言葉を失う天空の絶景“雲海”!日本百名山・福島「磐梯山」

言葉を失う天空の絶景“雲海”!日本百名山・福島「磐梯山」

更新日:2015/10/26 09:46

村松 佐保のプロフィール写真 村松 佐保 嬬恋村案内人
"エンヤ− 会津磐梯山は 宝の山よ(ハァーヨイトヨイト)" という民謡で親しまれている磐梯山は、会津富士とも呼ばれる標高1816メートルの活火山です。美しさを誇る磐梯高原の景観は、過去に起きた大噴火によって形成されました。流れ出た溶岩や火山灰などに川がせきとめられ、五色沼など多くの湖沼が生まれました。今回は風光明媚な自然の中を森林浴を楽しみながらアクティブに過ごす、磐梯山登山をご案内いたします!

八方台登山口からスタート!

八方台登山口からスタート!

写真:村松 佐保

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磐梯山は、元は「いわはしやま」と読み、"天に掛かる岩の梯子"の意味がありました。古代の人々は、神々は高山に降臨して里を護るものと信じていたため、磐梯山は天に架かる磐(いわ)の梯(はしご、つまり橋)であると考えられていたといわれています。

磐梯山にはいくつかの登山口がありますが、八方台登山口(標高1194メートル)からのルートが標高差が少なく比較的初心者にも登りやすいといわれています。山頂までの全長3.5キロメートルほどを、休憩をしながら2時間から2時間半前後を目安に登ることができます。八方台登山口は磐梯山ゴールドライン沿いにあり、駐車場(約60台)と休憩所やトイレが完備されています。公共交通機関利用の場合は、磐梯東都バス「裏磐梯高原駅」バス停で下車し、タクシー利用となります。

登山ルートは、八方台登山口 ⇒ 中の湯跡 ⇒ 弘法清水 ⇒ 磐梯山山頂となります。
いよいよ登山の始まりです!

磐梯山方面へのアクセスは、車のほかに列車や高速バスなどと多くの手段がありますので、詳細は下記[MEMO]「福島県裏磐梯観光協会 交通案内」でご確認ください。

八方台登山口から中の湯跡を通って弘法清水へ

八方台登山口から中の湯跡を通って弘法清水へ

写真:村松 佐保

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登山を開始するとブナ林が出迎えてくれます。森林浴をしながら木々の隙間から差し込む光を浴びて、緩やかな坂を30分ほど進みます。硫黄の臭いが立ち込めてくる頃、中の湯跡(かつて温泉旅館があった場所)に到着です。登山道の脇には、鉱泉が少し噴出している所もあります。中の湯跡までは歩きやすい道が続いていますが、弘法清水に向けて徐々に急登が始まります。アップダウンが少し険しいところもありますが、途中眼下に広がる景色に癒されます。弘法清水までは1時間ほどかかると思いますが、マイペースで進んでください。

弘法清水の手前で道が二手に分かれています。左手がお花畑経由となりますので、季節に応じて、あるいは片道だけ少し遠回りもいいですね! 弘法清水には、湧き出る清水や売店がありますので、休憩タイムにピッタリです。トイレは携帯トイレブースになります。(携帯トイレは売店で販売されています)

写真は眼下に臨む桧原湖です。山頂まであと一息です!

磐梯山山頂に立つ!360度パノラマ絶景

磐梯山山頂に立つ!360度パノラマ絶景

写真:村松 佐保

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1630メートルほどの高さの弘法清水から山頂までは約30分の急登になります。ゆっくりと一気に登ります。体力は消耗しますが、途中で臨む絶景に背中を押してもらいながら頂上を目指します。ガレ石の上を気を付けながら登っていると、両側が草木で覆われたガレ場が見えてきます。あと少し!? 最後を踏ん張れば、磐梯山山頂に到着です! 360度のパノラマ絶景に、ここまで登ってきた疲れが一気に吹き飛びます。

