本人にとっても外国人とはまた違う、“日本人なりの楽しみ方”ができる部屋だといえるでしょう。
今回ご紹介した他にも、個性豊かな部屋がラインナップされているアーティストルーム。「この部屋に泊まりたい!」という希望がある場合は電話予約のみ受け付けています。ネットからの予約だと部屋は選べませんが、どんな部屋に当たるかをチェックインまでワクワクする……というのも面白いかもしれませんね。
また、アーティストルーム3部屋の見学と、ラウンジでのアフタヌーンティーをセットにした「マジカル・アート・ツアー」も、平日に不定期で開催されています。少人数でのツアーなので、「この日に何人で行きたいんだけど…」と電話で問い合わせしてみることをオススメします。
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(2024/4/24更新)
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