戦前〜戦後と昭和時代の多くの歴史と共に、時を刻み駆け抜けてきたSL。静岡県島田市に本社を構える大井川鐡道によって、日常的に新金谷駅から千頭駅間を往復。地元や鉄道ファンの多くの方からは大鉄(ダイテツ)として親しまれ、近鉄・南海・東急の3社でかつて活躍していた電車も現役運行し、動く鉄道博物館と称される事も。
客車も旧国鉄時代そのままに、エアコンなどの最新設備はなく天井にはレトロな扇風機と網棚、そして板張りの床。更に、座席脇に備え付けられた灰皿(現在は車内禁煙)や栓抜きにより、ノスタルジーな昭和の雰囲気が醸しだされ、まるで当時の様子が目に浮かぶようです。(客車により内装・設備等は異なる場合有)
大井川本線の19ある駅のうち、通常SLが停車する駅は新金谷駅、家山駅、川根温泉笹間渡駅(復路金谷方面のみ停車)、下泉駅、千頭駅の5駅。特急などのように、駅をとばして先に急ぐのではなく、時には車に追い抜かされながらものんびりゆっくり。車窓や車内の会話をたっぷり楽しみながら約1時間20分のプチトリップ!
車掌は「SLおじさん・SLおばさん」と親しまれ、沿線情報等の車内アナウンスはもちろん、ハーモニカで車内を盛り上げます。新金谷駅から神尾駅を通過する際には、進行方向左手側にたぬき村があり信楽焼のたぬき達が歓迎。更に大井川上流へ進むと、春には桜トンネルが沿線を華やかに飾る県内有数の桜名所である家山駅へ。車窓・沿線から眺める満開や散り際の桜は、言葉で表現しがたい美しい情景です。
辺り一面に見事な茶畑広がる抜里駅を過ぎると第一橋梁へ差しかかり、右手側にSLの見える珍しい露天風呂として有名な川根温泉ふれあいの泉が見えます。露天風呂から手を振ってくれるので、SLからも手を振ってみましょう。沿線では、同様に数々の人々と触れ合えるスポットがいっぱい!
次の地名駅までは、地名坂といわれる上りの急勾配が続きSLの走行が更に迫力満点に。地名駅を通過したら、ぜひ見逃さないで欲しいのが、茶畑に囲まれた中に突如として現れる日本一短い!?といわれる「地名のトンネル」。
全長11m、幅5m程で、ご覧の通りトンネルを抜けても入口方向の景色は丸見え。テレビ朝日の人気番組「ナニコレ珍百景」で「あっという間の出来事」として珍百景に登録!何故トンネルがココにあるのか?と疑問を抱いてしまいますよね。
実は、かつてロープーウェイで食料品や資材等を周辺地域に運搬するという川根索道があり、運搬路の下に大井川鐡道本線が走っていました。その為、荷物が落下し鉄道や乗客に被害が及ばぬよう、安全の為に造られたそうです。また、地名駅直前にある踏切手前にも、同様の目的で作られた形跡が。形跡であるのは、現在は天井が失われ、左右にコンクリートの塊があるという理由です。ぜひ、車窓から2つのトンネルを見つけてみて下さい!
次の塩郷駅周辺、進行方向左手に注目しましょう。なんと、大井川にかかる最長吊り橋「塩郷の吊り橋」の下ギリッギリをSLが通過し、真上にいたらSLからの煙や蒸気まみれになる珍スポットが!
既にお気付きだとは思いますが、大井川だけではなく、大井川鐡道本線、県道77号線、民家にも架かっているという珍しい吊り橋です。最長なだけあり壮大なスケール感で、渡るとゆらゆら。真下を大井川、鉄道、車が走っている状況で、スケスケの吊り橋を渡っていけば、緊張感とドキドキ感でいっぱいに。こちらも「足下危険なつり橋」「蒸気がかかる吊り橋」として2度に渡り珍百景登録されたレアスポットです。
SLの通過に合わせ、吊り橋には多くの人が集まり、中には吊り橋の上に平気で座れてしまう方も。吊り橋とSLを同時に写真に収められる絶好のチャンスなので、通過時間は要チェックです!
続いて、吊り橋を通り過ぎてすぐ、水力電用に大井川の水流をせき止めている塩郷ダムがあります。ただし、ほんの一瞬しか見えない貴重なシーン。真っ青なダムの色がとても綺麗ですよ。
沿線は自然豊かで癒しの風景が続きますが、鉄道旅の旅情を更に盛り立ててくれるのが駅弁!昭和のノスタルジーな雰囲気にぴったりなオススメの駅弁は、竹皮に包まれた「大井川ふるさと弁当」(お茶缶付)。SLの絵葉書付きで、なんと、ヤマメの甘露煮が1匹丸ごと入ってます。おにぎり2個、唐揚げ、里芋田楽、タケノコの煮物等、山の幸がたっぷり味わえます。
その他、地元特産の川根茶で炊き上げた茶飯や静岡県特産の桜エビ、青魚を材料にした静岡ならではのはんぺん「黒はんぺんフライ」等、地元産がたっぷりつまった駅弁が各種ラインナップ。お子様用にトーマスの駅弁も。金谷駅、新金谷駅のプラザロコ、千頭駅で購入する事ができます。
塩郷駅を通過した後も、昭和レトロな雰囲気満載で映画やドラマのロケ地としても使われる田野口駅、春には徳山シダレザクラが有名な駿河徳山駅など、急勾配が続く路線を力強く走行しながら終点の千頭駅までを結んでいきます。
車内では、車内限定販売のお土産ワゴンや車掌帽とSLナンバープレートと一緒に記念撮影できる機会もあるので、思い出にぜひ。また、千頭駅到着後等でタイミングがあえば、運転席の中を見せてくれたり、車掌帽と一緒に記念撮影もできるなど、サービスも満点!
実は、五和駅、地名駅、駿河徳山駅では昔のままの電鈴踏切が残り、警告音が電子音ではなく鐘で打たれた不規則なリズムの「カンカンカン・・・」という音が更なる旅情をかきたてています。時には窓を目いっぱいあけ、煙突からの煙、汽笛、エネルギー源の水蒸気などSL独特の力強い音や匂い、そして沿線の景色を堪能しましょう。車内での会話や駅弁で更に旅にスパイスを加え、五感をフルに使った大井川鐡道のSL旅にお出掛けしてみませんか?
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