写真:小林 理沙
地図を見る画家ホアキン・ソロヤ (Joaquín Sorolla)と家族が、1911年から暮らし始めた当時の高級住宅街にある邸宅を利用した「ソロヤ美術館」。その頃、有名な建物をいくつも建てた建築家エンリケ・レプイェス・イ・バルガス (Enrique Repullés y Vargas)による、様々な建築様式を折衷させた邸宅です。
ソロヤの趣味により造られたアンダルシア風の中庭や、セビーリャのアルカサル、グラナダのアルハンブラ宮殿を彷彿とさせる噴水やテラスが特徴的な庭があります。涼しげに流れる水と豊かな緑が、今でも都会の喧騒を忘れさせてくれるかのようです。バラやゼラニウムなどの植物は、アルハンブラ宮殿からソロヤ自らの手によって持ってこられたものです。
写真:小林 理沙
地図を見るソロヤは1863年にバレンシアに生まれました。15歳で美術学校に入り、その翌年には1879年のバレンシアで行われた展覧会に参加しています。早くから才能を発揮し、バレンシアの展覧会では首位につき、また1884年のコンクールでは2位を取り、ローマに留学する機会を得ました。
ローマに行く以前にはマドリッドに滞在し、プラド美術館のベラスケスの絵画を模倣し練習したと伝えられています。
写真は、ソロヤの自画像と妻のクロティルデの肖像画です。美術館では、ソロヤの師匠の娘だった美しい妻や子ども達を描いた作品が多く見られます。
写真:小林 理沙
地図を見る部屋の壁の中央に見られるのが、ソロヤの代表作です。優雅な女性二人がいる浜辺を描いた作品ですが、このモデルは奥さんのクロティルデと娘で、画家の生まれ故郷のバレンシアの浜辺が舞台となっています。
今となっては日光浴をする人たちで溢れかえるこのビーチも、1世紀前は、ドレスを着た人たちが散歩していたんですね!絵画鑑賞を通して、そのような生活の変化も感じることができます。
この一角には格式溢れる立派な書斎机があったり、また他の一角にはアトリエも再現されています。
写真:小林 理沙
地図を見るもともと芸術家が住んでいた家ということで、展示されている絵画の他に見所は多い美術館です。陶磁器の展示も多く、写真にあるような飾りとしてだけでなく、筆立ても全て陶器製です。そんな画家や家族の嗜好を推測しながら見学できるのも、通常の美術館ではできないことですね!
ソロヤは海や自然を題材にした作品で、1900年のパリ万博で成功を収めました。その後も光を瞬間的に捉える描き方を研究し続けました。
その後1906年にパリで、1907年にはベルリンで個展を開いています。美術館の2階には海を主題にした作品が多く飾られ、ソロヤが用いた「青」について展示と説明があります。使用したパレッドなどの画材も見ることができます。
写真:小林 理沙
地図を見る邸宅内のあちらこちらには家族の写真が飾られています。写真がまだ珍しかった時代ですから、写真に写る姿はどれもきちんとしています。また、ソロヤ自身も取材旅行に出かけては自ら写真を撮り、それを元に作品を作成していました。
1908年にロンドンで開かれた個展では、アメリカ人の富豪アーチャー・ミルトン・ハンティントン氏と知り合い、ニューヨークをはじめとするアメリカの数都市で個展が開かれるきっかけとなりました。
1912年から1919年までスペイン中を旅行し、スペインの郷土、生活を描きました。その作品群はニューヨークのヒスパニック・ソサエティーに展示されています。
ソロヤは、欧米での評価のわりには、まだまだ日本では馴染みの薄い画家だと思います。生前から人気を博した画家の作品と住まいを一度に見られる絶好のチャンスですから、ぜひ訪れていただきたいところです。モネやマネなどの印象派が好きな方は見逃さないでください!
公共交通機関をご利用の方は、地下鉄グレゴリオ・マラニョン駅(Gregorio Marañón )が便利です。
美術館の多いマドリッドですが、一人の芸術家にテーマを絞ってご覧になりたい方には特に強くお勧めする美術館です!
この記事の関連MEMO
- PR -
トラベルjpで250社の旅行をまとめて比較!
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索
(2024/4/26更新)
- 広告 -