ご紹介する「サント・ドミンゴ教会跡資料館」は、長崎駅から路面電車に乗り「公会堂前」電停で下車。徒歩約5分の場所。
国道34号線に面した桜町小学校の一角にあります。資料館は、一般的に静かな環境にありますが、ここは現在使われている現役の校舎の下に位置。そのため、休み時間になると子供たちの元気な声が聞こえてくるほど。文化財を鑑賞するには少々違和感を感じる環境かもしれません。「でも、どうしてこんな所にあるの?」なんて、誰もが疑問を感じてしまいますよね?
ここで発見された遺跡は、木造校舎だった旧勝山小学校を、現在の校舎に建て替えられる際に、偶然見つかったもの。そのため、見つかった遺跡の上に、現在の校舎が建てられているため、このような不思議な形式の資料館となったそうです。
こんな場所に教会跡があったとは、誰一人として想像しておらず、正に未知との遭遇の教会跡なんです。
早速、そんな遺跡をご覧頂きましょう!
資料館の入口を入ると、このように剥き出しになった遺構がそのまま展示されています。
右側に見える盛り上がった場所は、代官屋敷時代に使われていた井戸。手前に見える石積みは、教会跡のもので、一見した限りでは分かりませんが、ここには、教会時代と代官屋敷時代の大きく分けて2つの遺跡が存在しています。何れも、17世紀から19世紀にかけての歴史的な遺跡で、南蛮文化の先駆けだった長崎ならではの珍しい見所。
対照的なこの2つの遺跡が、絡み合う複雑な歴史を物語っています。見学ルートは、遺跡の真上を通るように造られていて、そのため、より近くで見ることができます。
お次は、レア度満点なスポットと遺跡の謎に迫ります!
見学ルートをしばらく進むと、右側にこのような石畳が見えてきます。
この石畳は、異国の様式を伝える教会遺構の象徴的なスポットで、絶対に目にしておきたいところ。教会時代、実際に使われていたもので、サント・ドミンゴ教会は、1609年に「村山等安」の援助により建てられました。
しかし、天下統一の妨げになったためか、1616年に江戸幕府から「禁教令」が発布され、わずか6年で終止符を打った幻の教会です。ここは、禁教令の前に建てられた非常に珍しい教会で、その後、跡地には代官屋敷が建てられました。そのため、1つの場所から2つの遺跡が発掘され、キリシタンを取り締まるなどの役職が与えられた代官職は、約250年間も続いたそうです。
この石畳の左側の延長線上をたどると、先程見えていた地下室へ繋がっています。地下室からは、花十字紋瓦や陶磁器などの遺物が見つかりましたが、この地下室についての用途は不明。恐らく、窓もなく真っ暗闇に包まれていた部屋で「何をしていたんだろう?」なんて、想像をかき立てられてしまいます。
資料館の奥は展示室になっていて、発見された遺物を見ることができます。
こちらは、十字の四方の先端が花弁状に開いた「花十字」と呼ばれるデザインの「花十字紋瓦」です。この場所から約80点もの瓦が発見され、展示室では、1つ1つ並べられた瓦を見ることができます。よく見ると、一つ一つ模様が微妙に違っていたり、はるか昔に作ったとは思えないような完成度の高さ。この花十字は、キリシタンの象徴として用いられていたそうで、ここを訪れたら見逃せません!
この他、展示室では、代官屋敷時代に使われていた陶磁器や、日本最古の指輪と言われる出土品もあるので要チェック!
歴史が苦手な方は、分かり易く解説された説明DVDを無料で見られるコーナーもありますよ。
如何でしたか?
資料館内は、驚くことに写真撮影が可能!ですが、撮影する際は必ず一言声を掛けるなど、マナーを守って下さいね。
サント・ドミンゴ教会跡資料館は、観光ガイドブックであまり紹介されていない、知る人ぞ知る資料館です。忘れ去られてしまった歴史を今に伝える、ひっそりとした遺構に触れる旅も、なかなか良いものですよ。
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(2024/4/25更新)
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