学校にある文化遺産!?長崎「サント・ドミンゴ教会跡資料館」

学校にある文化遺産!?長崎「サント・ドミンゴ教会跡資料館」

更新日:2015/10/30 11:35

長崎の教会といえば、現存する日本最古の教会として知られる「大浦天主堂」が有名ですが、サント・ドミンゴ教会は、禁教令が出される以前の江戸時代初期に建てられた全国でも珍しい教会。教会跡に加え、代官屋敷の遺跡も一緒に見つかるなど和洋折衷の不思議な史跡です。その上、資料館があるのは現在使われている小学校の一角。少し変わった場所にある、異国情緒溢れる見所「サント・ドミンゴ教会跡資料館」をご紹介します。

入場無料で見られる!貴重な文化財

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ご紹介する「サント・ドミンゴ教会跡資料館」は、長崎駅から路面電車に乗り「公会堂前」電停で下車。徒歩約5分の場所。
国道34号線に面した桜町小学校の一角にあります。資料館は、一般的に静かな環境にありますが、ここは現在使われている現役の校舎の下に位置。そのため、休み時間になると子供たちの元気な声が聞こえてくるほど。文化財を鑑賞するには少々違和感を感じる環境かもしれません。「でも、どうしてこんな所にあるの?」なんて、誰もが疑問を感じてしまいますよね?

ここで発見された遺跡は、木造校舎だった旧勝山小学校を、現在の校舎に建て替えられる際に、偶然見つかったもの。そのため、見つかった遺跡の上に、現在の校舎が建てられているため、このような不思議な形式の資料館となったそうです。
こんな場所に教会跡があったとは、誰一人として想像しておらず、正に未知との遭遇の教会跡なんです。
早速、そんな遺跡をご覧頂きましょう!

一見の価値あり!神秘に満ちた空間!

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資料館の入口を入ると、このように剥き出しになった遺構がそのまま展示されています。
右側に見える盛り上がった場所は、代官屋敷時代に使われていた井戸。手前に見える石積みは、教会跡のもので、一見した限りでは分かりませんが、ここには、教会時代と代官屋敷時代の大きく分けて2つの遺跡が存在しています。何れも、17世紀から19世紀にかけての歴史的な遺跡で、南蛮文化の先駆けだった長崎ならではの珍しい見所。

対照的なこの2つの遺跡が、絡み合う複雑な歴史を物語っています。見学ルートは、遺跡の真上を通るように造られていて、そのため、より近くで見ることができます。
お次は、レア度満点なスポットと遺跡の謎に迫ります!

未だ解明されていないミステリアスなゾーン!?

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見学ルートをしばらく進むと、右側にこのような石畳が見えてきます。
この石畳は、異国の様式を伝える教会遺構の象徴的なスポットで、絶対に目にしておきたいところ。教会時代、実際に使われていたもので、サント・ドミンゴ教会は、1609年に「村山等安」の援助により建てられました。

しかし、天下統一の妨げになったためか、1616年に江戸幕府から「禁教令」が発布され、わずか6年で終止符を打った幻の教会です。ここは、禁教令の前に建てられた非常に珍しい教会で、その後、跡地には代官屋敷が建てられました。そのため、1つの場所から2つの遺跡が発掘され、キリシタンを取り締まるなどの役職が与えられた代官職は、約250年間も続いたそうです。

この石畳の左側の延長線上をたどると、先程見えていた地下室へ繋がっています。地下室からは、花十字紋瓦や陶磁器などの遺物が見つかりましたが、この地下室についての用途は不明。恐らく、窓もなく真っ暗闇に包まれていた部屋で「何をしていたんだろう?」なんて、想像をかき立てられてしまいます。

語りかける美しい紋様

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資料館の奥は展示室になっていて、発見された遺物を見ることができます。
こちらは、十字の四方の先端が花弁状に開いた「花十字」と呼ばれるデザインの「花十字紋瓦」です。この場所から約80点もの瓦が発見され、展示室では、1つ1つ並べられた瓦を見ることができます。よく見ると、一つ一つ模様が微妙に違っていたり、はるか昔に作ったとは思えないような完成度の高さ。この花十字は、キリシタンの象徴として用いられていたそうで、ここを訪れたら見逃せません!

この他、展示室では、代官屋敷時代に使われていた陶磁器や、日本最古の指輪と言われる出土品もあるので要チェック!
歴史が苦手な方は、分かり易く解説された説明DVDを無料で見られるコーナーもありますよ。

おわりに

如何でしたか?
資料館内は、驚くことに写真撮影が可能!ですが、撮影する際は必ず一言声を掛けるなど、マナーを守って下さいね。

サント・ドミンゴ教会跡資料館は、観光ガイドブックであまり紹介されていない、知る人ぞ知る資料館です。忘れ去られてしまった歴史を今に伝える、ひっそりとした遺構に触れる旅も、なかなか良いものですよ。

この記事の関連MEMO

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/10/23 訪問

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