場所は、ちょうど上川地方と十勝地方の国境付近です。十勝方面からは道東自動車道 音更帯広インターから、上川方面からは旭川紋別自動車道 上川層雲峡インターから車でそれぞれ１時間半ほどの距離に位置しています。周囲には、層雲峡温泉や糠平温泉など有名温泉地がひしめいていますが、完全無視して幌加温泉に直行しましょう！
国道２７３号線の道内最高所である三国峠と、糠平温泉のちょうど中間あたりに位置していて、国道を走っていると細道に入る案内板があるのでそれに従って２～３分ほど一本道を走ると、目的地に突き当たります。国道からも近く、山道でも未舗装道でもないのでアクセスはそこまで難しくはありませんが、周囲には人家が皆無で樹海に囲まれたこところなので、少々心細くなるかもしれません。
幌加温泉は以前は２軒の宿がありましたが、１軒は廃業してしまい、現在は「元湯 鹿の谷」の一軒宿となっています。
幌加温泉の最大の特徴は、泉質の異なる４種類の温泉を一度に楽しめる点にあります。まず、内湯は手前から「ナトリューム泉」「鉄鉱泉」「カルシューム泉」（※原文表記のまま）の３種類で、それぞれ２ｍ四方ほどの広さで、ちょうど口元あたりまで浸かるくらいの深めの浴槽となっています。約７０℃という高温の自家源泉は、パイプを伝って浴槽へと注がれていますが、意外にも浴槽内の湯温はどれもぬるめです。泉色はどれも無色透明ですが、浴槽の底や縁にびっしりとこびりついている析出物の影響で、「鉄鉱泉」はやや黒みがかり、「ナトリューム泉」「カルシューム泉」は青白く見えます。かわるがわる浴槽に浸かっていると色味や臭いで泉質の違いを実感でき、しだいに身体がポカポカしてきます。
ちなみに、この浴室は混浴で、脱衣室は別々ですが中で繋がっています。画像のように、浴槽に一部仕切り板があるのは、そのためではないかと思われます。
内湯からサンダルを履いて外に出ると、直接露天風呂へと繋がっています。露天風呂は内湯とはさらに泉質が異なり、やや黄色がかった硫黄泉で、かすかに硫黄のにおいがぷぅ～んと漂ってきます。しかし泉質以上に特質すべきは、その開放感あふれる野趣満点の雰囲気にあります。春は雪解けの清涼感ある空気に包まれながら、夏は新緑の香る清々しい風に吹かれながら、秋は燃えるような紅葉を愛でながら、冬は極寒の地に湧く温泉の尊さと自然の厳しさを感じながら・・・四季折々の美しい景色の中で、極上の湯に浸かるひとときを想像してみてください・・・。
生まれたての正真正銘の温泉に、しかも泉質の異なる４種の温泉に一度に浸かれるというのですから、これほど贅沢な話はありません。
ちなみに、『元湯 鹿の谷』は、宿泊が可能です。さらに驚くべきことに、人里離れた極寒の地にありながら、通年で営業しています。しかも、８０代のおばあさんが一人で切り盛りされています。そのような事情もあり、宿泊は以下の条件の下、完全素泊まりでお願いします。
・寝袋持参（寝具の提供なし）
・自炊が必要（食事の提供なし）
・テレビは談話室に一台のみ（衛星放送のみ）
・携帯電話は圏外で通じない
・温泉は正真正銘の本物の温泉
以上で、１泊３，０００円です。
「元湯 鹿の谷」という名の通り、周囲は野生のシカの生息地です。皆さんも運が良ければ、旅館の玄関先から、お部屋の窓から、そして露天風呂のすぐ近くで、野生のシカを観察できるかもしれません。
■ 幌加温泉 湯元 鹿の谷
所在地：北海道河東郡上士幌町幌加番外地
連絡先：０１５６４－４－２１６３
入浴料：５００円（９：００～２０：００） 不定休あり
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(2024/4/23更新)
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