明治の面影残る鉄道トンネル!山梨「大日影トンネル」を歩いてみよう。

明治の面影残る鉄道トンネル!山梨「大日影トンネル」を歩いてみよう。

更新日:2015/11/02 12:48

ノスタルジックなレンガ造りのトンネルに続く、レール道。
明治の鉄道遺産「大日影トンネル」は、当時使われていたままの線路や設備がそのまま残され、その線路道を歩いて中を見学することが可能です。鉄道トンネルを再利用した遊歩道としては、日本一の長さです。
トンネル内は冷やっとした空気が流れており、ちょっとした探検気分も味わえます。

それでは早速ご紹介します。

まずは大日影トンネルの概要から

まずは大日影トンネルの概要から
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大日影トンネルの場所は、山梨県甲州市。1902年、明治35年に作られました。このトンネルの開通によって甲州ー東京間の所要時間が大幅に短縮され、ぶどうやワインの輸送に多大な影響を与えて周辺地域の経済発展に大きく貢献しました。

その後1997年まで歴史を重ねながら現役で電車が走っていましたが、線形改良等のため、隣に下り専用の新大日影第2トンネルが開通し、その役目を終えました。
それからしばらく経った2007年に、JR東日本から旧勝沼町へ無償譲渡され、その後遊歩道として解放されました。

内部は当時使われていたままのレンガ造りや、壁面にこびりついた煤煙、約330mの開渠水路、待避所や勾配標などがそのまま残されていて、実際に近づいて間近に見学することが可能です。

全長は約1.4kmで、片道約30分くらいで通り抜けることができます。
上り側出口(深沢口)には、鉄道トンネルを利用した深沢トンネルワインカーヴがあり、こちらまで見学して戻ると往復約1時間くらいの所要時間になります。

いよいよ貫禄のある入口からアプローチ

いよいよ貫禄のある入口からアプローチ
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入口は上り側と下り側、勝沼町深沢のワインカーヴ側と、JR中央線勝沼ぶどう郷駅側からの2通りあります。勝沼ぶどう郷駅側の入口には、新旧のトンネルが並んでいて、現役のトンネルには勿論電車が駆け抜けます。以前はこの大日影トンネルもそうだったのだろうなと連想してしまう、なんとも感慨深い光景です。

トンネルの外から線路は始まっており、内部へとレールは続いています。
古いレンガ造りのトンネルとあり、目の前まで来るとさすがに貫禄があります。日中ですがトンネルの中は薄暗いです。(当たり前ですが。)
とはいえ線路の両端は歩きやすいように整備されていますし、照明もきちんとあって安全なので、ここはすっと入りましょう。

中へ入り、奥へ進むにつれて、空気もひんやりしてきます。
トンネルはまっすぐで、入ってすぐから反対側の出口の明かりが見えており、迷うことはありません。こう見ると向こう側は近そうに見えるのですが、歩いてみると中々辿り着かず、きっちり30分くらいはかかります。少しずつ明かりの大きさが大きくなってくるのも現在地の目印になって、おもしろいです。

途中にはベンチや美術館のような展示品の数々も

途中にはベンチや美術館のような展示品の数々も

提供元:♪さかきんぐのちょいと1言♪

http://sakaking.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/pos…地図を見る

しばらくすると目が慣れてくるので、色んな物が見えてきます。
重厚なレンガの壁には、天井には裸電球のような大きなランプがあり、歴史を感じます。
とってもレトロな勾配標の標識や緊急電話機も当時のそのままが置かれ、壁面や天井には電化されるまで走っていた蒸気機関車の煙突の煤が黒く残っていたり、岩盤が弱い箇所を花崗岩で補強した石積みの跡などが残っています。該当箇所には案内のパネルもつけられているので、一目瞭然に分かります。

壁には入口から何mかを記す雰囲気のある文字が所々に記載されています。今どこまで歩いて来たのか目印にもなるので安心ですね。

またトンネル内部の数カ所には、建設当時の様子などを紹介するパネルが掲示されており、美術館のように散策することができます。待避所になっているレンガのくぼみにはいくつか地元の方のアート作品の展示もあり、不思議なオブジェがライトアップされています。ベンチがあるスペースもあるので、疲れたらここで一休みも可能です。

中央部にある開渠水路〜反対側の出口へ。

中央部にある開渠水路〜反対側の出口へ。
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線路の上も勿論歩くことができますが、さらに進むと、中央部には線路内に水路が現れるので、落ちないように要注意です。

このあたりは湧き水も多く、常に水がしたたり流れているところもあります。
このトンネルでは湧き水を排水するため、約330mにわたって水路が線路の下に作られています。内部に水路を持つトンネルは、日本でも珍しい構造です。

後ろを振り返ると、入り口と出口の明かりの大きさがだいたい同じになり、そしてだんだん出口の方の明かりが大きくなってきます。
いよいよ反対側、深沢口へ到着です。

深沢口にはレンガを利用したワインカーヴが

深沢口にはレンガを利用したワインカーヴが
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深沢口へ出ると、清々しい渓流の向こうに、さらにトンネルが見えます。
こちらが勝沼トンネルワインカーヴ(旧深沢トンネル)です。
赤レンガのまま、味のあるワインカーヴとして蘇り、地元ワイナリーや個人オーナーの大切なワインを保管しています。トンネル内には棚がずらりと並んでいて、ここから先へはワインのオーナーのみが入ることができます。四季を通して安定した環境で、ワインの熟成には最適ですね。

カーヴの扉の脇には、カーヴ管理棟兼観光案内所があります。観光パンフレットや休憩スペースがあるので、こちらで一休みして、元来たトンネル内を戻ります。

ワインカーヴが目的でなければ、トンネルのどちら側もほとんど内容は同じなので、体力と時間と相談し、ある程度のところで引き返しても、十分大日影トンネル散策はできます。

さいごに

いかがでしょうか。
当時の様子が色濃く残るレンガ造りの空間や、蒸気機関車の煤跡にはとても趣があり、そこに居るだけで時代を感じさせられます。
線路がそのままのトンネルを歩けるというのも貴重な体験ですよね。

また展示パネルやアート作品もあり、鉄道に詳しくない方でも楽しんで散策できる仕掛けも豊富なので、お子様からお年寄りまで楽しめるオススメスポットです。是非ノスタルジックな歴史体験をしに遊びに来てみてくださいね。

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/07/25 訪問

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