桧原湖、吾妻山、安達太良山、猪苗代湖、会津若松……天空からの眺めに言葉もありません! 雲に覆われていても……それも嬉しい! すぐ足元に広がる幻想的な雲海に魅せられます。

山頂は岩や石に覆われていますが、スペースはありますので、大勢の方々が思い思いの時を過ごしています。登ってきた充実感と景色を充分に楽しんでください。下山するときには、急な岩場や木の根などに気をつけてください。

"磐梯山噴火記念館" で磐梯山を知る

"磐梯山噴火記念館" で磐梯山を知る

写真:村松 佐保

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磐梯山を訪れたら、ぜひ寄ってみたいところが磐梯山噴火記念館です。磐梯山を紹介する火山の博物館で、近代日本初の大災害である1888年の大噴火の様子を、大型模型などで疑似体験することができます。爆発時の磐梯山を描いたプロローグから始まり、爆発寸前のマグマの響きや様子を窺うことができるタイムトンネル。写真やビデオから爆発後の惨状や、ジオラマや音声で磐梯山周辺に生息する動植物についても紹介されています。

さらに、以前気象庁で使用されていた風向計や風速計などの気象観測機器も展示され、活火山である磐梯山を24時間監視する可視カメラや赤外線カメラからの映像が紹介されています。またこの地域に伝わる民話を映像で観られるブースもありますので、大人から子どもまで楽しむことができます。当時の状況に触れて、より磐梯山を身近に感じてみてください。磐梯山噴火記念館詳細は、下記[MEMO]「磐梯山噴火記念館」をご覧ください。

民話「片目の爺さま」

民話「片目の爺さま」

写真:村松 佐保

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磐梯山噴火記念館館内にある民話のブースでは、紙芝居形式の映像を観ることができます。4つの話しが紹介されていますが、どれもおもしろい! その中の一つ「片目の爺さま」をご紹介します。

むかしむかし、磐梯山の麓の村に、片目の爺さまと婆さまが住んでいました。

ある日の夕方、山から帰ってきた爺さまを出迎えた婆さまは、爺さまの顔を見てたまげました。爺さまは、左の目がつぶれているはずなのに、今夜は右の目がつぶれているからです。

「ははあ、これは狐が爺さまに化けてきたんだなあ」と、すぐに気がついた婆さまは、「爺さま、これからご飯作るから、いつも通り俵に入ってください」と言うと、

爺さまは、「そうだったなぁ。いつも通り俵に入らないとなぁ」と言って俵に入りました。さらに婆さまは、「ほしたら爺さま、いつも通り風呂に入れてやるから、縄かけるぞ」と言って、俵の上から縄をかけました。

婆さまが、「縄かけたげんど、火棚の上であったまんのが−」と言ったら爺さまは頷いたので、グルグル巻きの爺さまを囲炉裏の上に担ぎ上げて火棚に縛り、どんどん下からいぶしました。

「熱い熱い」と、化けていた狐はついにしっぽ出しました。そこへ右の目を輝かせた本物の爺さまが帰ってきました。

左目と右目を間違えたばかりに、狐はキツネ汁にされて食べられてしまったとのことです。

ブースではボタンを押せば映像が始まりますので、ぜひご覧になってみてください! その土地に語り継がれてきた話を聞くのも楽しいものです!

おわりに

福島県の象徴ともいえる磐梯山はいかがでしたでしょうか。八方台登山口からのルートは高低差が少なく初心者でも登りやすいといわれていますが、ハイキングコースではなく、あくまでも登山ですので、それなりの準備をして臨んでください。時間帯によっては、登山道が登山客で渋滞になり、狭い道で譲り合うこともありますので、時間には余裕をもってお出かけください。また登山道に熊が出没することもあるそうですので、熊除けの鈴など携帯することをお勧めします。大噴火で多大な被害に見舞われた地域の方々の歴史が刻み込まれ、そして生まれた磐梯山。その神秘の輝きを肌で感じてみてください!

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/10/18 訪問

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