温泉療養文化館「御前湯」から巡る日本一の炭酸泉!大分・長湯温泉

温泉療養文化館「御前湯」から巡る日本一の炭酸泉!大分・長湯温泉

更新日:2015/11/30 17:26

村井 マヤのプロフィール写真 村井 マヤ 中国・九州文化的街並探検家
今回ご紹介する長湯温泉は、久住山ろくの丘陵地帯に湧く世界屈指の炭酸系温泉エリア。長湯温泉周辺には、古来より受け継がれた名湯ばかり!そんな中で、長湯温泉は、「飲んで効き、長湯して利く長湯のお湯は心臓胃腸に血の薬」という歌(松尾博士詠)に集約された名湯です。そんな長湯温泉の数ある立ち寄り湯の中でも、今回は平成10年に誕生した温泉療養文化館「御前湯」を中心に長湯温泉をご紹介していきます。

ドイツ風建築のモダンな温泉館「御前湯」でまったり

ドイツ風建築のモダンな温泉館「御前湯」でまったり

写真:村井 マヤ

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長湯温泉は、九州帝国大学の別府温泉治療学研究所に在籍していた松尾武幸博士によってその効能が科学的に立証されました。

長湯温泉自体は歴史が古く、湯治場として古来より栄えてきました。入湯施設が整ったのは、江戸時代のことで、この地を治めた岡藩主中川公の入湯宿泊場である湯屋・御茶屋が設けられたのが、始まりです。

前述した松尾博士は、ドイツのカルルスバードで温泉治療学を学び、長湯の御沓重富氏と出会って、長湯の炭酸泉の効能を科学的に立証することができたのです。松尾博士は、ウサギでの実験、療養患者のデータを基に科学的な立証をしました。そして「飲んで効き、長湯して利く長湯のお湯は心臓胃腸に血の薬」の歌を詠みました。

入浴に適した温度で、炭酸ガスの濃度の高い湯は、血液の流れをスムーズにし血圧を下げ美肌効果も高いのです。

長湯温泉を世に知らしめたいと考えていた御沓氏は、松尾博士の後押しを受け「長湯観光協会」を設立、長湯温泉の宣伝のため野口雨情や与謝野鉄幹・晶子夫妻など文化人も招き、その後自分の旅館の敷地内に共同浴場「御前湯」を建てたり、長湯温泉の発展に寄与しました。しかし松尾博士と御沓氏の志は戦争でとん挫してしまいます。

その後の長湯温泉は、入浴剤メーカー花王の炭酸泉全国調査により「日本一の炭酸泉」(炭酸ガス濃度、温度、湧出量の要素を総合して日本一)であることが証明されました。また平成元年には、「全国炭酸泉シンポジウム」も開催され、炭酸泉の医療効果を論じる場として全国から400人の研究者が集いました。平成4年には国際イベント「西洋と日本の温泉文化フォーラム」を開催し、ヨーロッパからの招待者を含む900人余りが集い、その後世界有数の炭酸泉を持つドイツとの文化交流も進み、ワインの直輸入など経済交流も行われています。
そして、平成10年10月に、温泉療養文化館「御前湯」が誕生したのです。

写真は、1階の大浴場の様子。冷泉風呂、サウナ、露天風呂が楽しめます。

芹川の清流が気持ち良い・・お風呂からは川のせせらぎも

芹川の清流が気持ち良い・・お風呂からは川のせせらぎも

写真:村井 マヤ

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平成10年に長湯温泉のシンボル的存在として誕生した「御前湯」は、芹川のほとりに佇む、ドイツの建築様式を取り入れたおしゃれな3階建ての建物。大浴場は1階と3階にあり、露天風呂、家族風呂もあります。館内もおしゃれな洋館といった感じ。
36畳大広間の休憩所もあり、休憩所のテラスから芹川沿いの風景も楽しめます。ドリンク、ケーキが楽しめる喫茶室もあります。また喫煙所も兼ねているバルコニーからは、芹川沿いの温泉街の風情が望めます。

芹川沿いから「御前湯」を眺めても絵になる風景ですよ。

「御前湯」では飲泉も楽しめる!

「御前湯」では飲泉も楽しめる!

写真:村井 マヤ

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長湯温泉と温泉を通じて交流のあるドイツでは、古くから温泉療法の1つとして「飲泉」を行ってきました。長湯温泉は、炭酸ガスを多く含んでいますので、飲泉すると胃腸の働きを活発にし、水分の吸収を高めてくれます。
1回100から200t、1日200から1000tの飲泉が適量。飲泉すれば利尿作用、便秘などにも効果があるためデトックス効果も期待できます。

長湯温泉の「御前湯」に立ち寄られましたら、飲泉にチャレンジして下さい。「御前湯」の大浴場などにも飲泉場がありますので、ぜひお試しくださいね。

長湯温泉「ガニ湯」にも立ち寄って・・

長湯温泉「ガニ湯」にも立ち寄って・・

写真:村井 マヤ

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写真は、芹川の川岸に湧く天然温泉。これは「ガニ湯」という立派な温泉施設。お子様なら川遊びの後に身体を温めたり、気楽に入浴できますよね。また「ガニ湯」ってちょっと変わったネーミングも面白い。
この「ガニ湯」には、美しい娘に恋をしたカニとそのカニの願いを叶えると言っておきながら、最後には娘に恋してしまった寺の僧の伝説があります。「ガニ湯」は、カニと僧が雷に打たれてできた温泉なんだとか。

せっかくですから、「ガニ湯」に立ち寄って足湯を楽しみませんか。気持ち良い川沿いの風景を眺めながらの足湯は、足元からほんわかポカポカしてきますよ。

著名な文人も訪れた風情ある温泉街・長湯温泉を歩く

著名な文人も訪れた風情ある温泉街・長湯温泉を歩く

写真:村井 マヤ

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長湯温泉をゆっくり散歩していると、与謝野鉄幹・晶子夫妻、山頭火などの歌碑があり、文人たちが訪れた有名な湯治場だったことを伺わせます。

川沿いのひっそりとした名湯を、文人墨客はこよなく愛しました。そしてまた、長湯温泉を訪ねた人たちの心と身体もこの名湯は癒してくれるのです。

長湯温泉のある大分県竹田市の奥豊後エリアには、バラエティ豊かな名湯が勢ぞろい。長湯温泉も含めて、奥豊後エリアの温泉地には文人墨客の足跡があちこちに残っていますので、そんな温泉地巡りも楽しいですよ。

長湯温泉で「竹田式湯治」も試してみて

大分県竹田市の特色ある名湯を巡るなら、ぜひ「竹田式湯治」を試してほしい。もちろん、長湯温泉は湯治場として栄えた温泉地。じっくり3泊して「竹田式湯治」を実行しましょう。
この「竹田式湯治」とは、国内初の試みで、竹田市内の温泉宿などに3泊以上宿泊したら“保健”が適用されるというもの。ちょっと面白いシステムですよね。

ヨーロッパでは国や条件によりますが、温泉療法に社会保険や健康保険が適用されることがあるのです。温泉を楽しみながら健康になれるのは、楽しいし嬉しいですよね。詳細は下記MEMOをご覧ください。
長湯温泉以外の、久住温泉や七里田温泉など奥豊後エリアの温泉利用に適用されます。これを利用して、大分県竹田市の温泉で湯治しちゃいましょう!

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/10/07 訪問

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